カテゴリー「ゲーム脳Q&A」の記事

2009年2月24日 (火)

様子

ゲーム脳Q&Aのアクセス状況。

大体、一日20前後のユニークアクセスですね。基本的に内容が変わらないコンテンツなので、これくらい一日にアクセスがあるのは、結構良い感じなのかも知れません。

アクセス元は、Yahoo!の「ゲーム脳」検索からが多い(ほとんど)です。知恵袋で紹介してリンクを張って下さる方がおられるので、そこからのアクセスもあります。Yahoo!検索で上位に出てくるので、そこそこ参照されやすいのでしょう。

ブログからのアクセスは、ここを除いて全然無いですね。検索で見つけてブログで紹介、というのもちょっと期待しているのですが(どういう風に読んでくれたか参照出来るので)。

あ、そうそう。

キッズgooからのアクセスも、ちらほらあります。これは何を物語っているのか…。保護者や教師にゲーム脳だと言われたから調べた、とかじゃ無ければいいのだけど…。もしそうだとして、あのテキストを読んでどういう感想を持たれたか、というのも気になる所ではあります。

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2009年1月15日 (木)

追加しました

ゲーム脳Q&Aに、新しい質問を追加しました。

質問:ゲームをやめさせたら子どもがおとなしくなり、勉強も出来るようになりました。これはゲーム脳があって、それが治ったということではないのでしょうか。

回答:そうではありません。ゲームをやめたら勉強が出来るようになったり、性格が変わったように見えたり、といったことがあった場合、ゲームをやめさせただけではなくて、他のことも変わった可能性があります。たとえば、ゲームが怖いと思って、勉強しないと脳が壊れてしまう、という気持ちになって、勉強の時間が増えたり、ということもあるかも知れません。ですから、何かをやめたら良いことが起こった、という時に、そのやめさせたものが原因だったと、すぐに言うことは出来ないんですね。

そもそも性格の変化等が気のせいである可能性も考えられる訳ですが、それは書きません。

ここら辺、三た論法と関わる部分ですね。

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追加するかも

ゲーム脳Q&Aに、一つ書き加えるかも知れません。あるページを見て、これは書いとかなきゃいかんかな、と思ったので。

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2008年12月11日 (木)

伸びてる

ここ数日、ゲーム脳Q&Aのアクセスが、少し多くなっているようです。

多分、きっかけとしては、あの先生のブログ(事情をご存知で無い方は無視して下さい)での出来事があるのだと思いますが、アクセスログを見てみると、Yahoo!やらgoogleやらからのアクセスが結構ありました。

それで、ちょっとググったりヤフったりしてみたんですが、「ゲーム脳」で検索して上位に出るようになってますね、いつの間にか。

自分が書いたものとしては珍しく、なるだけ多くの人に読んでもらいたい、と思っているものなので、少しでもアクセスが増えているのは嬉しい事です。

知恵袋での紹介も大きいですね。ホント、紹介してくれでありがとうです。深謝。

参考までに ※クリックで拡大

Kaiseki200811

↑2008年11月

Kaiseki200812

↑2008年12月

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2008年8月29日 (金)

ゲーム脳Q&A:補足

ゲーム脳Q&Aの各回答について、補足。

このQ&Aでは、なるべく噛み砕いた説明を心掛けましたが、普段ニセ科学論で用いられる概念、あるいは他の色々な分野の術語とどう対応しているか、というのを書いてみます。

ゲーム脳とは、どういう意味ですか。

森氏はそれを、ゲームを長時間やることによる、人間の脳の前頭前野という場所のはたらきが低下してしまった状態前頭前野の機能低下、と説明しています。それによって、物忘れが激しくなる、すぐ感情を爆発させる、無気力になる、などの悪い影響心理学的な影響が起こる、と森氏は言っています。そして森氏は、その状態を、自分が開発に協力した脳波を測る機械脳波計(その精度には疑問がある)によって知ることが出来る、としています。

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ゲーム脳説は科学的に正しいのですか。

科学では、こうではないか、という新しい考え新奇の理論や仮説が出てきた場合、実験や観察、調査など様々な研究方法によってデータを集めて、それを処理適切なデータ解析することによって、その新しい考えが当たっているかどうかを確かめていきます。そして、研究をまとめたもの(論文)が審査査読され、審査に通ったものが、他の科学者などによっても同じように確かめられます追試。それで同じような結果が出た場合再現性、目新しいものであったその考えが、初めて科学の理論として認められます。ゲーム脳の考えは、そういう進め方が不充分で、きちんとした論文も無く、他のほとんどの科学者や研究者からは、理論としては認められていないのです。

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じゃあ、ゲーム脳はない、ということなのですか。

上で、ゲーム脳の意味はどういうものか、という質問がありましたが、本当は森氏は、「ゲーム脳がどういうものか」、その言葉の意味を、はっきりとさせていません。術語の定義の不足

どういうことかというと、森氏は、「前頭前野のはたらきが低下」とは言っていますが、それがどのくらい低下するのか、それをどうやって確かめることが出来るか、物忘れが激しいとか無気力になる、というのをどうやって調べるか、などについて、ほとんど何も書いていません。そして、それがどのくらいであれば「ゲーム脳」と言うのか、についても、はっきりとさせていません。定義・作業仮説等の不足

つまり、「ゲーム脳」という言葉が何なのか、が実はわからないのです。ですから本当は、あるかないか、自体が言えない、となります。つまり、問いの立て方の段階で誤っている

結局、ゲーム脳があるかないか、という前に、言葉の意味がちゃんとわからないので、科学として確かめようがない、と言えるのですね定義不明なので検証や追試・再現が不能。ですから、ゲーム脳説は、まず考えの出し方、確認の仕方の段階で間違ってしまっている、と言うことが出来るのです。

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「前頭前野のはたらきが低下している状態」を、確かめることは出来るのでは。

その通りです。前頭前野のはたらきが低下するとはどういうことか、とか、それをちゃんと測定出来るか、と考えて、実験や観察をしてみれば、色々な結果が得られるわけですね。前頭前野の機能低下というのは、生理学的現象なので、実現し得る。よって、神経科学的研究により検証可能

でも、前頭前野のはたらきを調べるのは、「ゲーム脳」についての話とは違う、という所に、注意しなくてはなりません。「ゲーム脳になる」、と「前頭前野が機能低下する」、はイコールでは無い。下でも説明

元々、「ゲーム脳」という言葉は、森氏が作ったものです。ですから、森氏がきちんと、この言葉はこういう意味ですよ、とはっきりさせなければならないのですそもそも森氏の造語なので、きちんと定義されねばならない。ところが、前の回答にもあるように、森氏は、それをやっていないのです。ある所では、単に前頭前野のはたらきが低下している、と言っていて、別の所では、すぐにキレるとか物忘れが激しくなる、という行動の傾向のことを指していて、また別の所では、森氏が開発に協力した機械によって出されたグラフの形の一つのことを指す、と言っている場合もあります。概念をきちんと設定していないから、多義的になり、恣意的に用いる事が可能になってしまう

つまり、実は、「ゲーム脳」イコール「前頭前野のはたらきが低下すること」、ではないのです。ですから、「ゲーム脳が正しいか間違っているか」イコール「前頭前野のはたらきが低下しているかどうか」、というわけでも無いのですね。生理学的な状態とイコールで結び付けてはいけない。その典型が、森氏の論を無視して「ゲーム脳はあるかも知れない」と語る類の主張。これは議論を混乱させる

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ゲーム脳と認知症は同じものなのですか。

森氏は元々、認知症について調べていたそうです。そこで、認知症の人はある特定の「脳波」を出すことを見つけ、脳波によって認知症を見分けることが出来ると考えて、研究したと言います。その中で、ゲームをやっている人にも同じような脳波が出てくるのを見つけ、そこからゲーム脳という考えが出てきたようです。生体信号のパターンから認知症を見分けるという研究の過程で、ゲーム脳という考えが出てきたようである。しかし、そもそも、その認知症に関する研究自体が、確立された理論では無い。以下で説明

でも、ここにはいくつかの問題があります。まず、「脳波」で認知症の見分けがつく、という方法自体が、広く認められているものではないことです。脳波で認知症が見分けられるなら、認知症の人はその脳波が出ていて、それ以外の人は出ていない、となっていなければダメですよね。そうでないと、認知症の人にも出るけど他の人でも出る、となって、結局、認知症の人を見分けることが出来ない、と考えられます。そして、実はその通りで、森氏の方法で、認知症の人をきちんと見分けられる、というのは、科学としてちゃんと確かめられていないのです。認知症以外の人でも同様の信号が見出されるならば、それは認知症診断には役立たないというのを意味する。逆に言えば、認知症以外の人にはそのような信号が現れない事をきちんと確認しなければならない

ですから、そういう方法でゲームをやっている人の脳波を測るやり方そのものが、実は誤っているのです。

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ゲーム脳を信じることにどんな問題があるのでしょうか。

ゲーム脳は、あると確かめられたものではない、その前に、それがどういう意味かもよくわからない言葉です。ですから、それを使って誰かをゲーム脳だと決め付けることは出来ない、ということです。そもそも定義が無いので、誰かをゲーム脳と判断する事自体が不可能である、という事

たとえば、何か問題行動を子どもが起こした場合、本当は別の原因があるのに、そこに目を向けさせずに、ゲームのせいにしてしまって、問題の解決が遅れたり、逆に悪化してしまうこともあるでしょう。たとえば親子関係であったり、学校での出来事が関わっていたり。それを見過ごしてゲームに注目してしまう危険性がある

お医者さんは、色々な所を診て、機械を使った検査をしたりして医師による総合的な医学的判断と、人間の観察では不可能な、精度の高い診断、よく考えながら、どういう病気かを判断して、より良い治療法を選んでいきますよね。それは、もし病気を見誤ったり、適切でない治療法を選んだりしてしまったら、大変なことになるからです。それを考えると、意味もはっきりとしてなくて、他のほとんどの科学者や医師に認められていないゲーム脳というもので軽はずみに判断してしまうのが、どれほど怖いことかが、よくわかるのではないかと思います。誤った判断によって原因をゲームと決め付けた場合、状態が悪化する虞もある

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森氏のゲーム脳の考えがもし間違っているとしても、子ども達のテレビゲームのやり過ぎを止められるならよいのではないでしょうか。

ここまでの回答で説明してきたように、森氏の考えは、最初の所で誤ってしまっているものです。ですから、ゲーム脳という言葉を使ってゲームを止めさせるのは、ウソをついて止めさせている、といえるのです。実態があやふやなものを用いて止めさせる

たとえば、とても小さい子どもに、ちょっとした迷信みたいなものを使って、やってはいけないことを教える、というのはあると思います。でも、ゲームの場合、それはこの世にいないものでもないし、それが好きでやっている人は、沢山います。ゲームをやるとゲーム脳になる、と言ってしまうのは、その人達に対しても、とても良くないことです。たとえば、ご自分が好きなものを思い浮かべて、それが悪い影響を与える、と証拠もないのに言われてしまった、とイメージしてみて下さい。そんな理不尽な話はありませんよね。ゲーム脳を使ってゲームを止めさせるのは、そういうことなんですね。ゲームは娯楽であり、一般に広く普及しているものである。よって、「ゲームをやっている人間は危険だ」、などの先入観(社会的認知)を広く形成する虞がある。ゲーム悪影響論一般なら考慮の余地があるが、ゲーム脳は立論の段階で誤っており、しかも極論であるので、極端なゲーム嫌悪を呼ぶ可能性もある。当然、根拠が無いにも拘らず非難するというのは、行ってはならない

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ゲーム脳を批判している人は、自分がゲーム好きだからそうしているのではないでしょうか。

ゲーム好きの人のほうが、ゲーム脳にも興味を持ちやすい、というのはあるかも知れません。それを考えると、ゲーム好きだからゲーム脳を批判することはありますゲームに興味を持っている人の方が、ゲームを非難する説に敏感になるというのはあるし、愛好しているものをけなされるのだから、反論を表明するのも多いと思われる。前の回答にもあるように、自分が好きなものが証拠もないのに悪いと言われているので、「それは違うよ」、と言っているのですね。

もちろん、中には、きちんと考えずに、自分が好きなものがけなされているから、という理由だけで、ゲーム脳を批判する人もいるかも知れません。色々な人がいますからね。愛好しているものが非難されているという事実そのものを、深慮する事無く否定する。対象が何であれ、そういうのは起こる

でも、ゲーム脳の考えが批判される一番の理由は、それがとても矛盾していて、きちんとした根拠がないからなのです。ですから、ゲームに関心をほとんど持たない人がゲーム脳を批判することもあるのですね。ゲーム脳が批判されるのは、その論が整合していないから。だから、ゲームをやらない人も批判を行う。陰謀論的反論としては、ゲーム会社から金を貰っているのだろう、というのが考えられるが

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ゲーム脳を批判している人は、テレビゲームをやり過ぎても悪影響はないというのでしょうか。

これまで説明してきたように、ゲーム脳が批判されているのは、説明が矛盾していたり、データのとりかたや見かたが誤っていたりするからです。ゲーム脳は、「ゲームをやり過ぎると悪影響がある」、とは同じ意味ではありませんし、ゲーム脳を批判しているからといって、「ゲームに悪影響がない」と言っている訳ではないのですね。

ゲームが悪影響を与えるかどうかは、色々な分野で調べられています。もちろん、きちんと研究して悪影響が確認されれば、それについて対処をするべきです。大切なのは、きちんと研究していかなければならない、ということで、ゲーム脳はそれが出来ていないから、批判されているのですね。

ゲームがどのように人間に影響を与えるかについて、お茶の水女子大学の坂元章氏が、とてもきちんとした研究をしています。

たいていのものごとには、良い面と悪い面がある訳ですから、それを両方きちんと考えていかなければなりません。つまり、ゲームに悪影響論があるかどうか、という問いと、ゲーム脳説は正しいか否か、という問題は、一応別の話である、という事。ゲーム脳は決して、「ゲームは心身に悪影響を与える」、などという一般論的概念では無い

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ゲーム脳を批判したいなら、森氏のように実験でデータを集めてからやるべきではないでしょうか。

科学では、新しい考え方や、それまでの考えと異なる理論を思いついた場合には、言い出した人に、それを確認する責任があります立証責任(挙証責任)。そうでないと、どんな突拍子もないものであっても、他の人がわざわざ、初めから確認しなくてはならないからですね。新奇な説を一々積極的に検証したのでは、コストが膨大になり、リソースの無駄遣いである

ですから、言い出した人がまず、きちんと実験してデータをとって、それをちゃんと処理して、論文を書く必要があります科学研究の土俵に乗せる。そして、それが審査されて、実験の方法はきちんとしているか、とか、それまでに見つかって正しいと考えられている理論と矛盾しないか、というのが確かめられなくてはなりません査読者による審査。さらに、審査に受かったものが、他の科学者によって本当かどうか確かめられて、そうして、どうやら本当のようだ他の科学者による追試。再現性の確認、となって、科学の理論として認められていくのです。これが、科学の研究の進め方です。

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テレビゲームはまだ新しい文化で、登場してからの歴史は浅いです。悪影響がないとは言い切れないのではないでしょうか。

確かに、テレビゲームの歴史はまだ浅く、内容がどんどん変わっている文化です。わずか30年足らずで一応、日本で爆発的ブームになった、ファミコンの誕生辺りの時期を想定、ファミコンからプレイステーション3まで、発展をしてきました。ですから、それがどういった影響を与えるか、という所を調べる研究は、今も続けられていますし、これからも続けていくべきことです。

また、テレビゲームは、どういう影響を与える、と言い切るのが難しいものです。なぜかというと、「ゲーム」には、色々なジャンルがあって、流行っているジャンルやソフトも変わっていって、映像の細かさや描き方の方向性、また、コントローラの形や仕組みも、めまぐるしく変わっていくものだからです。ですから、色々な角度から、慎重に研究をしていかなければならないのです。コンピュータ・ゲームは総合文化的なものだから、学際的に考究しなければならない。入力デバイスにしろ、出力される映像・音声にしろ、技術的な発展に従って変容していくものなので、変化を捉えつつ継続した研究がなされる必要がある

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ゲーム脳を批判している人は、子ども達がテレビゲームをやりすぎてもいいというのでしょうか。

もちろんそうではありません。ゲームは楽しいし、つい夢中になってしまいます。それに熱中して、他のことをやらなくなってしまうと、それは困ったことになるでしょう。そうならないようにしていくべきです。あらゆる文化について、「熱中」のプロセスについて考えていくべき

ですが、ゲームには有効な面もあります。それを通してコミュニケーションを深めたり、とても優れた作品に触れることによって感動する、というかけがえのない経験をすることもありますゲームの臨床的側面、芸術的側面。あるいは教育に応用するという観点もあるだろう(シリアスゲームなど)。なにごとにも良い面と悪い面の両方があって、それをきちんと正しく見ていかなければならないのですゲームというのはメディアだから、メディアそのものの特性とコンテンツの構造を共に見なくては、誤った分析に陥ってしまう。ゲーム脳は、そういう考え方を無視して、ゲームを根拠もないのに悪者にしてしまうものですゲーム脳は、コンピュータ・ゲームの総合的で多様な側面を捨象してしまう論である。これは、ゲームが好きな人にとってもそうでない人にとっても、不幸なことです。ですから、ゲーム脳を批判するのは何も、ゲームをいくらでもやっていいじゃないか、と言いたいからではなくて、ゲームには良い面もあるのだから、ちゃんと理解しながら付き合っていくのが、より良いやり方なのではないか、という考えからなのです。

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2008年8月10日 (日)

ゲーム脳Q&A:一応完成的な

ゲーム脳Q&A

誤記や文の整合性の不備の指摘を頂いたり、アクセシビリティについてアドバイスを受けたりして、何とか見られるようになったと思います。

まだ一部のブラウザで(と言うか、IEエンジン以外全部なんだけど…)、リンクで無い所に下線が出たりしますが、閲覧に大きな支障は無いかと思われます。

一応、Opera、sarari、Sleipnir、Lunascapeで確認しましたが、特に問題はありませんでした。

ブログに追加しました↓

  • 右サイドバーの、”ニセ科学関連リンク―各論:ゲーム脳”にリンク追加。
  • 右サイドバーに、マイリスト「ゲーム脳Q&A」を追加。

メールやコメント欄でご教示下さった皆様、本当にありがとうございます。とても助かりました。改めて、お礼申し上げます。

もし読む価値が認められる、と思われたら、広くご紹介して頂けるとありがたいです。

一応、コンセプトとしては、

  • なるべく噛み砕いて説明し、一般に聞き慣れないような言葉は入れないよう努めた。
  • ゲーム脳がいかに誤ったものか、というのを強調するよりは、なるべく淡々を事実を記述する事にした。
  • 情報は最小限にした。とにかく、「読み進められる」ように配慮した。
  • ゲーム脳の批判と共に、ゲームの悪影響を単に否定する訳では無い事を併記した。
  • 悪影響を云々するなら、正しい手続きに則って行うべきである、というのを説明した。
  • 「科学の手続き」を、なるべく日常的な言葉を用いて説明した。
  • 「ニセ科学」という言葉を一切用いないようにした。
  • ニセ科学という言葉を用いてはいないが、その概念を理解してもらうように書いた。つまり、
    1. 科学の手続きを説明し、ゲーム脳はそれに従っていない事を解ってもらう。
    2. そして、(この文書を読む人は、恐らくゲーム脳が流布されているのは知っているはずだから)「科学には標準的な手続きがあるがゲーム脳(森氏)はそれに従っていない。しかし、ゲーム脳は実証された説であるかのように流布されている」、という所を認識してもらうのを期待して書いた。
    3. そうすれば直観的に、「実証されていないのに実証されたかの如く流布されている主張」が存在する事に気付けるはずだと考えたからである。そしてそれは、即ち「ニセ科学」の概念である。

こんな感じです。

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2008年8月 7日 (木)

ゲーム脳Q&A:β版くらい

取り敢えず、作ってみました⇒ゲーム脳Q&A:トップページ

質問は、最小限に。あまり多いと、却って解りにくくなるかも、と思ったので。今後増えるかも知れません。

デザインは、その内変えると思います。

誤字脱字衍字があれば、教えて頂ければ嬉しいなあ、なんて。

正直、カテゴリー分けは、かなり無理矢理です。「ゲーム脳を批判したいなら、森氏のように実験でデータを集めてからやるべきではないでしょうか。」が何故そこなんだ、と私も思ったりします。

リンク集とか置くかも知れません。でも、簡潔で完結なコンテンツの方が良いかも、と思わないでもありません。

ぶっちゃけ、htmlをちゃんと使うのは、初めてだったりします。もしかすると、やっちゃいけない事とかやってるかも知れないので、教えて頂ければありがたいなあ、なんて。

質問を考えて下さった皆さん、超ありがとう。

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2008年6月24日 (火)

ゲーム脳Q&A:回答例

昨日のエントリーのコメント欄で、いくつか質問例を頂きました。ありがとうございます。引き続き募集しますので、よろしくです。

さて、そこで亀@渋研Xさんに頂いた質問例を、採り上げてみたいと思います。

ありそうな「ゲーム脳批判」批判なものを。

Q.「ゲーム脳」を批判している人は、子供たちがコンピュータ・ゲームをやりすぎても構わないと言うのですか?
Q.仮に森氏の「ゲーム脳」説が間違っているとしても、子供たちのコンピュータ・ゲームのやり過ぎを止められるならよいのではありませんか?
Q.「ゲーム脳」を批判している人って、自分がゲーム好きだからじゃないの?
Q.「ゲーム脳」を批判している人は、コンピュータ・ゲームをやり過ぎても悪影響なんか受けないって言うの?
Q.コンピュータ・ゲームをやりすぎれば悪影響が出るなんて、当たり前じゃない。なにがおかしいっていうの?
Q.「ゲーム脳」を批判したいなら、森氏のように実験でデータを集めるべきなのでは?
Q.ほかの脳科学者はゲーム脳や、コンピュータ・ゲームの子供への影響について、どう言っているのですか。
Q.コンピュータ・ゲームが登場してからの歴史は浅いです。悪影響がないなんて言いきれるのでしょうか。

これは、「ゲーム脳は何か」、という系の質問では無く、ゲーム脳を批判する人への懐疑、といった所でしょうか。何かを批判する場合に、必ず出てくる疑問です。ニセ科学批判論でもよく見られます。

この種の質問では、「答え方」も重要になってくると思いますが、ちょっと書いてみます。

Q.「ゲーム脳」を批判している人は、子供たちがコンピュータ・ゲームをやりすぎても構わないと言うのですか?

A.違います。

ゲーム脳説は、ゲームをやり過ぎると脳の一部の機能が低下してしまう、というものです。そして、その説は根拠不充分です(その部分についての説明は済んでいると仮定)。

ゲーム脳説を批判しているのは、根拠が不充分できちんと定義されてないものが、科学的に証明されたように言われてしまっているからです。ゲーム脳を批判するのは、「ゲームに害が無い」と言っているのと同じではありません。

Q.仮に森氏の「ゲーム脳」説が間違っているとしても、子供たちのコンピュータ・ゲームのやり過ぎを止められるならよいのではありませんか?

A.難しい…。取り敢えず思いつくものを、箇条書きにします。この質問については、これまでにも回答がいくつかありますが、ゲーム脳でゲームを止めさせられるという「実用性」を評価している人を説得するのは難しい。

  • ウソを元にして何かをさせる(止めさせる)というのがまずい。
  • ゲーム脳説は、ゲームをやり過ぎると脳の機能が低下するという説だから、ゲームをやる人に対して間違った印象を与える。
  • 子どもが、ゲーム脳が間違っている、と知った際の対処はどうするか。間違いと知っていても、それを「手段」として用いるのは許されるべきか。

取り敢えずは、こんな所。

Q.「ゲーム脳」を批判している人って、自分がゲーム好きだからじゃないの?

A.違います(要書き方の工夫)。

ゲームに関心を持っている人がゲーム脳についても興味を持ちやすい、というのはあるかも知れません。その意味では、ゲーム好きだからゲーム脳を批判する、という事はあります。自分が愛好しているものが不当に扱われているのですから。一部には、きちんと考えず、自分が愛好しているものが不当に評価されているからという理由だけでゲーム脳説を批判する、という人もいるでしょう。批判の仕方は様々ですから、それは否定出来ません。

しかし、ゲーム脳が批判されるのは、主に、その説が矛盾していて、きちんとした科学的な根拠が無いからなのです。ゲームに関心をほとんど持たない人も、ゲーム脳を批判する事があるのです(きくちさんとか)。

Q.「ゲーム脳」を批判している人は、コンピュータ・ゲームをやり過ぎても悪影響なんか受けないって言うの?

A.違います。

上にも書いたように、ゲーム脳が批判されているのは、それが矛盾していたり、データの解釈が誤っていたりするからです。ゲーム脳は、「ゲームをやり過ぎると悪影響がある」、というものでは無いので(説明済みと仮定)、ゲーム脳を批判する事は、「ゲームに悪影響が無い」と言っている訳ではありません。

ゲームが悪影響を及ぼすかどうかは、色々な分野で研究されています。きちんと研究して悪影響が確認されれば、それについての対処を取るべきです。要は、きちんと正確に研究していかなければならない、という事であって、ゲーム脳はそれが出来ていないから、批判されているのです。

※ここで、坂元章氏の論考を紹介する、とか。

Q.コンピュータ・ゲームをやりすぎれば悪影響が出るなんて、当たり前じゃない。なにがおかしいっていうの?

これは…。これは、質問として採り上げるには難しいですねえ。批判で返していく、という性質のものですよね。たとえば、

  • 何故「当たり前」か。
  • やり過ぎるとはどういう事か。
  • それは主観、つまり単なる「印象」である。
  • 印象を相対化して客観的な論を構築するために、科学的研究方法がある。

Q&A向きの答えじゃ無いなあ。

Q.「ゲーム脳」を批判したいなら、森氏のように実験でデータを集めるべきなのでは?

A.

科学では、ある仮説なり理論なりを考え付いた人に、それを証明する責任があります。そうで無いと、どんな説であっても、他の人が初めから確認しなくてはならないからです。ですから、言い出した人が、きちんと実験してデータを取り、それを適切に処理して、論文を書く必要があります。そして、それが審査され、実験の方法等が適切かとか、他の理論と矛盾が無いかが確かめられなくてはなりません。さらに、審査に受かったものが、他の科学者によって確かめられ、それがまた検討されます。これが、科学の手続きです。

ですから、批判をする側としては、森氏のやっている事の矛盾等を指摘すれば良い、という事です。

メモ:立証責任・査読・追試(再現性)・他の諸理論との整合性

※松田剛氏の論文とか紹介

Q.ほかの脳科学者はゲーム脳や、コンピュータ・ゲームの子供への影響について、どう言っているのですか。

※川島氏・久保田氏・現在の泰羅氏等の見解を紹介。説明として、「他の著名な脳科学者がこういっているから」、というのはダメ。ある程度ロジカルに批判しているものを紹介。

Q.コンピュータ・ゲームが登場してからの歴史は浅いです。悪影響がないなんて言いきれるのでしょうか。

A.無いとは言い切れません。

確かに、コンピュータ・ゲームの歴史は浅く(40年前後?)、内容が常に変化している文化です。ですから、どういった影響があるかの研究は、今も続けられています。また、どういう影響がある、と断言するのも難しい領域です。何故かというと、「ゲーム」というものは、色々なジャンルがあり、流行っているジャンルも変わっていき、映像やコントローラー等もめまぐるしく変化していくものだからです。ですから、色々な角度から、慎重に研究を進めていく必要があります。

※坂元氏の社会心理学的研究を紹介。暴力シーンに関しては、悪影響を与えうる可能性がある、というのはきちんと書くべき。ただし、定量的な評価の重要性の説明を重視する。「悪影響」という言葉は強いので、それがどういう意味かをちゃんと書く。

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こんな感じですかね。

それにしても、なかなか鋭い質問をして下さいました。答える方は結構頭を使いますね(笑)

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2008年6月23日 (月)

質問募集。後、ゲーム脳Q&A:α版くらい

質問募集。

テーマは、「ゲーム脳」について。

ゲーム脳のQ&Aっぽいものを作ろうと考えています。

そこで、皆さんから、ゲーム脳に関しての疑問・質問を受け付けます。

自分では思い付きに限界があるので、皆さんのお力をお借りしたいです。

出来れば、ゲーム脳という言葉と危険性(が主張されている事実)は知っているが、具体的には全然解っていない、という立場からの質問も欲しいです。詳しい方も、知らない人ならこういう質問するんじゃないか、という風に想像して書いて頂くのもいいですね。もちろん、少しは調べたがここら辺が解らない、というのでもOK。

完成までにはどのくらい掛かるか解りません。もしかすると、Q&A形式にはならないかも知れません。気長にお待ち下さい…。今の所は、どういう問いが考え得るか、というのを知りたいですね。どんな視点からのものでも結構です。たとえば、小学生が言いそうな、ストレートだが本質的な質問、みたいなのも。ゲーム脳を知っているお子さんがいらっしゃれば、リアルな質問が得られるかも。WEBから拾ってくるのでも、何でも構わないです。100でも200でも、いくらでも。

是非、よろしく…。

コメント欄は、レスせずに後で纏めてエントリーにするか、一つ一つレスしていって、説明について指摘を頂くか、どちらかにしようと思ってます。まだ決めていません。

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以下は、自分でちょこっと考えたものです。論理的に込み入り過ぎていて、重複も多く、Q&Aとして今一つ。ただ、ゲーム脳=前頭前野機能低下  では無い、というのは、どうしても説明しておきたい所だから、あまり極端に単純には出来ないですね。ゲーム脳は間違っているんですよ、と言うだけの答えでは話にならないし、実証とはどういう事か、というのも、少しは入れておきたい。なかなか悩ましい所。まあ、以前に断念したもの(某遊鬱氏に軽く催促されたあれです)ですから、一筋縄では行かないのは覚悟しています。

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Q.ゲーム脳とは何ですか。

A.ゲーム脳とは、日本大学の教授である森昭雄氏が考えた言葉です。

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Q.ゲーム脳とは、どういう意味ですか。

A.森氏は、ゲームを長時間やる事によって、人間の脳の、前頭前野という場所の機能が低下してしまった状態、としています。それによって、物忘れが激しくなる、すぐ感情を爆発させる、無気力になる、等の悪影響が惹き起こされる、と森氏は言います。そして森氏は、その状態が、自身が開発に携わった脳波計によって判別出来る、としています。

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Q.ゲーム脳説は科学的に正しいのですか。

A.科学では、こうではないか、という仮説があった場合、実験や観察、または調査によってデータを集めて、それを適切に処理して、仮説が当たっているかどうか、というのを判断します。そして、研究を纏めた論文が審査され。審査に通ったものが、他の研究者によって確かめられ、同じような結果が安定して得られた場合、仮説であったものが、科学の理論として認められます。ゲーム脳説は、それらの手続きが不充分で、きちんとした論文も無く、他の研究者からは、全く理論として認められていません。

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Q.という事は、ゲーム脳は無い、という意味ですか。

A.上で、ゲーム脳説がどういうものか、というのがありますが、実は森氏は、「ゲーム脳」がどういうものか、きちんと言葉の意味を明らかにしていません。「前頭前野の機能が低下」と言った場合、どのくらい低下するのか、それはどうやって確かめる事が出来るか。また、物忘れが激しいとか無気力になる、というのをどうやって調べるか、等について、ほとんど何も書いていません。そして、それがどのくらいであれば「ゲーム脳」と言うのか、というのも明らかではありません※ つまり、正確に言うと、「ゲーム脳」とは何なのかが実は解らない、という事です。ですから、間違っているか正しいか、自体が言えない、となります。

※森氏は、自分が開発に携わった「脳波計」というもので得られたグラフを読み取る事で、ゲーム脳等のタイプが判別出来る、と言っているのですが、この脳波計についても、きちんと信頼出来るものか、という所に疑問が出されています。森氏の著書では、その脳波のグラフのパターンの一種を「ゲーム脳」としている箇所もあります。ですが、そのグラフの読み方の矛盾も指摘されています。たとえば、同じようなグラフであるのに、何をやった時のグラフかによって、解釈を変えてしまいます。

結局、ゲーム脳があるか無いか、という以前に、言葉の意味がちゃんと解らないので、科学の仮説として取り上げようが無い、と言えるでしょう。ですから、ゲーム脳というものは、仮説の出し方、確認の仕方の段階で「間違っている」、とも言えます。

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Q.でも、「前頭前野が機能低下している状態」を指す、と言っている所を確かめる事は出来るのでは。

A.それはその通りです。きちんと、前頭前野が機能低下するとはどういう意味か、とか、それをちゃんと測定出来るか、というのを考えて、実際に実験や観察をしてみれば、色々な結果が得られるでしょう。

ただ、注意しなくてはならないのが、それは「ゲーム脳」についてどうこう、という話とは異なる、という所です。元々ゲーム脳という言葉は、森氏が作ったものです。だから、森氏がきちんと、この言葉はこういう意味である、というのを明らかにしなければなりません。ところが、上にも書いたように、森氏は、それをやっていません。ある所では、単に前頭前野の機能が低下している、と言い、別の所では、すぐにキレるとか物忘れが激しくなる、等の傾向を言い、また別の所では、森氏の脳波計によって出されたグラフのパターンの一種を指す場合もあります。

つまり、正確に言うと実は、「ゲーム脳」=「前頭前野の機能低下」では無い、という事です。ですから、「ゲーム脳が正しいか間違っているか」=「前頭前野の機能が低下しているかどうか」、という事でも無いのです。

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