« 歪んだ正当化 | トップページ | 印象 »

2011年12月 3日 (土)

資料――患者調査において、「宮城県の一部地域及び福島県の全域について調査を行わない」事について

情報求む――患者調査において、「宮城県の一部地域及び福島県の全域について調査を行わない」事について: Interdisciplinary の続きです(話の流れは、前のエントリーとコメント欄を参照下さい)。

この件について、より詳しい資料を見つけました。

統計分科会審議会議事録|厚生労働省

関連する部分を引用します(強調、下線は引用者による)。

○早川統計企画調整室長 続きまして資料5をお開きください。こちらで「厚生労働省における東日本大震災の対応状況」ということで、1枚付けてございます。
 ここに掲げておりますのは、特に基幹統計調査における震災の対応状況をとりまとめてございます。数的に言いますと、○の2つ目にありますけれども、大震災に対して特別な措置を講じたものということで、大きな被害を受けた地域を対象地域から除外するというものが3調査、それから調査の対象、項目の限定などを行ったものが2調査、それから集計、推計の方法や公表時期などを変更したものが2調査、その他、参考値の公表などを行ったものが1調査というふうになっております。
 具体的に各統計調査について、どういう状況かと申しますと、この表に入ります。まず人口動態統計でございますけれども、こちらの方は、基本的には戸籍の届出に基づいた集計という形になっておりまして、事務的に届け出が遅れるといったようなものが発生しているということでございまして、速報と月報では、まず各月の速報集計までに集計できなかった調査票の枚数は含まないということになっております。収集できなかったもの、集めることができなかった調査票については、これは基本的には遅れて届いてきますので、収集できた時点の月分の速報通知に含めて公表しております。大体、人口動態統計は毎年9月ごろに確定数というものを出しておりますけれども、そういった形の中では、届け出が届いた月別ではなくて、事象が発生した月別の集計を行うという予定にしているということでございます。
 続きまして、医療施設調査でございます。動態調査は常時行っておりますけれども、この集計は従来の方法で行っております。ただ、これも届け出に基づくものになっておりますので、実際の数値と異なる可能性がありますということで、集計・公表の取り扱いについて、そういった状況にあるということを発表しているということでございます。
 あと3年に1度の静態調査というのをちょうど今年実施する年になっておりまして、この静態調査におきましては、宮城県における一部地域の病院及び診療所、ここについては調査項目を限定して実施することにしております。それから福島県の病院については、調査項目を限定するとともに、県が電話で聞き取りを行って記入する方法に変更して実施しております。福島県の診療所については、調査の対象から除外ということで、福島県へ連絡しているということでございます。
 それから患者調査につきましても、これも3年に1度の調査なんですが、今年が調査の年になっておりまして、まさに今月が調査月になっているわけですけれども、宮城県の一部地域と福島県の全域については、調査を行わないということで対応しております
 それから国民生活基礎調査につきましては、これは6月、7月が調査の実施月だったわけですけれども、被災3県であります岩手県、宮城県、福島県については調査を実施しないということで連絡しております。
 めくっていただきまして、あと薬事工業生産動態統計調査というものもありますけれども、こちらの方は被災による調査票の提出困難という対象事業者、非常に少数で1けたであったということで、非常に影響は軽微ということでございまして、通常どおりの集計・公表をしているということでございます。事業所調査の悉皆調査になっておりまして、大体対象が4,000事業所ぐらいありまして、そのうちの数件ということですので、ほとんど数値には影響ないというふうに判断されているということでございます。
 それから毎月勤労統計調査につきましては、これは調査員を使って実施している部分につきましては、岩手県、宮城県、福島県については、3~4月、宮城県におきましては5月分についても調査員における調査は中止しているということでございます。
 あと、東京電力福島第一原発の周辺は、今、一般の人は立ち入りができず、郵便物も届かないような状況になっていますので、ここは調査を中止しております。毎月勤労統計調査につきましては、震災に係る特別な集計というものを出しておりまして、ここに書いてありますが、東日本とそれ以外というふうに書いてありますけれども、具体的には東京電力と東北電力の管内と、それ以外というような形の2区分で地域別の集計をして、毎月、今、公表を続けている状況でございます。
 それから賃金構造基本統計調査につきましては、可能な限り調査を実施するということで、従来どおりの集計・公表の状況になっております。具体的に、例えば調査しようとした事業所が、地震や津波の影響で、事業所自身が消えてなくなっているという場合には、通常、事業が廃止されているところに当たってしまったというのと同じような扱いで、代替の事業所に当て直すというような対応ということで、平常どおりの対応という範囲内でやっているということでございます。
 震災の取り組み状況については、以上でございます。

○西郷分科会長 ありがとうございます。
 それでは、御質問等ございますか。よろしいですか。

○土屋委員 これは医政局に伺うべき問題かもしれませんけれども、医療施設調査と患者調査で、宮城県の一部と福島県の一部はやむを得ないと思うんですが、福島県は全域で患者調査とか、静態を行わないというのは、地域保健医療計画の策定に障害を及ぼさないのかどうかということをちょっと心配するんですが、いかがでしょう。

○早川統計企画調整室長 福島県の状況ですけれども、医療施設調査については、少なくとも病院の数とか病床数については、これは県が電話で聞き取りと書いてありますけれども、必要最低限の情報は何とか死守しようというふうに取り組んでおります。患者調査なんですけれども、これは今、福島県は特に地震だけの影響ではなくて、原発の影響もあって、平時でない状況が続いているということで、そういった状況をあえて調査したとしても、その後の利用に耐え得るかという考え方から、患者調査の方については今回見送るという形を取っております

こういう事のようです。

尤も、これを示されたとしても、利用に耐え得るかというのはどういう事なのか具体的に解らない、などの疑問は出るでしょうが、少なくとも、各調査についてどのように検討されているかを教える資料としては役立つだろうと思いましたので、ここで引用しました。長めに引用したのは、他の調査への言及も敢えて入れるのが良いと考えたからです。

|

« 歪んだ正当化 | トップページ | 印象 »

「社会論」カテゴリの記事

コメント

念のため。

土屋委員の疑問は、
▼ 引  用 ▼
地域保健医療計画の策定に障害を及ぼさないのかどうか
▲ 引用終了 ▲
という事であって、白血病が増えているであろう事を隠蔽しようとしている、などという疑念とは観点が全然違うので、そこは押さえておくべきでしょう。これは、
▼ 引  用 ▼
この調査は、病院及び診療所(以下「医療施設」という。)を利用する患者について、その傷病状況等の
実態を明らかにし、医療行政の基礎資料を得ることを目的とする。
▲ 引用終了 ▲
http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/kanja/05syoubyo/gaiyo.html

という目的に照らしての疑問、という文脈ですから、現況で調査を行なっても正確な結果が得られないであろうという見込みがあるのなら、除外する事も合理的なやり方と評価する(正確さを欠く調査にコストを払うくらいなら他に回す、など)のは、さほど難しい事ではありません。

投稿: TAKESAN | 2011年12月 3日 (土) 16:47

もう答えが出ましたね。患者調査の具体的内容は平成20年度の概況が厚生労働省のウェブページで読めるようです。入院・外来別、傷病分類別、年齢性都道府県ごとの患者数と人口当たりの割合(受療率)、平均在院日数が知られるわけで、これ見て医療ニーズを知ることができるんですね。
数字としてはトレンドで見ていくことになるでしょうから、今年だけの異常値見て、これは震災や原子炉事故等の影響だ、としか言えないんじゃ意味ないですよね。福島県の今後の医療体制どうするか、は大きな問題でしょうけれども、患者調査とは別個に把握すべき問題なんでしょう。

投稿: ちがやまる | 2011年12月 3日 (土) 19:13

ちがやまるさん、今晩は。

ひとまずは、ある程度まで情報は把握出来たかな、という感じです。疑問に思う人がいれば、取り敢えず示せるようには準備出来ました。

twitter定点観測では、幸いにもさほど広まってはいなそうです。
とはいえ、木下黄太氏のブログで採り上げられたりしているので、注意して見ておくのが良いと思っています。

何かが増えた、と主張したい場合には、何と何を、どのように比較するか、という観点が絶対に重要なので、そこら辺について考える癖をつけておきたいものです。

投稿: TAKESAN | 2011年12月 3日 (土) 20:16

白血病が約7%増えた、て騒いでる人がいるみたいですね。
さすがに、いい加減にしようよ、と思ったり。もうちょい色々調べてみませんか。

投稿: TAKESAN | 2011年12月 3日 (土) 22:18

みんな、今後しばしば参照する事もあるでしょうから、人口動態データへのリンクを貼っておきます。
http://www.e-stat.go.jp/SG1/estat/GL08020101.do?_toGL08020101_&tstatCode=000001028897&requestSender=dsearch

投稿: TAKESAN | 2011年12月 3日 (土) 22:20

こないだから書いてるように、やっぱ、確率とか統計とか、率とか年齢調整とか、そういう概念そのものからちゃんと教えなきゃいけないと思うんですよ。
これまで興味を持ってこなかった人が、「病気が増える」とか「死ぬ人が多くなる」とかいう事に「言及したがっている」。それで、そういう所を語るには、上で挙げたような概念の理解が「必須」な訳です。これ知らないのは、ルールをよく解っていないのにスポーツを語ろうとするのと同じような事で。

で、そういう部分について語るなとか黙れとか言うのは非現実だから、もう「教えるしか無い」。誤解や誤読をなるだけ防ぎたいのなら。
もしかすると、数年もすれば「関心が無くなる」かも知れません。人の興味というのはそういうものだから。でも、それを想定したってしょうがない。これからも何が起こるかは解らないのだから、知識の備えは大切。それを鍛え、底上げするのがいわゆる科学リテラシー向上でしょう。

欠如モデルがどうとかそういうメタな話をしてるんじゃないですよ。「意味が解ってなきゃ話にならない、話が出来ない」という、ほとんど常識的な部分の延長です。

投稿: TAKESAN | 2011年12月 4日 (日) 15:41

このエントリー(における引用部)に言及して、
https://twitter.com/#!/flurry/status/143566042764021760
▼ 引  用 ▼
「外れ値とはなにか」的な。統計の本質すぐる。
▲ 引用終了 ▲
と書いてあるんですが、どなたか、この人が何を言っているのか教えて下さい。
どうしてここで「外れ値」が出てくるんでしょう?

投稿: TAKESAN | 2011年12月 5日 (月) 14:49

前のコメント欄にも名前が出てきましたが。

『東日本大震災を踏まえた統計調査結果等の情報提供に当たっての留意事項について』(PDF)
http://www.stat.go.jp/index/seido/pdf/3-5.pdf

投稿: TAKESAN | 2011年12月 6日 (火) 00:07

『平成 22 年度統計法施行状況に関する審議結果報告書』(9月付 PDF)
http://www5.cao.go.jp/statistics/report/22followup/22followup_2.pdf (本編)

http://www5.cao.go.jp/statistics/report/22followup/22followup_3.pdf (資料編)

平成22年度統計法施行状況に関する統計委員会の審議結果報告書及び委員長談話記者ブリーフィング要旨
http://www5.cao.go.jp/statistics/report/22followup/kaiken_110922.html

投稿: TAKESAN | 2011年12月 6日 (火) 00:36

第46回統計委員会議事録(PDF)
http://www5.cao.go.jp/statistics/meetings/iinkai_46/proceedings.pdf
※改行直しません
▼ 引  用 ▼
最後に4番目の患者調査についてでございます。
この調査は3年ごとに医療機関を対象としまして、その医療機関を利用する患者の傷病
の実態を調査するものでございます。この調査についても、震災に関連しまして、調査対
象地域及び報告者数に関する変更が行われております。具体的には、まず、調査対象地域
から宮城県の一部の地域、これは先ほど申し上げた医療施設調査と同様に、石巻市や気仙
沼市周辺地域ということでございますが、これらの地域及び福島県を除外するとともに、
この地域内の報告者が除外されることから、報告者数を削減するというものであります。
これによりまして削減される報告者数は、 病院が約200ということで当初予定客体数全体の
3%程度。一般診療所が約100ということで当初予定客体数全体の1%程度。そのほか、若
干の歯科診療所となっております。
▲ 引用終了 ▲

投稿: TAKESAN | 2011年12月 6日 (火) 01:07

第30回基本計画部会議事録(PDF)
http://www5.cao.go.jp/statistics/meetings/kihon_30/proceedings.pdf
※改行直しません。以下同様の場合も断りません
▼ 引  用 ▼
それから、患者調査につきましても、宮城県の一部、福島県の全域について調査を行わ
ないということで連絡しております。具体的に宮城県の一部というのは、津波の影響を受
けているところでございます。 沿岸部の辺りについてできないという形になっております。
福島県については、この患者調査も衛生部門を経由して調査しているのですけれども、地
震のほか、原発の避難者の対応等に忙殺されているということがございまして、こちらに
ついても調査を行わないことになっております。
▲ 引用終了 ▲
今までで最も具体的な説明。

投稿: TAKESAN | 2011年12月 6日 (火) 01:11

ここまで示してもまだ納得のいかない人へ。

自分で厚労省なり福島県・宮城県なりに問い合わせて下さい。
猜疑はいくらでもやろうと思えば出来るので。

真面目に調べもせずにごちゃごちゃ憶測を重ねてもどうにもならないのですし。

投稿: TAKESAN | 2011年12月 6日 (火) 01:16

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/13103/43240111

この記事へのトラックバック一覧です: 資料――患者調査において、「宮城県の一部地域及び福島県の全域について調査を行わない」事について:

« 歪んだ正当化 | トップページ | 印象 »