« 幸せ | トップページ | 「欠如モデル」のアンケート »

2011年11月11日 (金)

世界

「論理的に可能である世界」
が、
「実際に理論的に成り立っている」
かどうかを判断するのに必要なのが、「知識」です。

世界は広く、個人の努力では知り尽くす事が出来ないから、数え切れないほど沢山の人が、途方も無い時間をかけて、「世界の在り方」を確かめていく訳です。

その過程で、「世界について解ってきた事」が、「知識」として蓄積されていきます。
何百年もかけて確かめて解ってきた事は、世界を「説明」出来るものとしても役立てられます。

「論理的に可能である世界」というのは言い換えると、「世界はこう出来ていても良い」という「可能性」の話です。
それはフィクションなどで描かれ、実際に「想像」は出来る世界です。
だけれども、その世界が、私達の住む「世界」と同じようなのかは、また別の話です。
だから実際に、私達が住む世界がどうなっているか、それを「確かめる」必要があるのです。
そして、「確かめられた事」が何なのか、というのを知る必要があります。「世界」についてものを言いたいのならば。それが「知識」であり「理論」。
「論理的に色々な世界が”可能”」である事と、「この世界でどういう理論が成り立っているか」は別なのです。前者は発想としては大切ですが、私達が今住むこの世界について何か言いたいのなら、後者を理解しなくてはなりません。

「放射能(この書き方はわざと)の味が判る」というのは、論理的には可能です。つまり、色々な事、それまでに蓄積されてきた知識を無視して考えれば、「そういう世界はあってもいい」。
けれど、「放射能」という言葉はそもそも、世界を知りたいと思って色々な実験をして確かめられた事に基づいて意味が持たされているものなのです。だから、細かい所、つまり「理論」を無視してはいけないのです、本当は。

「味」というのもそうです。私達が何かを口に入れ、「感じる」味。それがどうして感じられるのか、どういう仕組みで成り立っているのか、というのも沢山の人々が時間をかけて確かめています。それも、「世界」が実際にはどうなっているのか、を探究しようという営みです。
本当なら、そういう事も知っておかないと、「放射能の味」が判るという「感じ」が確からしいとは言えないのです。
考えてみれば、私達は「味」を「想像」する事が出来ます。あるいは、口にしていないものの味がする「気がする」時もあります。そういう、人間が持つ「感じ」というのは複雑で、外にある物そのものを反映しているとは限りません。それは、錯覚であったり、共感覚であったり、そういう事を思い浮かべてみれば、よく解ります。

だからこそ、思い込みなどをなるだけ取り除いて確かめる必要があります。まだまだ世界について解っていない事は多いけれど、もう解っている事もそれなりにあるのです。そして、私達が何気無く使っている言葉、憶えたての言葉、というのも、その「解っている」事を前提にしたものなのかも知れません。

考え方、つまり、色々な物事を組み合わせたり、想像を働かせて発想したり、はもちろんとても大切な事ですが、それとともに、「実際にどうなっているか」を知るのも大事です。「知識」を得る事。
それは、憶えなくてはならないものも多く、必ずしも面白いとは限りません。「もう解っている事」を勉強する訳ですからね。けれど、それを知らなくてはどうしようも出来ない、という情況も確かにあります。
自分が病気に罹って入院したり、身近の人がそうなったり、という経験がある人は、そうなった時に初めて、そこに関係する「知識」に触れて、いかに自分はものを知らなかったのか、と感じたり、関心を持ったら勉強する気になるものだな、と実感した事を思い出せるでしょう。診療や治療、看護がいかに、その「知識」に基づいて綿密に組み立てられているのか、を知って驚く場合もあるでしょう。

私達が泣いても喚いても、「世界の在り方」は変わりません。そして、「世界の在り方」については、沢山の事がもう確かめられています。だからそれを知るのは大事なのです。

本当は、泣いても喚いてもそれで世界が変わらない、という考え方自体も一つの前提です。「思いによって世界が変わる」というのも、「論理的には可能」とも考えられるかも知れないからです。ではそう考える事が確からしいのかどうなのか。それを知るためにも、「今解っている事」を身に着けるべきです。

|

« 幸せ | トップページ | 「欠如モデル」のアンケート »

「随想」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/13103/42967993

この記事へのトラックバック一覧です: 世界:

« 幸せ | トップページ | 「欠如モデル」のアンケート »