« 今クールアニメ | トップページ | 歯車 »

2011年10月26日 (水)

疫学とメカニズム

タイトルはちょっと大袈裟です。

えっと、津田敏秀氏の本のレビュー Amazon.co.jp: 医学と仮説――原因と結果の科学を考える (岩波科学ライブラリー)の多忙な暇人さんのレビュー で、

ピロリ菌の感染は94年に国際がん研究機関で「明らかに発がん性がある」に分類されましたが、日本の学者は「動物実験で確認されていない。」と否定的に受け止めました。著者はこの日本の反応の方が間違っているとします。

このような記述があったのですが(強調は引用者による)、この強調部分、つまり、”日本の学者は「動物実験で確認されていない。」と否定的に受け止めました。”というのは、事実なのでしょうか?
もちろん、学者と一口に言っても色々な立場があるでしょうから、そういう人がいた、というのはあるだろうけれども、ここではそういう話では無く、文脈を考慮すれば、ある程度一般的な傾向としてそれがあった、と主張していると読めます。で、本当にそうなのかな、と。今の時代に(1990年代は結構最近だと思う)、日本の医学界がそういう所に固執して学説を認めない、という「構図」が本当に成り立っていたのだろうか、とピンとこないものがあったのでした。
ここら辺の事情にお詳しい方がおられれば、資料等を教えて頂ければ幸いです。
この記述は、日本という、科学、あるいは医学医療が非常に発達している国における、ある分野に関わる学界全体の傾向をネガティブに(要するに、日本の医学者達は疫学の見方を弁えていない偏狭な考えだった、と評価しているのだから)論じているという意味で、かなり重要な部分と思います。

たとえばこのページ 北大を特徴づける研究分野および研究テーマ(PDF) を読むと、

○医学研究科の消化器内科分野はわが国で最も早くヘリコバクター・ピロリと胃疾患との関わりについての研究に着手し多くの業績を挙げ、世界をリードしてきた。浅香正博教授は、1996 年から 2000 年にかけ、文部省の科学研究費がん重点研究“ヘリコバクター・ピロリと胃癌の発生”班の班長としてヘリコバクター・ピロリと胃癌の関わりを疫学的観点から明らかにした。日本ヘリコバクター学会ガイドライン作成委員会委員長としてわが国最初のガイドラインを作り上げた。今年度から厚労省研究班(班長は加藤元嗣准教授)、10 年以内にわが国から胃癌で亡くなる人が激減する活動を開始している。

このようにあります(強調引用者)。津田氏の本の書評(私は未読なので、実物を確認出来ていません)を踏まえるならば、この研究というのは、「世界に遅れて」行われたと評価しなくてはならないと思うのですが、引用文によれば、「世界をリードしてきた」となっていますね。あるいは、浅香氏の研究班が日本の医学界としては「異端」だった、という事なのでしょうか。それもちょっと変な気がします。実際の所はどうなのでしょうね。どの辺りの本を読めば事情が解るのかな。

|

« 今クールアニメ | トップページ | 歯車 »

「科学論」カテゴリの記事

コメント

直感的には、「臨床研究で確認されていない」と言うのならともかく、「動物実験で確認されていない」と批判するというのが解らなかった。いや、これは、津田氏の本の文脈を参照しないと何とも言えないけれども。

投稿: TAKESAN | 2011年10月26日 (水) 16:19

たとえば、『胃の病気とピロリ菌―胃がんを防ぐために』辺りは詳しそうかな。

投稿: TAKESAN | 2011年10月26日 (水) 16:43

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/13103/42691630

この記事へのトラックバック一覧です: 疫学とメカニズム:

« 今クールアニメ | トップページ | 歯車 »