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2010年12月17日 (金)

科学とニセ科学と撲滅と

科学って、「今の所解っている事」の集まりです。実験や観察、あるいは調査によって(つまり、「事実に基づいて」)、これについてはここまで解っているけど、ここはまだ明らかじゃない、といった具合の。

で、色々な場面で、色々な人が出す意見には、「今の所解っていること」から「かけ離れた」主張があります。あります、と言うか、あり得ます。騙すためにわざと「作る」事も出来れば、うっかり勘違いして理解して、それを他人に披露してしまう事もある。他にも、自分だけすごい事や物を発見したんだ、と思い込んでしまう場合もあるでしょう。

専門に調べている人達――今は科学の話なので「科学者」ですね――でも意見が分かれるようなもの、新しい説が出されて議論中のものだったり、確かめているのがとても複雑な事であってなかなか結論が出ないものなどについては、全体的に見て、両方の考えの人がいるよね、まだ議論中だよね、みたいな現状と言えます。で、そういった議論中の事について、自分はこう考えている、と意見を出したとして、されている議論の内容や、それまでに確かめられ集められた証拠と比較して、それはちょっと言い過ぎなんじゃないかな、とか、そういう意見ならまあそんなに外れていないかな、とか、色々な評価を受ける訳です。まだまだ決着しておらず議論中の事柄ですから、相反する意見がぶつかり合う。どっちとも言えない。いわゆるグレーゾーンというやつです。科学的に審議中、といった所でしょうか。ですから、そういった事柄についての意見を、敢えて黒だ白だと分ける必要はあまり無いという事です。なにしろ議論中なのですから。

とはいえ、決着がついていない問題であっても、「今解っている所からかけ離れた事」を言うのは出来ます。それに、まだ議論中なのに、これが正しい事が分かった、と言っちゃったりね。もちろんそれはダメで、全体的に見れば議論中なので、そこは踏まえなくてはならない。

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話は替わって。

ニセ科学を批判する人に対して反論をする人が、「本心」を見透かしたかのように、「お前らはニセ科学を撲滅したいんじゃないのか(のだろう?)」といったような意見を寄越すのを見かける事があります。これはちょっとナンセンスと言うか、考えているものについての理解が疎かなのではないかな、と。

どういう事かと言うと、そもそも「ニセ科学」というのが、「今の所解っていること」との「関係」で成り立つものだから、です。
ちょっとややこしいですね。
最初の方で書きましたが、「科学」は、「今の所解っているもの」、です。科学が、「何もかも解っている」と考える人は多分そんなにいないでしょうし、「科学”を”何もかも解っている」と考える人も、まあそんなにいないでしょう。つまり、調べる事の出来る限界と、これまで調べる事が出来た範囲、があるし、沢山の人達が、それぞれ興味関心のある事柄について沢山の時間を費やして調べていく作業(営為と言った方がポジティブかも知れませんが)と、それによって積み重ねられた知識なのだから、科学には常に限界があって、常に姿が変わる。そして、それを全部知る事は、人間には適わない。

で、知る範囲に限界がある以外にも、人間の考えについて思いを馳せてみると、人間というのは、「誤る」し、「騙す」。うっかり間違い、「解った気になる」し、知らない人を意図的に騙す行為が出来る。

「ニセ科学」とは、科学の言葉を使いつつも、今まで解っている内容とかけ離れている意見ですから、その意見を出すきっかけとして、上に挙げた、
・誤る
・騙す
これらがあります。誤るというのは、正しいと思い込んでいても実は違っている事ですし、騙すのは、誤っていると判っているのに、自分の利益のためにウソをつく事。

それを踏まえると、「ニセ科学が無くなる」には、
・誤る人がいなくなる
・騙す人がいなくなる
この必要があります。

「今解ってる事」について、「解っているつもりで実は解っていない人」って、絶対いなくならないですよね? 勉強不足だったり勘違いだったり、理由は色々。
そして、「解っている」のに「知らない人を騙す」人がいる。

科学が「知識」である以上、それを知らない人が一定の割合でいるのは、これは当たり前の事です。それに、「全部」を解っている人なんていません。
「ニセ科学を撲滅」を言い換えて、「過ちをおかす人間を撲滅したいのか?」と言われたと考えるとして、それが実現された状況というのを、私はちょっと想像出来ません。そりゃまあ、「撲滅」なんか無理でしょ、と返す他ありません。

ニセ科学を広める人というのは、過ちをおかす人間の一部ですから、それが無くならないと、ニセ科学自体もなくなりません。要するに、常に生まれる可能性があり、誰でも生み出す可能性がある訳です。

もう一つ、「科学」を撲滅すれば「ニセ科学」も撲滅されるかも知れませんが、まあ、それは冗談です。「科学が撲滅された世界」というのは想像しがたいものがあります。

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