1割?
<早大>学生の1割「周囲に大麻所持者」半数以上が入手可能(毎日新聞) - Yahoo!ニュース
タイトルに、「学生の1割」とありますね。でも、記事を見てみると、
調査は昨年12月~今年1月、全学部生と大学院生(計約5万3000人)を対象に実施。約4700人(8.8%)から回答を得た。周囲に違法薬物の所持・使用者が「いる」と答えたのは9.9%で、
こうあります。全学部生と大学院生を対象、となっているので、全数調査ですね。それで、回答割合が約9%と(相当低いですな)。その中で約10%が、「いる」と答えたのだから、結局、約470人程度が「いる」と答えた、という事です。それをもって、「学生の1割」とするのは、どう考えてもおかしいと思います。実際に「いる」と回答したのは、全学生中1%未満なのですし。全数調査を企図したので、結果的に集まった4700人の回答をそのままランダムサンプルと看做す訳にもいかないから、推定も単純には出来ない。
可能性としては、約470人が、特定の数十人程度の事を言っている、というのも考えられますよね。クスリなんかやってる人間は噂になるだろうし、「周囲」というのが友人関係を指すとも限らないから(これは、質問文を見ないと何とも言えませんけれど)、情報があれば「いる」と答える、というのは、考えられないでは無い。
と、こういう事を鑑みれば、やはり書き方に疑問が残る訳であります。
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コメント
回答率やランダムサンプリング以前に、「周囲に大麻所持者」を調査する意味が分かりません。
50人ぐらいの集団だったら、みんな顔見知りでしょう。大麻所持者が1人だとしても、全員10割が「周囲に大麻所持者」が「いる」と答えるかもしれないし。
これは、交友関係の狭さを調査しているのかも?
投稿: zorori | 2009年3月18日 (水) 06:48
zororiさん、お早うございます。
こういうのは、「誰かが持っているらしい」という噂を聞いたのに基づいて、「所持者がいる」と言った可能性もありますしね。必ずしも、直接所持者から聞いたとか、持っている所を見た、とは限らない訳で。
もちろん、そういう情報がどのくらい広まっているか、を調べる事自体には意味はあると思うのですが、そこから件の記事のタイトルの書き方になるのは、いかにもミスリーディングに感じます。
投稿: TAKESAN | 2009年3月18日 (水) 10:24
関連記事
○http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090317-00000174-jij-soci
え、「インターネットを通じて」? どういう調査法だったんだろう。
○http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090317-00000894-yom-soci
▼▼▼引用▼▼▼
『まわりの人』がすべて早大生ではないが、
▲▲引用終了▲▲
ご尤もですね。
▼▼▼引用▼▼▼
このうち、違法薬物を所持したり、使用したりしたことがある人が周囲にいると回答したのは、全体の約1割にあたる464人だった。
▲▲引用終了▲▲
「全体」で「回答した人」を指しますか。ちと紛らわしいね。
投稿: TAKESAN | 2009年3月18日 (水) 10:35
朝日⇒http://www.asahi.com/national/update/0318/TKY200903170401.html
NHK⇒http://www.nhk.or.jp/news/k10014821361000.html
入手のしやすさについて、ですが。
そもそも大学生が違法薬物を所持・使用して捕まったというニュースが世間を騒がせている訳だし、ニュースの特集で売人がどうだこうだ、なんてのを流しているのだから、手に入れようと思えば出来る、という認識を形成しても全然おかしく無いでしょう。
私でも、「なんとか手に入る」(なんか変な日本語)と答えます。方法なんて知らないけど、調べれば解るかも知れない、という程度の認識なのに。
どこそこに売人がいるらしいぜ、なんて噂は昔、実しやかに語られているのを聞いた事はありますけどね。
投稿: TAKESAN | 2009年3月18日 (水) 10:50
正直、この一連の記事を見て思うのは、早稲田大学で、こういう調査、統計なんていうものを教えている教員は、この発表をどう思っているのだろう? という疑問です。
サンプリング、質問票、その分析…と、三拍子そろった「ダメ調査」としか思えないですから…これ…。
誰か、発表を止めようとする人はいなかったのかな、というのを素直に思います。
投稿: たこやき | 2009年3月18日 (水) 13:32
たこやきさん、今日は。
どういう経緯で行われたんでしょうね。と言うか、誰が取り組んだのかな。プレスリリースが出てないっぽいので、何とも言えませんけれども。
いずれにしても、この発表のされ方、報道のされ方っていうのは、かなり微妙に思います。
悉皆調査でWEB回答、そして回答割合9%というのは、なんだかよく解らないなあ、という感じです。どう「募った」のでしょうね。プリントを配ったり掲示板に貼り出して、「学内ネットで答えてね」、とかしたのかな。でも、「インターネット」とありますね。学外からアクセス出来る学生専用のサイトがあったりするのかな(学生番号とか入力してアクセスするのとかありますよね)。
もしそうだとすると、めんどくさくてわざわざ答えない、という人は沢山出てきそうです。比較的問題意識の高い人が答えやすくなる、とか。
------
http://33765910.at.webry.info/200903/article_14.html
▼▼▼引用▼▼▼
回答数が4700と、十分に意味のある数字が得られたようです。
▲▲引用終了▲▲
そうかなあ? 初めから標本調査が目的で、回答割合が高いのなら、まあそう言えるかも知れないけれど…。少なくとも、この調査の回答者の10%がいると答えたから、全学生でも大体その程度だろう、というのは「言えない」訳で。
これに基づいて、以前行われた調査の2.4%という数値とそのまま比較するのは、どうなんでしょう。
------
ああ、これかな⇒http://www.shikoku-np.co.jp/national/social/article.aspx?id=20081117000120
▼▼▼引用▼▼▼
早稲田大は全学生に違法薬物の使用を戒める警告のメールを送信し、大麻など薬物に関するアンケートを実施する。
▲▲引用終了▲▲
どうなんだろう。警告のメールとやらとアンケートのメールは同じもの? それとも、別の話?
もし同じメールでの話だとしたら、これは結構やっつけな気が。そういう募り方では、よほどきちんと考えていないと答えないと思います。初めから標本調査にした方が良かったかも、と。ネットで、だから、アンケートフォームに誘導するか、返信させて集計取るか、ですよね。どちらも非常に面倒。
投稿: TAKESAN | 2009年3月18日 (水) 16:48
早稲田のリリースが上がってました。18日付。見逃してたのかな…。
PDFファイルです⇒http://www.waseda.jp/student/weekly/info/weekly_gougai.pdf
今から読もう。
それにしても、全数調査で有効回収率9%って、異常に低いですよね。
投稿: TAKESAN | 2009年3月22日 (日) 20:56
早稲田のリリースを読みました。
大麻についてのみの調査じゃなかったのですね。
麻薬・覚醒剤、大麻を十把一絡げにした、薬物への誤解を広める調査ではないかと感じました。
例えば、「Q4f.タバコより害が少ない 」はどの薬物かで答えが違うはず。
共通点は「違法薬物」という点だけではないかと。
投稿: zorori | 2009年3月24日 (火) 00:06
zororiさん、今日は。
調査として大雑把、な印象ですね。「調査」というより、「調べてみた」、と言うか。
調べたい人の内のこのくらいの割合の人がこう答えた、以上の事は言えないですね。少なくとも、各紙の記事で紹介されているような説明は、適当とは言えないように思います。
投稿: TAKESAN | 2009年3月24日 (火) 11:11