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2009年2月25日 (水)

出力

森博嗣さんは、小説の執筆において、一時間で6000文字程度書かれるそうです。

私は初めてこの話を見た時、驚きました。10分で1000文字ですから、尋常では無い。しかも、物語を書いていく訳ですからね。

それで、この事について、森さんは色んな所で語っておられるんですけれども、そこで、大変興味深い事を言っておられるのですね。たとえばここを参照⇒Science Xitalk - サイエンス・サイトーク ※執筆時点での最新回が、森さんの回なので、トップページにリンク。その内バックナンバー入りすると思います

以下、上記リンクの番組の内容を一部含みます。内容を先に知りたく無い、という方は、ラジオを先にお聞き下さい。

森さんによれば、小説を執筆する際は、頭にあるものを出力するだけだから速い、との事です。ですから、論文を書いたり(文献を参照する)、書かれたものを写す(原稿を見る)場合は、小説よりも遅いらしい。

ここが私には驚きでした。

と言うのも、私自身は、全く逆に考えていたからです。

私は小説を書いた事はありませんけれども、原稿をワープロで写す、というのは学生時代にやっていて(検定ってやつです)、最高に速い時で、大体10分間に1000文字弱くらいだったんですね。自分の感覚だと、写すだけの方が圧倒的に速い。実際、ローマ字入力で10分900字くらいというのは、結構速い方だと思います。

そういう私からすると、脳内で描かれた映像を文章にして出力していくのがその速さというのは、ちょっと想像を絶する仕事に思えるのです。いや、小説を書く人が大体平均的にどのくらいの速さなのかは知らないのですが、ワープロ検定一級レベルの速さで書くのだから、平均よりはある程度離れて速い、と看做して差し支え無いでしょう。そもそも森さんは、速筆で有名ですしね。

そして、そういう出力が出来る人が、原稿を写したりするのは遅くなる、というのが興味深いのです。これは、認知の仕方に異なりがあるのを意味しているのでしょうか。

余談ですが、漢直(漢字直接入力)のエキスパートは、10分間で2000字程度打てて、しかも、会話しながらでも、速さを落とさずに出来るそうです。これもものすごいですな。

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「随想」カテゴリの記事

コメント

こんにちは、TAKESANさん。

>森さんによれば、小説を執筆する際は、頭にあるものを出力するだけだから速い、との事です。

私も結構早くて、3000字/30分くらいは書くかも知れません。私の場合は、掲示板でのコメントであったり、労組の機関紙へのコラム記事であったりするんですけどね。私は、独特の文体で書いていますが、これって実は会話調なんですね。つまり話す速度と同じスピードで頭からは出てくる訳で、それをキーを押す動作にしているだけなんです。実際に話すよりは遙かに遅いので、本人としては結構ゆっくり考えながら書いている訳です。

昔、大学の先生から学生君を預かって卒論の指導をしたことが有ったんですが、「うまく卒論が書けません」というのに対して、「書こうと思わずに話してごらん」というのが私の指導方法でした。まずきちんと筋道を立てて話すことができない内容は基本的に書けない訳です。何度も話させて、筋道をたてて話せる様になったら、「それを話し言葉でいいからワープロで打ち込んでごらん」になり、後は口語体を文章らしく直すだけノコとデスね。私に言わせると「話す力」を磨いていないと、なかなかサクサクとは書けないものです。

投稿: 技術開発者 | 2009年2月25日 (水) 12:50

技術開発者さん、今日は。

会話調の方が速く書ける、というのは、実感として解る気がします。

▼▼▼引用▼▼▼
「書こうと思わずに話してごらん」
▲▲引用終了▲▲
これは、確かにそう思いますね。

今はめちゃくちゃ遅くなったんですが、その一つの理由として、MS-IME先生のお蔭もありますですね(笑)

でもやはり私は、写す方が圧倒的に速いです。検定って、5文字くらい間違ったらおしまいなので、そういう厳しい条件も効いたのかも知れません。

投稿: TAKESAN | 2009年2月25日 (水) 13:20

 測ったことはないけれど、私の場合もそれなりに短時間でたくさん書いてると思います。技術開発者さんと同じで、話す速度で文章は出てきますが、入力の方が話すよりは遅いので、話す時よりもまともな文法に直しながら書く余裕があるため、話言葉よりは文章の構造が定まった内容になります。
 内容が決まっている場合だと、確かに、お手本となる文章を写すよりも早くキーボードを打てそうです。自分の実感ですが。

投稿: apj | 2009年2月26日 (木) 00:38

apjさん、今晩は。

なるほど、面白いですね。

うーん、これは、自身の思考が拡散してまとまらないのを物語っているのかも…。
あ、でも、チャットだと途端に速いですね。これは、会話そのものだから、頭がそういう体制になる、という事なのかも。まとまった文章を書こうとすると、変に構えてしまうのかも知れません。

それにしても、頭にあるのを10分で1000字出力、ていうのはさすがに真似出来ませんねえ。

投稿: TAKESAN | 2009年2月26日 (木) 01:06

小説の例として。
昔、ラノベっぽい小説を書いた時は、最高で二日がかりで40枚、16000文字でした。没分合わせても20000文字というところでしょうか。プロットが完全に決まっていて、シーンのイメージも固まった状態で、この数字です。知り合いの本職に聞いた所、修羅場で一晩90枚36000文字書いて、人間死ぬ気になればできるもんだな、だそうです。
一時間で6000文字って言うのは正直桁違いと言う認識ですね。もしくは携帯小説とか。
しかし、このペースが維持できるなら一日3時間の執筆でも一週間で本一冊できてしまいますね。月産3冊が可能なペースです。
なお、上記の本職に聞いた話ですが、ラノベ作家は大体月産一冊(300枚、120000もじ)程度書ければ一人前だそうです。むろん、プロットや構成の打ち合わせ、ネタだし等を経て書き出す上に誰も締め切りを守らないので、実際は三ヶ月に1冊年4巻出れば順調なペースらしいですよ。

投稿: T-3don | 2009年2月26日 (木) 20:36

ポッドキャストで聞いてみました。

最初「一時間で六〇〇〇文字」と聞いたとき、六〇〇〇文字分連続打鍵する全体的な労力を考えてゲッソリしたんですが(笑)、よく聞いてみるとこれは時速換算みたいですね。

流石に肉体的限界で一五分とか二〇分打ち込んだら、後は他のことをすると言っていますね。で、もっと細かく言うなら、これは実質文字数だそうですから、原稿用紙換算だと改行で空の升目が出ますから、もっと枚数が多いと謂うことになります。

この条件なら、たしかにオレでもそのくらい打つことはありますね。ただ、その後にイヤと謂うほど弄るので、一回打ってオシマイと謂うことはまずないですね。

談話を聞くと、森博嗣の場合は頭に浮かんだ映像を書き取るようなイメージで打ち込んでいくと謂うことですから、これは速記に近い感覚かもしれません。

ただ、速記の場合は他人の談話を正確に写し取る必要がありますが、小説ならそれは自分の文体で好きに書いて好いわけですから、たしかにこの方式ならこのスピードで打鍵することは可能かもしれません。

彼自身、頭の中の映像の速度に合わせる為にこう謂うふうに急いで打ち込んでいると言っていますから、話の上での辻褄は合っていると思います。ただ、一旦書いたものを何度も推敲したり書き直す人間から視ると、打ち込んだテクストを弄る作業はしないのかしら、その分は計算に入っていないのかな、とちょっと思います。

これはちょっと論点がズレますが、この談話で森博嗣はビジネスとして小説を書いていると謂うような話を強調していますから、この打鍵の話もあんまり額面通りに受け取ることでもないのかな、とも思います。

冒頭の「あと一五作」のくだりを聞いても、或る程度受け手に与える効果を計算して、戦略的な自己演出として発話しているような印象を覚えますね。

おそらく、概ねそんな書き方はしているのでしょうけれど、それ自体はいろんな細部を端折って単純化された自己演出の談話として受け取るのがちょうど好い距離感かな、と思います。

投稿: 黒猫亭 | 2009年2月26日 (木) 22:01

T-3donさん、黒猫亭さん、今晩は。

確か、森さんは推敲に時間をかけるんじゃなかったかな。なので、件の話は、純粋に、文字の出力の事だと思います。もちろん、タイポの頻度や、推敲にかける時間などについて、ちょっと判らないですけれども。

で、色々勘案して差し引いたとして、それにしても速い、というのが私の感想ですね。実際、執筆のペースを考えると、超速筆に間違いは無いだろうと思います。

森さんは、精緻な映像認識をされるそうなので、そこら辺も関わってるんでしょうね。

余談ですが、私の場合、武術関連エントリーは、他に較べて圧倒的に執筆が速いです。何故か知りませんが。

投稿: TAKESAN | 2009年2月26日 (木) 22:52

こんにちは。

実は私も、写すより自分の文章を書く方が早いですね。もっとも、私の場合は映像ではなく、頭の中に書いた文章を引き写すという感じです。勿論推敲はしますが。
でも書いてあるものを写す場合には、一旦読んで脳に入力してそこから出力しなければならないので、二倍と言うと大袈裟ですが、そこそこ時間がかかります。

ただこれはおそらく「読んで」しまうからでしょうね。TAKESANさんの様にワープロ検定とかのトレーニングを積むと、意識してやらなければならない部分をショートカット出来、言わば「反射的に処理出来る様になる」のではないでしょうか。

何か「意識とトレーニングと身体運動の効率化」って、TAKESANっぽいキーワードですよね。

>私の場合、武術関連エントリーは、他に較べて圧倒的に執筆が速いです。
何の根拠もありませんが、これも多分「書く内容のイメージが明確になっているから」ではないかと推測します。

投稿: PseuDoctor | 2009年2月28日 (土) 12:47

PseuDoctorさん、今晩は。

そうですね。初めから「いかに速く正確に打つか」が求められるので、色々節約する必要があります。後、変換の仕方なんかも工夫して、とにかく「画面を見ない」で打つ訓練をするんですね。検定だと(私の受験した当時)10分間に800字ちょっと打つのですが、最後まで打ち終わる間に、ディスプレイを見るのは多分10回以内。

キーの打ち間違いは、指の知覚だけで判るので、後は変換ですよね。カタカナ語は絶対無変換キーでカタカナにする、とか、単語を敢えて分解して別々に打つ、とか、色んなコツがあります(笑)

で、最後まで打ち終わって、全体にタイポが無いかをもう一回見直す訳ですね。1・2分くらい余ってるので。

今はもう、全く出来ないですが…。

武術関連に関しては、仰る通りだと思います。知識としても整理されているし、ビジュアル的なイメージもより精緻ですね。

投稿: TAKESAN | 2009年2月28日 (土) 16:43

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