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2009年1月13日 (火)

ケータイDE学力低下

<学力・生活実態調査>携帯電話で学力低下 持ち込み禁止対応も--尼崎市教委 /兵庫(毎日新聞) - Yahoo!ニュース

記事に、いくつか突っ込み所が。

  • 「携帯電話で学力低下」の、携帯電話”で”というのが何を意味するのか。それが原因となると読めるが、どういう論理か。
  • つまり、仮に、携帯電話を使う事で勉強時間が減る、といった理由があるとして、それを「携帯電話”で”」と表現する事に問題は無いか。
  • 分布のどこに位置するか、という指標の「偏差値」を、即「学力」の尺度と考えても良いのか。
  • 偏差値の数ポイントの差を、実質的な差と考えても良いか。偏差値の変化を「学力の変化」と考えるのは適切か(て言うか、何が下がったのでしょね。どのデータをどういう風に処理しているのか※)
  • 学力と携帯電話所持に関連があるとして、携帯の持込を禁止して、果たして学力が向上するか。強い因果関係が無ければ、そうはならないはず。
  • 仮に、他の干渉変数があり、それが「勉強時間」だとするなら、携帯電話所持を禁止したとしても、学力は向上するとは限らない。携帯電話が無ければ勉強をする、とはならないから(ケータイと勉強以外にする事が無いならともかく)。

※どんな方法なんでしょうね。尼崎市のサイトを見ても、資料はありませんでしたので、未確認。まさか、偏差値を平均したとか? 記事からは全く判らんですが。

他に何か突っ込みあります?

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「科学論」カテゴリの記事

コメント

http://www.city.amagasaki.hyogo.jp/dbps_data/_material_/localhost/sosiki/101/20081203report20.pdf

一応、これが資料にはなると思います(47頁、48頁に言及があります)
ただ、これを見ても、3年間持たなかった生徒がどの程度なのか、とかサッパリわからず、また、他の要因なども関係なく「妨げとなるのは明らか」と書いていますね。

投稿: たこやき | 2009年1月13日 (火) 00:37

たこやきさん、今晩は。

あ、資料あったんですね。探し出せなかった…。

後で読んでみます。教えて頂いて深謝。

投稿: TAKESAN | 2009年1月13日 (火) 01:22

こんちは。
上の資料、ぱっと見びみょいですね。
携帯を中2から持つグループ、中3から持つグループでそれぞれ成績が低下した~
とかいってますが、まずサンプルについて抽出方法はおろかサイズさえ分からない。また最初の中学生のグラフで、縦軸が偏差値だが、何の偏差値(全体の平均?)か不明。そのあとの表もケータイ「持ってる人」「持ってない人」についてサイズをはじめ情報がない。
こうした不備だけでも調査の妥当性が相当疑われますね。何を測ってるか分からないので。
 また、妥当性があったとして低下の差がはたしてどれだけ意味があるのか何の検定もされてないのでわかりません。テストの難易度が変われば偏差値の差の意味も変わってくるし、そもそも中学生の低下というのがほとんんど2ポイントの差しかないので、ぱっとみ誤差の可能性が高くみえます。得点率の平均も同様。
 こういう欠陥はこういう調査にはありがちなのかもしれないが。この調査からはケータイと学力に関して何も言えないのはたしか。
調査やった志水宏吉は、割とまともな教育社会学者のようですが。http://mytown.asahi.com/osaka/news.php?k_id=28000000810180002
いや、でも社会学者ってのは表グラフの扱いはこんな感じだったか~


投稿: blupy | 2009年1月13日 (火) 05:11

おはようございます。

見かけの相関に類する話かなと思いました。
この種の調査で思い出すのは、大昔「長髪にすると不良になる。」と言われたことです。そして、そう言っていた先生や親はそれが見かけの相関であることをわかって言っていたように思います。

要するに、長髪にすると不良と見分けがつかなくなるので、紛らわしいからやめろということだったように思います。当時は長髪と不良に関する調査なんてなかったので、かえって誤解がなかったかもしれません。

投稿: zorori | 2009年1月13日 (火) 07:00

こんにちは。

もしこの調査に、「トイレでしゃがんでいる時間と学力の関係」なんてデータが入ってたら、全体の信頼性がぐっと下がりそうだなぁ、なんて思いました。

冗談はおいといて、

>携帯電話が得点率に及ぼす影響は大きく、特に中2、中3 の女子に与える影響は大きい(47頁)

たしかに「影響は大きい」のでしょうが、この調査では、「子供は誘惑に弱い」ぐらいしか言えないように思います。

あと、意地の悪い見方をすると、「今後の取組の方(56頁)」の「家庭では」に、「ゲーム」が出てこないのが気になりました。「ゲームをしない」が増えているのに、学力が落ちているからか、削ったのかなと思いました。

投稿: A-WING | 2009年1月13日 (火) 10:23

皆さん、今日は。

今資料を読んでいるのですが、blupyさんが言われるように、なんだか微妙な感じがしますですね・・。

▼▼▼引用▼▼▼(P48)
携帯電話の所持と成績の関係について、中3を対象に中1の時点からの変化(注 6)を追った。
男女共に中2で携帯を持った生徒( 「なああ」グループ)と、中3で携帯を持った生徒( 「ななあ」グループ)の成績は落ち込んでいる。特に中3女子で携帯を持つようになった「ななあ」グループの落ち込みが最も大きい。このことからも携帯電話がいかに成績に影響をしているかがわかる。確かに携帯電話は便利な持ち物である。しかし、成績の面から言えば、確実に学習の妨げになっていると言える。
▲▲引用終了▲▲
(改行は適宜修正)

これとか、言い過ぎと思います。

これって、全数調査じゃ無いんですよね(全数で4000人弱というのは無いだろうし)。とすると、これもblupyさんが仰るように、一般化は出来ないですね。どういう抽出かも書かれていないから、検定とか推定をしても良いかどうかすら解らない。言えるのは、今回調査した集団でどうだったか、という事くらい。

仮に無作為標本だとすれば、誤差は小さくなり、小さい差が見出されたと看做して構わないかも知れないけれど、それを実質的な「学力の差」と見られるか、また、携帯電話が強い影響を及ぼしているか、というと、非常に微妙に思います。

て言うか、(別の所の話ですが)通過率という割合がわずか3ポイント程度違ったからといって、そこからわざわざ「下回っている」だのを言う必要があるのだろうか…。グラフでちゃんと原点を取れば、全く印象違うし(ほとんど一緒じゃないか、となると思う)。

後、時系列の変化で無いグラフを安易に線で結んではいけないような。非常に紛らわしい。

「携帯電話×性別×偏差値(中 1→中 3)」のグラフも、スケールを変えれば印象が全然違いますね。
縦軸の偏差値って、全員の偏差値の相加平均? 何ゆえ偏差値? て言うか、ここで書いてある偏差値って何だろう。一般的な偏差値の事ですよね、もちろん。
そもそも、最も下がっているもので、3ポイント低下ですぜ。それは「落ち込み」なんて表現出来るかな。

男子の「あああ」グループは、中二~中三にかけて上昇してるけど。

女子の「ななな」グループは、中二~中三にかけて下降してるし。

しかも、ケータイの「ある/なし」ですからね。常識的に考えて、ケータイを持っているか持っていないかで二分する意味が解りません。どの程度使っているか、というのを数量化しないと情報が少ないんじゃないですかね。

ちょっと書いているとキリが無いし、読むのが疲れる資料ですね…。

zororiさんが言われる擬似相関はありそうです。だから、ケータイを禁止して即学力が上がるか、というと疑問です。
そして、ケータイを禁止したら学力が上がった、というのが見られたとしても、実際的には(実験的状況では無いから)、ケータイを禁止して後の条件は全部同じにする、というのは不可能だから、ケータイ禁止を「したから」と即言える訳では無いでしょうね。

>A-WINGさん

つい勘繰っちゃいますよねえ。ゲームはこの種の調査で定番のように出てくるので・・。

投稿: TAKESAN | 2009年1月13日 (火) 13:56

亀@渋研Xさんの所からTBがありますが、参考になりますので、そちらもどうぞ。

投稿: TAKESAN | 2009年1月13日 (火) 13:58

TAKESAN、こんばんは。

志水宏吉は、結構まっとうな学者だと思うんですが、この結果は?ですね。
余談ですが、社会学の学会が中心になって、社会調査士という資格がつくられています。
それだけに、まっとうな結果を期待したいところなんですが。

大事なのは、この結果から何を読みとるかですね。
中3から携帯をもった女子にインタビューしてみると、実は「夜遊びするために携帯が必要だった」なんてことであれば、学力低下の原因は「夜遊び」であって、携帯ではありませんね。だから校内に持ち込み禁止にしても意味がありません。
相関関係が見られたということは意味があることかもしれませんが、それはあくまでも入り口であって、それから調べなければいけないところもあると思います。

投稿: ドラゴン | 2009年1月14日 (水) 20:33

志水教授なのですが、概要を読むと…

「生活実態調査は、学力と生活の関連がより明確に分析できるよう、大阪大学の志水宏吉教授に依頼し作成した。調査結果については、学校や家庭での過ごし方、学習に対する意識や態度、将来の進路希望等について、学力とのかかわりについて総括的に分析した。」(1頁)

と、あります。
これ、そのまま読んで、質問票の作成が志水教授で、分析は教育委員会、という可能性はないでしょうか?
これを専門家がやったと思いたくない、という願望がかなり入っていますが(^^;)

投稿: たこやき | 2009年1月14日 (水) 22:53

ドラゴンさん、今晩は。

社会調査士というのは、しばしば見聞きしますね。

学力の高低に勉強時間が関わっているというのは、一般論として正しいと見ても構わないだろうと思います。

で、必ずしも勉強時間を長くとったからといってその分向上する訳では無いでしょうから(いわゆる「質」があるでしょうね。効率の良さみたいな)、そこそこ高い相関関係があるだろうな、という推測になるかと考えています。

で、そうだとして、じゃあ勉強時間を増やすにはどうすれば良いかと考えるならば、興味を持ってもらうよう仕向けるとか、強制的にやらせるとかがある訳で(あくまで例です)、ケータイを禁止すれば、というのは、果たしてどの程度効果があるのかな、と。

私の学生時代の経験からすれば(あくまで個人的な経験)、勉強しない奴は、勉強の代わりにやってる事を禁止されたりすれば、別の「勉強以外のもの」に目を向けるんですね。
勉強をやらせるために何か禁止されたら、勉強なんかやってられるか、と益々なった事でしょう、私なら。

------

たこやきさん、今晩は。

その可能性、無きにしも非ずですよね。専門家のものにしては、あまりにも解釈が雑ですからね…。

一応、調査票作成者と、公開された資料における分析者とが異なる可能性がある、というのは念頭に置いておいた方がいいかもですね。

投稿: TAKESAN | 2009年1月15日 (木) 02:05

>私の学生時代の経験からすれば(あくまで個人的な経験)、勉強しない奴は、勉強の代わりにやってる事を禁止されたりすれば、別の「勉強以外のもの」に目を向けるんですね。

それ、大学受験の際のぼくです。禁止されたわけじゃないけど同人誌とバンドをやめて、パチンコしてました。相変わらず勉強はしない。当時の言い訳は「やめるだけで精一杯」。何様。

投稿: 亀@渋研X | 2009年1月15日 (木) 22:51

亀@渋研Xさん、今晩は。

上の方にも書いたように、ケータイか勉強しかやる事が無いのならともかく……なんですよね。

まあ、勉強をやらないのは、やらない理由があるんですな。つまらない・意味が解らない・役に立たない(と勝手に思っている)・型にはまった知識を憶えるなんてやってられるか・勉強だけが能じゃ無い(勉強をやらない事の正当化にはならない事は頭の外に) 等々…。

投稿: TAKESAN | 2009年1月16日 (金) 02:15

この調査ですが、『サンデー毎日』2月1日号に掲載されていました。
調査結果はあまり疑問視していないようでした。

投稿: アルファ | 2009年1月21日 (水) 23:11

アルファさん、今晩は。

ありがとうございます。

この結果、解釈をどうするか、という問題がありますものね。出ているデータからは、特に何かをはっきり言えるようなものでは無いから、ケータイで学力が低下するという結びつきを仄めかすような解釈は、適切では無いでしょうね。

投稿: TAKESAN | 2009年1月21日 (水) 23:47

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