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2008年12月26日 (金)

対談

はてブ経由で⇒日経サイエンス 日経サイエンス 2009年2月号

茂木氏と伊勢田さんの対談が載っている模様。

spiklenci-slastiさんによれば、伊勢田さんは「忠告」をしたそうな。茂木氏の反応は微妙そうですが…。

そういえば、往復書簡はどうなったんだ、というのを最近何故か思い出したんですけど、どうなったんでしたっけ。

追記。

上で、「忠告」と括弧で括っていますが、これは、伊勢田さんの日記を踏まえたものなのですが、⇒Daily Life

書かれたものと「忠告」の意味合いに、ニュアンスはあるやも知れませんね。

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「科学論」カテゴリの記事

コメント

往復書簡は往路のまま、まだネット上には存在します(^^;。

投稿: pooh | 2008年12月26日 (金) 07:47

poohさん、今日は。

最早、斎藤さんも忘れてたりして……いや、さすがにそれは無いか(笑)

投稿: TAKESAN | 2008年12月26日 (金) 13:20

こんにちは。

a-geminiさんが「近来稀にみる痛快事」と評されていますが、この対談、実際になかなか楽しいものとなっていると、私も思います(しかし同時に歯痒くもあるのですが)。
また、茂木さんという人を考える際の資料としての価値も高いものだと思います。

そこで、以下に、『日経サイエンス』2009年2月号の「茂木健一郎と愉しむ科学のクオリア」での茂木さんと伊勢田さんの対談のなかで、伊勢田さんがメディアでの茂木さんの発言について触れた箇所(「科学者のメッセージの重要性」という見出しが付されたところ)についてだけ引用してみます。
といっても、TAKESANさんには事前にメールでのやり取りにて確認、許可をいただいていますから、特に目新しい情報を提供するということにはならないのですが、その他、ここを訪問されるみなさんのご参考になれば、と思います。
なお、引用元は同誌のp.112-113で、対談自体はp.108-113となっています。

---以下引用---

伊勢田 科学者が一般の人に発するメッセージも重要だと思います。例えば, テレビや雑誌では, ある食材を食べると体脂肪が減るとか, 頭の働きがよくなるといった情報が流されることがあります。しかしその話の元になる研究を調べると, 抽出成分の直接投与だったり, 日常的にありえないような大量投与だったりと, 日常的な食材の経口摂取による効果には直接結びつかないものであることがよくあります。でも, 一般の人は科学者のコメントがあれば, 科学的事実だと思いこんでしまいます。茂木さんも, テレビ番組で脳科学について語ることが多いと思いますが。

茂木 ええ。気をつけなければならない問題です。

伊勢田 茂木さんが出演されていたバラエティー番組で, 男女の脳の解剖学的所見や機能の差の話から, それによる恋愛戦略の違いを考えるというものがありました。解剖学データはきちんとした科学的な裏づけがあると思いますが, それが男女の恋愛戦略の差に本当に関係しているかどうかはあくまでも推測です。特に茂木さんの問題というわけではなく, テレビ番組やポピュラーサイエンス本などではよくある例ですが。

茂木 そうですね。それについては, 最近, 自分の中で整理がつきました。この例でいうと, 男女の脳に解剖学的な差があること, 特定の刺激に対する脳の活動に差があることについては科学的な研究があります。例えば, 熱烈な恋愛状態にある被験者に恋人の写真を見せたときの脳活動を調べると, 女性では前頭葉で客観的・批判的判断をつかさどっている領域の活動が落ちているんです。「愛は盲目」という現象を, 脳の活動で表したことになります。もちろん, 解剖学の差も機能の差も統計学的な処理によるもので, すべての人に当てはまるわけではありません。

伊勢田 すべての人に当てはまらないというだけでなく, 実際的なアドバイスに使おうと思うなら, その結果が何を意味するかの解釈にももっと慎重になる必要があります。番組では一気にハウツーにもっていってしまったわけですが。

茂木 確かに科学的とはいえない。ただ, 科学論文は一般の人にとっては無味乾燥なものです。しかも, 人間はすべて科学的根拠で生きているわけではない。どう生きようかと考えているときに, ヒントとなるアイデアを提供できたらいい。いわば, ここから先は生命哲学の問題だと考えています。

伊勢田 だとしたら, メディアで発言するときは, ここまでが科学で, ここからが生命哲学だと区別する必要があるのではないですか(笑)。

茂木 その点, かなり慎重に話しているつもりですが, テレビ番組の場合, 収録した内容全部が放送されるわけではありません。自分で, 全体の論旨をコントロールできないという問題がありますね。

伊勢田 それは理解できますが, そのような場合は出演しないという選択肢もあるのではないですか。

茂木 それもひとつの選択肢だと思います。メディアに登場する科学者の見識に任されている面もあるので, 私も注意しているつもりです。ただ, 科学的なエビデンスとしていえることはきわめて限られていて, しかも科学的であると判断するための境界線にもグレーゾーンがある。その違いは相対的なものです。

伊勢田 グレーゾーンがあるというのはたしかにそうです。いずれにせよ, マスメディアの側にも科学情報の伝え方のルールが必要です。例えば健康食品を紹介する際には, 基礎科学データと実際の商品の効能を安易に結びつけないなどです。そうしないと明らかな疑似科学を広めることにつながります。

茂木 いちばん慎重な態度を取ると, 脳については何もいえない。例えば, 人間の言語能力の習得には, 臨界期があるということは定説のように考えられていますが, 本当にあるのかどうかはわからない。そこから先は生命哲学。なぜ人間が生命哲学を持つかについては, 私が関心を持っている脳科学の研究領域のひとつです。簡単に説明すれば, 生き物は論理的思考だけでは生きていけないので, 不確実性に対する適応戦略のひとつとして生まれた。後は, いかによい生命哲学を持てるかどうかなんです。

---以上引用---

また、問題とされていると思しきテレビ番組(2008年10月20日放送の『あいのり』)について、視聴する機会がありましたので、そのなかでの茂木さんの発言について、ちょっと文字に起こして、以下のページにまとめてみました。
http://d.hatena.ne.jp/spiklenci-slasti/20081227/1230322513

こちらも、みなさんのご参考になれば、と思います。

それでは失礼します。

投稿: spiklenci-slasti | 2008年12月27日 (土) 13:11

spiklenci-slastiさん、今日は。

早速にコメント頂いて、ありがとうございます。

>皆さん

この茂木氏の発言、皆さんにもご紹介して検討されるべきものである、と思い、こちらに書いて頂くようお願いした次第です。
実際、『あいのり』の文字起こしと合わせて見ると、いかに茂木氏が科学者として危うい認識を持っているか、というのが解ると思います。

これだと、科学一般もそうですが、学問分野としての脳科学あるいは神経科学についても誤解を招きそうですね。

仙波 (他)『脳と生体統御』より、一節を引用してみましょう。
▼▼▼引用▼▼▼
 ヒトの脳の働きを理解するには,いろいろな立場がある。脳の解剖学的な構造や,内部での情報の伝わり方やその処理の方法,あるいは脳の中の物質の変化などを自然科学的に調べてゆく立場は,神経科学(neuroscience)といわれている。このシリーズではこの神経科学の立場,すなわち生物学・化学・物理学などの方法で脳を理解してゆく。脳の働きは複雑かつ多様であるので,特定の研究分野では覆いつくせない。したがって神経科学は学際的な分野であり,神経解剖学・神経化学・神経薬理学・神経内分泌学・神経心理学などの基礎科学のほかに,神経学や精神医学などの臨床医学をも内包している。
▲▲引用終了▲▲
果たして茂木氏は、こういった論理を踏まえた上で、メディアで発言しているでしょうか。

投稿: TAKESAN | 2008年12月27日 (土) 13:23

こんにちは。

検討すると言っても、正直、もう結論は出ちゃってると思うんですけどね。
「茂木健一郎はダメだ」っていう。
うちのブログでも、「週刊アスキー」での発言を引用したんですが、発言に最低限の一貫性すらないですから、批判しても「暖簾に腕押し」の感があります。
こういう人には、どう対したらいいんですかねえ。
そこら辺、ABO FANさんや論宅さんの相手をしていらっしゃるTAKESANさんのご意見を伺いたいんですが(笑)。

投稿: a-gemini | 2008年12月27日 (土) 15:15

ちょっ、今、神足氏との対談の部分を読んだのですが、マジで吹きましたよ。

▼▼▼引用▼▼▼
茂木 テレビってメディアは、ひどいですねぇ。
▲▲引用終了▲▲
(a-geminiさんのブログより孫引)

これはひどい。

いやあ、すごいですねえ…。

テレビはひどいメディアだから、自分の発言が適当に見えるのはしょうが無い、って事か? いやいや、喋っている内容そのものが充分ひどいし…。

▼▼▼引用▼▼▼
そこら辺、ABO FANさんや論宅さんの相手をしていらっしゃるTAKESANさんのご意見を伺いたいんですが(笑)。
▲▲引用終了▲▲
いやあ、私が相手出来ているか、というと、それは心許無いですし(笑)

場によって多少発言が変わる、というのはあると思うんですが、この一貫性の無さと言うか、蝙蝠みたいな態度ってのは頂けませんね。

投稿: TAKESAN | 2008年12月27日 (土) 15:29

http://b.hatena.ne.jp/entry/http://d.hatena.ne.jp/spiklenci-slasti/20081227/1230322513

こういう的外れな意見は、やはり出てきますね↓
▼▼▼引用▼▼▼
ppp22 どうみても科学的ではないね。よって批判する価値もないね。彼の言うことは大体の場合一種の物語なんだから嫌だったら無視するのがいい。
▲▲引用終了▲▲

投稿: TAKESAN | 2008年12月27日 (土) 18:36

こういうのって、必ず湧いて出ますね。
何が楽しいんですかね。
まあ、脳科学者としてのモギケンを全否定しているわけですから、そういう意味では同意しますよ。

投稿: a-gemini | 2008年12月27日 (土) 19:45

マスメディアで喋るのが情報発信・流布になる、という所に目が向いていないのかな、と。

科学についていい加減な事を広められたら、科学に携わる人にとって迷惑なのはもちろん、科学という知識そのものへの誤解を招くという意味で、社会的に好ましく無い訳で。

そもそも、言っている事が科学的で無い、というのが解るのは、科学的であるとは何かがある程度解っているからこそ言えるのですしね。

投稿: TAKESAN | 2008年12月27日 (土) 22:59

「日経サイエンス」の「科学のクオリア」という連載記事で「脳科学者」が「科学哲学」の専門家と対談してるのに、「元々科学じゃないんだから無視しろ」っていうんだからワケ分かんないです。
「オレは肩書きや能書きは一切信用しない」っていうなら、実に独立不羈の精神の持ち主で、結構なことなんですが、世の中の人間がみんなそうだと思われては困りますね

投稿: a-gemini | 2008年12月27日 (土) 23:37

こんばんは。

上のコメントでリンクをはらせていただいた文字起こしの記事なのですが、予想したよりもはるかに多くの人が読まれたようなのでビックリしました(はてブ経由のかたがけっこう多いです)。

元々はこの対談に於ける伊勢田さんのつっこみとそれに対する茂木さんの反応とをより深く味わうための隠し味みたいな、オマケとして作成したもので、あれ単体ではほとんど価値のないものだと思うのですが……。
いちおう『日経サイエンス』がきっかけだという情報を示してはあったものの、それだけでは不十分だろうということで、先ほどこちらの記事へのリンクを脚注にてはらせていただいたのですが、もっと早くしておけばよかったな、と思っています。

はてなの凄さと怖さを知ったという感じです……。

#ていうか、さっき「左脳の暴走」でぐぐってみたら、こんなページがあるのを発見してしまいました。
http://wwwz.fujitv.co.jp/ainori/st/st422.html
……けっこう正確に文字に起こせていたことが判ってよかったです。


あ、あと、a-geminiさん。

ご紹介して下さってありがとうございました。
トラックバックされたのがあまりに早かったので、朝起きて初めに見たときは本気で自分が夢を見ているのではないかと疑ってしまいました。

投稿: spiklenci-slasti | 2008年12月28日 (日) 00:33

>a-geminiさん

どう考えても、「”科学”を纏っている」のですよね。解剖学的な概念を駆使して何かを説明して、しかも「脳科学者」を標榜しているのだから、科学の土俵に乗っている訳で。

神経科学の人達は困ってるだろうなあ。だって、科学に明るい人からも、「脳科学は怪しい」なんて言われたりしますし…。

------

>spiklenci-slastiさん

はてなは独特のネットワークを形成してますものね。とりわけ、はてブの広がりというのは大きいのかも知れません。

茂木氏、明らかに学際的な話をしてるのに、それを全部脳の解剖学的構造(とそれに由来する生理学的機能)に還元しちゃってるんですよね。
こんなのがあるから、科学に詳しく無い+科学に懐疑的+論理的思考力に優れている人、に、「科学は要素還元主義だ」なんて言われちゃうのかな、と。

認知心理学者の高野陽太郎氏(だったと思う)が仰っていたと記憶している(記憶曖昧)のですが、現象にはレイヤがあって、ある現象は下位の層の論理に即座に還元されるものでは無いんですよね。

もちろん茂木氏はそれ以前の話ですが。

エビデンスが無いならエビデンスが無いとそのまま紹介するのが科学者ってもんですね。その前に、科学にはエビデンスが大切だ、というのを普及されれば良いのに、とも思いますが。

投稿: TAKESAN | 2008年12月28日 (日) 03:02

>>茂木 いちばん慎重な態度を取ると, 脳については何もいえない。例えば, 人間の言語能力の習得には, 臨界期があるということは定説のように考えられていますが, 本当にあるのかどうかはわからない。そこから先は生命哲学。

さらっと物凄いことを言ってますね。

投稿: 黒猫亭 | 2008年12月28日 (日) 14:50

黒猫亭さん、今日は。

そうですね、結構ものすごい事を。

昨今の脳ブーム的なものに苦言を呈しておられる専門家は、もちろんおられるのですが、もうちょっと声が上がっても良いかも知れませんね。

たとえばこちらの方は、神経科学者ですね。脳トレなんかにも批判的に言及しておられました⇒http://www.mumumu.org/~viking/blog-wp/

投稿: TAKESAN | 2008年12月28日 (日) 15:02

>TAKESANさん

本人が言っている通り、本来脳科学に関しては、ミクロな生理に関する研究実績とマクロな認知や行動に関する研究実績とが直線的に繋がるようなことは、まだまだ迂闊に言えない状況だと思うんですね。

だから、少なくとも「科学者」の肩書きで発言する以上は、科学的な意味で「何も言えない」ことは何も言わないのが当たり前だと謂うだけの話なんですよね。それを彼は「いちばん慎重な態度」と謂う、その辺りの感覚がすでに「科学者」としておかしい。

別段、生命哲学なら生命哲学でも構わないと思うんですよ、大衆が彼に求めているのは古臭いお説教を何らかの権威によって説得力を補強する言説なんですから、それが「脳科学」だろうが「生命哲学」だろうが、少なくとも受け手視点ではどっちでも構わないわけです。

ただ、「脳科学」だと明らかに嘘になるわけですね。「何も言えない」はずのことを、恰も「脳科学」によって実証済みの科学的事実であるかの如く「科学者」の肩書きで語っているわけですから。

また、「脳については何も言えない」「定説と謂われていることが本当にあるのかどうかはわからない」と謂う認識自体、科学者としてどうなんだろうと思います。どうもこの「知の確からしさ」を秤量する尺度についての大雑把な認識は、例のアルファブロガーの人にも共通するところがあるように思います。

どうも彼は、脳を研究することで人間と謂う存在についていろいろなことが言いたい、そういう動機が一方にあって、それには現状で得られている科学的知見は圧倒的に物足りないと謂うことなのでしょうが、だったら科学者としては何も言わないのが節度なのだし、彼が「脳科学者」として認知されている以上、別の立場をとって私人として語ることは不可能だと謂う簡単なことがわかっていない。と謂うか、そうすべきだと謂う必要性すらわかろうともせず、積極的に肩書きの持つ説得力に乗っかって好き放題に個人的な想像に基づく私的な「哲学」とやらを語り散らしている。

そう謂う意味では、彼は最早グレーゾーンどころか立派なニセ科学の語り手と謂えるのではないかと思い始めています。

投稿: 黒猫亭 | 2008年12月28日 (日) 22:27

本当は、「何も言えない」というのも、どこまでの範囲について、をきちんと考えなければならないんですよね。

たとえば、脳のどの部分がどういう機能に関わっているか、というのは、神経心理学などから色々解っている訳で、そういった部分についてまで「何も言えない」という話なんだとすると、それはもう、哲学あるいは科学哲学の話になってしまう。

少なくとも、茂木氏がメディアで言っているような事は「言えない」、というのは、ある程度「言える」訳で。

科学的には、脳の解剖学的構造機能から即座に(観察・実験・調査などによるエビデンス無しに)行動の説明をするのは行き過ぎだ、というのは「言える」んですよね。伊勢田さんはまさにそこを指摘されたのに、茂木氏は、脳に関しては極端に考えれば何も言えないのだから、いっそ何でも言う、的な論法になってしまっています。

http://b.hatena.ne.jp/entry/http://d.hatena.ne.jp/spiklenci-slasti/20081227/1230322513

的外れな意見達↓
▼▼▼引用▼▼▼
脳科学者は科学を離れたことを公に語っちゃだめなの?(tittonさん)
▲▲引用終了▲▲
あれを見て、「科学から離れていないように語っている」のが解らないとか、大丈夫なのかな。

▼▼▼引用▼▼▼
この人は一応脳科学者でしょ。科学的にわかってる事が少なくて、でも分かりやすく何かを語ろうとすれば、宗教的・精神論的になるのは仕方がない。脳科学が分かり辛過ぎるんだよ。(yetchさん)
▲▲引用終了▲▲
神経科学者に見せてあげたい。激怒するんじゃ無かろうか(宗教が解りやすい、と書いているようにも見えるけど、さすがにそれは気のせいでしょう)。科学的に解っていない事が少ないのなら、科学的に解っている事は少ないですよ、と言うのが、科学者の役割です。

「宗教的・精神論的」という意味がよく解らない。
理論や仮説がきちんとした証拠によって支持されているか否か、という話をすれば良いのです。なぜなら、科学とはそういうものなのだから。仮説なら仮説と言えば良い。証拠が不充分ならその旨伝えれば良い。

 脳には構造上の違いが見られて、それが行動に明らかな影響を及ぼす可能性があります。でも、科学としては、その事は、実験や観察、調査によって「確かめ」られなければなりません。
今の所は、このくらいまでの事は解っていますが、ここについてはまだ証拠が集まっていない段階です。

的な説明をすれば良いのだし、そんなに解りにくい話では無いでしょう。解りにくいというのは、脳の解剖学や生理学、あるいは脳イメージングなどの具体的理論であって、そんな事を言えば、どんな分野だって難しい。

投稿: TAKESAN | 2008年12月29日 (月) 03:03

ごぶさたしています。ブログにコメントでお知らせいただき、ありがとうございました。「日経サイエンス」は研究室で定期購読しているのですが、最近、読んでませんでした。
引用部分を読むと、伊勢田さんは問題点を単刀直入に突いていて、さすがですね。
茂木さんについていうと、以前は「自分の発言だけを切り出せば間違いではないが、文脈全体としてはまずい」という発言が多かったように思うのですけど、最近は「発言自体がまずい」状態になっているかもしれません。
マスコミに出るようになって「油断」しているのじゃないかな。茂木さんを昔から知る研究者の中には「茂木さんはマスコミにつぶされる」と言っている人もいるのですが、そういう感じはあります。

投稿: きくち | 2008年12月29日 (月) 14:07

きくちさん、今日は。

本当に、危ういと思います。伊勢田さんは大変鋭い指摘をされた訳ですが、それについての返答は、まさに的外れと言うか・・(的をわざと外しているような感じでもありますが)。

▼▼▼引用▼▼▼
茂木さんを昔から知る研究者の中には「茂木さんはマスコミにつぶされる」と言っている人もいるのですが、
▲▲引用終了▲▲
なるほど……本当は、近しい人が諭してあげるべきなんでしょうね。

今の神経科学の成果でも、色々言える事はあるでしょうから、それを面白くも正確に伝えればいい、とも考えてます。
たとえば、実は脳画像撮影の結果は脳についてこういう風な事しか解らない、的な説明をするとか。「実は解らない」というのを言われると、説明された方は、結構「へー、そうなんだあ」、と関心すると思うんですけどね…。

投稿: TAKESAN | 2008年12月29日 (月) 15:39

「脳科学の成果」と称する怪しい話が多すぎます。うちの大学には、学生のゼミで「脳科学と称する怪しい話」を調べさせているという脳科学の先生がいます。かなり危機感はあるようです。

茂木さんをよく知っている人には、「茂木さんをなんとかしないとまずい」と言ってるんですけどね。

投稿: きくち | 2008年12月30日 (火) 22:40

きくちさん、今晩は。

脳科学(神経科学)自体が学際的な分野で、方法的にも研究対象的にも様々なものがあるので、よく知らない人は納得してしまったりする、というのがあるのかも知れませんね。

いわゆる神経神話という言葉もありますし、教育に安易に結びつけようとする向きもあるので、これはかなり注意して見ないといけないと思います。

▼▼▼引用▼▼▼
学生のゼミで「脳科学と称する怪しい話」を調べさせているという脳科学の先生がいます。
▲▲引用終了▲▲
これは興味深いですね。

前も書きましたが、科学を知っているであろう人が脳科学を揶揄しているのを見た事があります。これも好ましく無いですよね。

投稿: TAKESAN | 2008年12月30日 (火) 23:04

ミクロな神経科学であれ、マクロな認知心理学であれ、面白い実験はたくさんありますし、新しい知見も急速に蓄積されていると思います。やっぱり科学のフロンティアのひとつですよ。
ただ、いきなり「勉強法」みたいな話に応用できるかのように言うのは、どうかしているわけで。

投稿: きくち | 2008年12月31日 (水) 12:47

きくちさん、今日は。

技術と絡む話で言うと、BMI(Brain-machine Interface)なんかは神経科学の成果とも関わっていて、大変興味深い分野ですよね。そこら辺の仕組みなんかを解りやすく正確に伝える事とか出来そうですよね。頭部の生体信号から機械を制御出来る可能性や、それがどの程度の精度や分解能であるか、というのを知らせる、とか。

「勉強法」などになると、これは行動に関わるので、即座に脳の解剖学や生理学で説明出来る話では無いんですよね。心理学的な所を考えなくっちゃいけない。

それで、そこら辺は即還元出来るものでは無いよ、というのを教えるのも、ひとつの知識の普及の仕方だと思います。何が解って何が解らないか、というのを正確に伝える。きくちさんも仰るように、解っている部分も面白い訳ですからね。何でもかんでも解っているかのように説明する必要は無い(と言うか、害)ですし。

投稿: TAKESAN | 2008年12月31日 (水) 13:25

FSMさんのブクマ経由で。
伊勢田さんに言及頂きました⇒http://www.yonosuke.net/~iseda/diary/index.html#Jan03

ご指摘に感謝します。確かに、対談形式での編集の可能性という所には気をつけるべきなのだろうと思います。

思うのは、対談なのに原型を留めないほどに編集される可能性があるというのは、「恐ろしい事」だな、と・・。それは、メディアの基本的な部分での信頼に関わりますしね。

尤も、新聞の記事などで、かなり意味の異なるような編集をされる、というのは見聞きしますし、ここでも度々採り上げまる訳ですれども。

宮本茂氏の講演内容を捻じ曲げたのはひどかったなあ…。

投稿: TAKESAN | 2009年1月 3日 (土) 17:42

日経ビジネスオンラインに茂木氏へのインタビュー記事が出てました。

http://business.nikkeibp.co.jp/article/topics/20090105/181899/

これも編集によるものかもしれませんが、内容をそのまま読む限り、かなり駄目だと思いました。
初っ端から「脳科学をやっている立場からすると、ネットワーク構造で結びつけられた社会において、バブルの発生と崩壊は避けられないのです。 」ですから。

これが脳科学が明らかにした人間の行動特性からとか、神経ネットワークの性質の研究から一般化して(きくち先生が絡んでいた渋滞の研究みたいな)一段上の抽象化された現象としてのバブルが導き出されたとかなら、まだ話がわかるんですが。

後のほうを読んでいくと、まともなことを言っている部分もあるんですが、導入部がこれじゃあ…

コメントの「タイトルとは反対に、経済金融危機は脳科学では読み解けない、ということが判りました。 」というのが秀逸でした。

投稿: Seagul-X | 2009年1月 7日 (水) 19:45

Seagul-Xさん、今晩は。

うーむ、これは、私にも微妙な記述に見えます…。

脳の中にもバブル、なんて言い回しとか、メタファーにしてもどうなんだろう、と思わせる書き方のような。

尤も、金融などには全く疎いので、アナロジーがどのくらい適切なのかは、私には解らない所なのですけれど。神経科学の立場から金融について語れるほど、両分野の交流が進んでいる、とかあるのかな…。

投稿: TAKESAN | 2009年1月 7日 (水) 22:35

Seagul-Xさんが挙げてくださった文章を読む限り、茂木さんは「バブル」がなんだかよくわかってないみたいですね。
こんな文章、バブルについてある程度わかってるひとも読んでいる(と思われます。日経ビジネスですから)媒体に載せちゃって大丈夫なのかなぁ。

投稿: pooh | 2009年1月 8日 (木) 12:44

poohさん、今日は。

テレビのバラエティなんかとは違って、初めから読者が偏っているのが判っている媒体ですものね。

経済や金融に強い興味を持っている人が読む訳ですし、そういう人達は相当シビアだと思うんですが、どうなんでしょうね。

でも、そういう人が読みそうな媒体に敢えて茂木氏を出したのは編集部の判断なのでしょうから、それはそれでどうなんだろうか、と…。

こういう文脈で、神経伝達物質の分泌の話をする人って、一体なんなんでしょうね。

投稿: TAKESAN | 2009年1月 8日 (木) 16:03

>Seagul-Xさん、TAKESANさん

まあ、いろいろ学術的なタームが出て来ていますけれど、論の骨格としては非常にアリキタリな一般論ですね。

脳のひらめきをバブルと呼ぶのは、経済学的にそれほど好適な比喩かと謂うとそうでもなくて、単に感覚的な比喩に過ぎないですし、そこから導き出された結論は「失敗から学ぶ」と謂う以上のものではないですね。

別段バブルの話でなくても構わないわけで、「失敗から教訓を学んだり、負の遺産を積極的に活かした例はたくさんあるよ」と謂うだけの話をしているわけですね。

新自由主義が行き着くところまで行き着いて限界や弊害が見えてきたけれど、マーケット・メカニズムが要らないと謂うわけじゃないですよ、どっちも大事ですよ、みたいな結論と謂うのは何も言ってないに均しいですし。

この辺、学術的な知見を豊富に援用していながら、言っていることが非常にアリキタリで浅薄な一般論なのが、如何にも茂木流ですね。

>poohさん

NBonlineに登録してたまに読んでいるんですが、経済に明るい人だけではなくてこう謂う別ジャンルの専門家に話を聞くようなインタビューがけっこうありますから、その意味では読者も慣れていて読み方をわかっているんではないでしょうか。

外の目を入れることで多角的な視野で経済活動についてのヒントを得る、みたいな狙いじゃないかと思いますから、非専門家が経済をよくわかっていないこと自体は許容範囲で、その辺は割り引いて読んでいるんでしょうね。

投稿: 黒猫亭 | 2009年1月 8日 (木) 16:09

あと、poohさんが「バブルをわかっていない」と仰っているのは、つまりバブルと謂う現象の本質は、物の価格が短期間に急騰するという点にあるのではなく、それをもたらすメカニズムにあると謂うことでしょうかね。

歴史的には鶉や兎や朝顔や万年青などでバブルがあったわけですが、物それ自体が持っている実体的な貨幣価値とは遊離した特殊な価値観によって価格が高騰して行って、そこに投機行動が加わることによって爆発的に急騰する、こう謂う実体的な経済活動の裏付けを持たない価値の急騰をバブルと呼ぶのだと思いますが、茂木健一郎の論では単に数値が短時間で爆発的に急騰する部分だけのアナロジーで「脳のバブル」とか言っている、そこがおかしいと謂う話なのかな、と。

投稿: 黒猫亭 | 2009年1月 8日 (木) 16:23

黒猫亭さん、今晩は。

私自身、経済や金融には疎いので、あまり突っ込んだ事は言えないのですが、編集部の思惑としては、他に説明の仕方があるような事柄について、敢えて「脳」と絡めて論じてくれる茂木氏に目を向けた、という所なのかなあ、と思います。

目を惹くものではあるのかも知れませんねえ。

投稿: TAKESAN | 2009年1月 9日 (金) 02:14

社会的な金融産業の存在価値は措くとして、金融で稼ぐ、と云うのは多かれ少なかれ投機です。高いリスクを上手にとったほうが勝ちになる。
で、どれくらいのリスクをとればいいのか、と云うのはわからないわけです。他のプレイヤーがどれだけのリスクをとっているのか、で決まってくるので。冒険をするプレイヤーが増えるとリスクはどんどん高まっていくんですけど、どれくらいが妥当な水準なのかは各自が判断するしかない。よりリスクをとらないと勝てないので、リスク判断はどんどんシビアになっていく。

で、あるとき、外的な状況の変化などでその時点でとっていたリスクがそれぞれのプレイヤーが考えていたより高い、と云う判断が行われるタイミングが来る。そうすると一気にふくれあがった信用が収縮して、バブル崩壊、となるわけです。

そう云うわけで、突発的な要因で生じるものでも、単純に脳内現象が要因ではじけるものでもない。

単純化しすぎた書き方ですけど、茂木さんの比喩はまったく妥当ではないと思います。

投稿: pooh | 2009年1月 9日 (金) 08:08

ありがとうございます。

改めてタイトルを読むと、「脳科学で読み解く経済危機」、なんですよね。なんとなくキャッチーにしたのかも知れませんけど、全然危機感を覚えさせないと言うか、随分軽い感じだなあ、と。一刻も早くなんとかしなくてはならないから他分野の知見も貪欲に採り入れる、という積極性 + 危機感 というのも無い感じですね。

投稿: TAKESAN | 2009年1月 9日 (金) 12:15

>TAKESANさん、poohさん

今回のインタビューの内容が他の茂木式強弁に比べて格別に非道いと謂うことでもないと思うんですが、それでもかなり非道い暴論を語ってはいますよね。

>>そう云うわけで、突発的な要因で生じるものでも、単純に脳内現象が要因ではじけるものでもない。

ここなんですけど、実は茂木健一郎はそう謂う話は一切していないわけで、脳のひらめきと同じようなメカニズムでバブルが起こるとか、そんなことすら言っていないんですね。

インタビューを何度読んでも、彼は「脳のひらめきとバブル経済は、瞬間的に数値が急騰し急落するところが似ている」と謂う以外のことは語っていないわけです。脳のひらめきのメカニズムとバブル経済のそれに相同な部分があると謂う話はまったくしていないんですね。

つまり、ひらめきもバブルもグラフの曲線がよく似ていて、そのメカニズムは両方ともよくわからないとしか言っていない。だとすれば、脳のひらめきを「バブル」と呼ぶ根拠として「グラフの形が似ている」と謂う以外の理由は一つも挙げていないわけです。グラフの形が似ていて、メカニズムがよくわかっていないと謂う「共通点」があるから、同じようなものだと謂う物凄い論理を展開しているんですね。

その筋道上で「脳のひらめきはバブルと同様に危険だけれど、人間の精神活動において必要なプロセスだ」と語った上で「それと同様にバブルも人間の経済活動上必要なプロセスだ」と結論附けているわけで、これって何処も論理的な筋道が通っていないですよね。

この種の茂木健一郎のロジック全般がそうなんですけれど、脳のひらめきがバブルと同じようなグラフ上の曲線を描くことは事実でしょうし、脳がひらめく瞬間に他の機能が停止していて窮めて危険な状態にあると謂うことも事実でしょう。なので、援用している科学的知見についていい加減なことを言っているわけではありません。

しかし、そこから導き出される本筋の主張内容は何処も論理的に整合していないし、バブル経済を語るのに脳科学を持ち出す理由として成立していないわけですね。

ぶっちゃけ、お座敷が掛かったから無理筋でもちょこちょこっと牽強付会してみました、みたいな話なんですが、こう謂う談話を平然と公共メディアで語れると謂うのは、すでに学者として終わっているのではないかと思います。

養老孟司や火の玉教授なんかに比べてもかなり非道いですね。

投稿: 黒猫亭 | 2009年1月 9日 (金) 15:49

黒猫亭さん、今晩は。

私がこの種の言論を見ていつも思うのが、専門外の事について色々語って、怖く無いのかなあ、と。ある事柄に関して深く考えれば考えるほど、容易に他分野の事は語れないぞ、と実感出来ると思うんですよね。

理解出来ている感があるのか、どうせ解りはしないから言ってやれ、なのか、よく判りませんけれども。

投稿: TAKESAN | 2009年1月10日 (土) 02:11

こんにちは。

Poohさんのバブルの説明、とても解り易いです。森永卓郎さんの本を読むよりずっと良い。
「単純化しすぎ」と仰っていますが、この説明を読むと「周期的なバブルの発生と崩壊は不可避である」という事が素直に納得出来ます。

極めて乱暴で粗雑な言い方をするならば「バブルとは市場そのものが有しているビルトインスタビライザーである」という見方も出来るかもしれません。「ビルトインスタビライザー」についてはPoohさんのところで以前にも話題になったと記憶していますし、確かこちらでも「バビル2世の住んでいるバビルの塔」に絡めて書いた様な気もします。いずれにせよ、こうした「自己修正機能」というのは極めて重要なのですよね。

例えば政治に於いては「民主主義というシステム」であったり、科学では「科学の方法論そのもの」が自己修正機能として作用しているのだと思います。
ただ「科学の方法論」で注目すべきなのは、それが単なる修正に留まらず、自己進化を促す様なシステムになっている点でしょう。

民主主義やバブルに自己進化を促進する作用があるかどうかは寡聞にして存じませんが、少なくともバビルの塔には無い機能ですよね(笑)。

投稿: PseuDoctor | 2009年1月10日 (土) 11:35

PseuDoctorさん、今日は。

バビル2世を観た事の無い私涙目(笑)

科学の自己修正機能というのは重要ですよね。それで、その機能を保持するためのシステムをきちんとしなくてはならない、と。

それにしても、比喩は、便利だけど、使い所は考えなくちゃならんですね。

投稿: TAKESAN | 2009年1月10日 (土) 13:33

うぅむ。
スタビライザーである、と云うのは微妙かと思います。なぜかと云うと、メカニズムとしては必ずしも最適化に向かう、と云うわけではないので。
むしろ落ち着いた場所が最適、みたいな、ちょっと危うさを内包した状態が連続するのが市場である、と捉えていただいたほうがいいかと。その意味でバブルははじける瞬間までバブルではないし、だから投機と云うものが成立する、と云う部分もあったりするんですよね。バブルの状態が異常ではじけた状態が正常、と云うわけではない、と云うふうに考えていただいたほうがいいかと思います。

投稿: pooh | 2009年1月11日 (日) 16:25

poohさん、今晩は。

すみません、知識が無いので、ふむふむ、と言うくらいしか出来ないのでした…。

投稿: TAKESAN | 2009年1月11日 (日) 18:45

こんばんは。

>TAKESANさん
>バビル2世を観た事の無い私涙目(笑)
あぁ、それは残念です。主題歌も良いし、原作も良いのです。
何時か御覧になる機会があると良いですね。

>それにしても、比喩は、便利だけど、使い所は考えなくちゃならんですね。
うぅ、そうなんですよ。私も結構比喩が好きなものでつい使ってしまうのですが、スベってしまう事もしばしばですね。

>Poohさん
>スタビライザーである、と云うのは微妙かと思います。なぜかと云うと、メカニズムとしては必ずしも最適化に向かう、と云うわけではないので。
うーん、そうですか。私としては「市場における価格決定メカニズム」と類似の機能を想像していたのですが、もしかしたら「スタビライザー」という言葉に対して持っているイメージに、私とPoohさんとの間で差があるのかもしれません。

(以下の記載はPoohさんにとっては「釈迦に説法」以外の何者でも無いのですが、私の拙い理解が間違っている可能性もありますので、失礼ながら敢えて書かせて頂きます。いつもながら余談&長文に走ってしまって済みません>TAKESANさん)
まず「自由市場に於いて、金融商品ではない一般の商品の場合は、需要曲線と供給曲線の交点にある価格へ向かおうとする力が働く」と理解しています。これは参加者がその様に意図している訳でもないし、誰かがそういうシステムを組み込んだ訳でもない。しかし結果として「適正価格に近付けようとする仕組みを内包している」様に見える訳ですね。
勿論、金融商品の価格(特に株価)の場合は需給関係のみで決定されるのではなくて、御指摘の様に参加者のリスクの取り方によって如何様にでも変化し得るものでしょう(一応、例えば「将来収益の総和の割引現在価値」という方法等で「理論的な適正株価」を算出してみる事は出来ますが、それとて企業が安定した収益を永久に産み出し続けるという、相当に非現実的な設定に基づくものでしかありません)。

ですから「実は適正価格など存在しない」という点を考えると
>むしろ落ち着いた場所が最適、みたいな、ちょっと危うさを内包した状態が連続するのが市場である、と捉えていただいたほうがいいかと。
>その意味でバブルははじける瞬間までバブルではないし、だから投機と云うものが成立する、と云う部分もあったりするんですよね。
>バブルの状態が異常ではじけた状態が正常、と云うわけではない、と云うふうに考えていただいたほうがいいかと思います。
(改行位置変更しました)
という御意見も理解出来る気がします。

私は、バブルの崩壊を象徴するものとして「行き過ぎた水準は必ず訂正される。但し、それが何時起きるのか、どのレベルで起こるかは誰にも解らない」という言葉を思い浮かべました。Poohさんのお立場で言うと「どのレベルで水準訂正が起こるかどうか解らないのだから、現在の価格が高すぎるかどうかは原理的に判定できない(はじけてみなければバブルだったかどうか解らない)」という事だろうと思いますし、その御意見そのものには同意致します。
ただ、私としては、いつかは必ず水準訂正が起こる(無限に膨張し続ける訳ではない)のだし、逆に一方では、バブルがはじけるのは別に正常化ではなく、今度は逆方向に行き過ぎてしまう確率が非常に高い。そしてその場合もいつかは必ず「訂正」される(バブルが再燃する)のだから、その両者を併せて「どちらか一方に行き過ぎてしまわない」という意味でなら、極めて粗雑ではあるけれども一種の安定化機構と看做す事は出来ないのかな、と思ったのです。その意味で「スタビライザー」という単語に対するイメージはおそらく私の方が広義なのだろう、と。
繰り返しますが「最適化を目指すものではない」という点も、Poohさんの仰る通りだと思っています。

あと、今回書いていて初めて気付いたのですが、私はどうしても「実は適正価格は(解らないだけで)現実に存在する」という考え方に傾きがちな様です。おそらく、そう考えないと不安になってしまうからでしょうね。

投稿: PseuDoctor | 2009年1月14日 (水) 00:16

PseuDoctorさん、今晩は。

あ、主題歌は余裕で知ってます(笑)
観た事は無いけど主題歌知ってる、というのがよくあるのがアニソンですねえ。

余談おkです。私はROMにならさせて頂きます(←わざと表現)。

投稿: TAKESAN | 2009年1月14日 (水) 00:35

> PseuDoctorさん

えぇと、あまりこちらで続けるのも、と云う気もするので、手短に(この話、厳密にやろうとするとひどく要素が多くなるので、無限に各論になってしまう)。

おっしゃるスタビライザーが存在する、と云うのが、本来の市場の機能です。でも、市場は完全に機能しない。それは政策的に機能が制限されている場合もあるし、単純にタイムラグに由来する情報伝達のギャップのせいでもあるし、ほかの理由もある。

で、この「完全に機能しない」と云う部分は、プレイヤーにとっては収益機会なんです。ことに金融においてはそうです。なのでその意味ではバブルはスタビライザーの機能不全だし、それはある意味プレイヤーの本源的な行動様式によって引き起こされるもの、でもある、と云うことだと思います。
(ごめんなさい。ぜんぜん手短じゃないな)

投稿: pooh | 2009年1月14日 (水) 07:54

>PseuDoctorさん、poohさん

オレももう少しだけ。

PseuDoctorさんが仰るように、ごく単純化して謂えば、実体的価値に裏附けされた適正価格と謂うものは、一応おおまかなものはあるんだと思います。ただ、適正価格で安定するのは消費者にとってのみ有利な状況ですよね。

対象の持つ実体的な価値をそのまま活用すると謂う場面では、その実体的価値に見合った適正価格でなければ、なんだかわからないものに対する価格がその分上乗せされるわけですから、消費者は困るわけです。

一方、資金の流通と謂う観点で謂えば、モノが適正な価格で流通しているだけではそれほど活発な資金の動きはないですよね。そこに投機行動が加わることで非常に活発な資金の流通が促進されるわけですが、この場合、ベタに謂えば「安く買って高く売る」と謂うのが基本的な約束事ですから、適正価格で安定的に推移されたんでは旨味がないわけですね。

仕手戦なんかは極端な例ですが、投機行動においては、適正価格の上下で対象の価格が激しく動かないと収益機会がないわけです。

ですから、市場が活性化されて活発に資金が流通している状況においては、必ず適正価格の上下で激しく価格が変動していると謂うことになるんではないかと思います。

バブルと謂うのは、より多くの収益を得ようとするプレイヤーの本源的な行動が、対象の実体的価値の上方に向かって一方的に値が吊り上がるように動いて、その傾向が或る時一斉に崩落すると謂うことで、その原因は様々です。群集心理だったり制度改革だったり外的要因だったり。

で、これは各論としてのダイナミズムは分析出来るけれど、関わっているファクターが剰りに偶発的だったり個別的だったりと多様なものなので、市場の持つ最適化のメカニズムなのだと解釈すると、悪い意味でホリスティックな考え方になってしまう、と謂うことなのかな、と。

多分、バブルの崩壊には何らかの意味で、市場が一方的に収益を生み続ける傾向が「限界を超えた」と謂う性格があるんだろうと思いますし、買って売れば必ず儲かると謂う状況がいつまでも続くわけがない、と謂うのは直観的にはわかるんですが、それはたとえば数理的に一般モデル化出来るようなことではないかもしれない。

安く買って高く売る、それを繰り返す、と謂う行動が一方的に儲かり続けるなら、必ず対象の実体的価値の上方に向かって価格が高騰し続けるのは当たり前ですから、どこかで反動が来ると謂うのは、直観的にはわかる。

しかし、それをメカニズムとして学術的に捉えるならば、バブル一般に共通する普遍的な一般則が導き出されなければならないけれど、その「反動」の形が剰りにも多様でそこに人間の思惑のような定量化出来ないファクターも絡んでくるので、多分現段階では「神様の思し召し」よりもマシな一般則は想定出来ないと謂うことなんでしょうね。

そこまで含めて、わからないことはわからないままにしておくのが妥当な態度だろう、と謂うことなんではないかと思います。

投稿: 黒猫亭 | 2009年1月14日 (水) 10:08

poohさん、黒猫亭さん、今晩は。

話題にはついていけないので、タイムリーなネタを投入。

http://www.afpbb.com/article/environment-science-it/science-technology/2557669/3683776

これも突っ込み所がいくつか。

「反射作用」なる日本語を初めて見ました。あまり(学術的に)一般的な用語じゃ無いような気がするんですけど、どうなんでしょう。

なんて言うか、物事を還元し過ぎな感じ。

※一応、日本語版の記事への評価という事でよろしくです。

投稿: TAKESAN | 2009年1月14日 (水) 18:56

反射~とか胡散臭い言葉使わなきゃ、へ~ていう程度なのに。

最近思うのは、こういう茂木レベルの言説斬るのに、専門知識は不要だということ。
バブルのメカニズム以前に、「ひらめきは0.1秒の神経細胞の活動の上昇による」とうのはめちゃくちゃでしょう。
ようは、ひらめく時だけ神経活動が活発化してるということですよね。
しかし、動物が活動している限り、どこかの神経細胞の活動が上昇しないことはありえない。
ひらめく時、脳のある部位の神経細胞が活発化するというのならわかりますが、神経活動が急上昇するとか、「地球温暖化は分子の活発な働きによる」というくらい意味がありません。

投稿: blupy | 2009年1月14日 (水) 22:18

こんばんは。

>TAKESANさん
やはりと言うか、主題歌は御存知なのですね。私としても「海のトリトン」と首位を争う位置にあるのです。

「反射作用」って、何となく解った様な気になってしまう言葉ですよね。訳す時にこうなっちゃったのかな。「反応速度」で良い様な気もするんですが。

で、ついていけない話を続けて申し訳ありません。これで最後にしますので、もう一回だけ書かせてください。

>Poohさん
お手数をお掛けします。
何と言いますか「市場の非効率性が収益機会となる」というのは概念として聞いた事はあるのですが、バブル自体を「市場が効率的でない事に対する代償作用」の様に捉えたのが、見方として穿ち過ぎだったのかもしれません。
バブルの裡に何らかの機能を見出そうとするよりは、単なる「現象」であると認識した方が良いのでしょうね。黒猫亭さんの仰る様にモデル化するには複雑すぎるのかもしれませんが、先のPoohさんの御説明があまりにも腑に落ちてしまったので、つい単純化できるのかと思ってしまったのでした。

もう少し「効率的市場と現実の市場の差異」について伺いたいところなのですが、続きは
http://schutsengel.blog.so-net.ne.jp/2009-01-13-1
の方にコメントしても宜しいでしょうか(あちらに書くにしても、やはり余談である事に変わりは無いのですが)?

投稿: PseuDoctor | 2009年1月14日 (水) 23:06

blupyさん、今晩は。

研究の結果を正確に知らせればいいんですよね。解釈と言うか、メカニズムの想定に関しては、もうちょっと慎重になった方が良いと思いました。

認知には神経細胞が関わってるのは当たり前なので、ある意味トートロジーですよね。ひらめいた時には脳を使っているのだ、と言うのと、あんまり変わらない。

------

PseuDoctorさん、今晩は。

私はそのランキングに、『サイボーグ009』の名曲、『誰がために』を推したい所であります。

優秀なトレーダーがどの程度の反応速度か、というのもありますし、そもそもどういった心理学的尺度を用いるか、という問題もありますね。で、優秀なトレーダーであるための必要条件であるか否か、というのもきちんと検証していくべきだと思います。

ホルモンの分泌がある種の一般的な生理的・心理的能力に関わっているのだとしても、それがどの程度トレーディングの能力に関わっているか、というのが重要な訳で。あるスポーツにおいてどこそこの筋肉が決定的に重要だ、というような関係と同様のものが果たしてあるのか、と。

て言うか、こういった記事のような書き方がなされるから、あまり知らない人から、科学は要素還元主義だ、と言って批判されるんじゃないかなあ、とか思ったりします。

投稿: TAKESAN | 2009年1月15日 (木) 01:49

> PseuDoctorさん

もちろんお越しいただくのは歓迎します。
ただ、ぼくがどこまで応えられるか不安はありますが。

> TAKESANさん

WiredVisionの記事ですが、これだけじゃなんとも云えないですよねぇ。ありうる話なのかどうかの評価もできない。

投稿: pooh | 2009年1月15日 (木) 07:44

poohさん、今晩は。

どうも指の長さの比とトレーディングの成績に相関が見られたようだ。しかし、その相関とはどのような意味あるものなのか、どのくらい因果関係があるものだろうか、という風に書いても、充分面白いと思うんですよね。

投稿: TAKESAN | 2009年1月16日 (金) 01:45

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