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2008年12月12日 (金)

ノート:心理学研究法(6)

○第5章 質的調査の実際と研究評価(下山晴彦)

§1 質的研究法のタイプ

質的調査――言語記述を中心とした質的データによる研究

質的研究――様々な種類の研究法が提案→研究法の分類に混乱も見られる

質的研究法の分類の枠組み――研究過程を軸/研究テーマを軸

研究過程のおおよその進行(相互に重なり合って進行)

  1. データ収集の作業
    • 面接法
    • 観察法
    • フィールドワーク
    • フォーカスグループ法
    • 日誌法
  2. データ処理の作業
    • グラウンデッドセオリー
    • 現象学的方法
    • KJ法
  3. 論文としての表現
    • エスノグラフィー
    • 事例研究法(広義にはエスノグラフィーは含まれる)

研究テーマ

  • 心理的事象――主に面接法によって収集された語り(ナラティヴ)のデータの記述・分析を通して研究
    • プロトコル分析
    • 会話分析
    • 談話分析
    • ライフストーリー研究
  • 社会的事象――主に社会的場面での参加観察やフィールドワークによって収集されたデータの記述・分析を通して研究
    • エスノグラフィー

§2 質的調査の実際例

▼質的調査の過程 ▼研究の概要:病院内学級における教育実践のエスノグラフィー

※ここでは、谷口明子氏の研究(『質的分析によるアプローチ』 大村 (編) 『教育心理学研究の技法』 福村出版 2000 に所収)を例に、質的調査の流れを紹介。まとめは省略します。

§3 質的研究の評価

▼質的研究法への批判

方法や結果のあり方についての疑問や批判

  • データの収集と処理の過程に客観性が欠如している
  • 仮説生成のプロセスが恣意的である
  • 得られた結果に一般性がない

↑量的研究法の観点からは、このような批判が見られるのは当然。

しかし、第3章で指摘したように質的研究法は,量的研究法とは異なった独自な方法論に基づいている。むしろ,研究についての理論的背景の相違を考慮するならば,両者を混同して考えること自体に問題があるといえる。

▼社会構成主義の考え方

量的研究法――唯一の客観的事実の存在を前提→客観的事実に関する理論(法則)を証明するために仮説を立てる→客観データによって論理的に検証。

質的研究法の理論的背景――社会構成主義(social constructionism)

社会構成主義――唯一の客観的事実というものを想定せず、社会的現実は人々の語りや交流から生成する相対的なものとみなし、その生成過程を記述し、そこから現実を具体的に理解するためのモデルを構成。

ここら辺の比較・対置は、私には非常にしっくりこないものがあります。

いずれも現象を整合的・論理的に説明するためのモデルを作って確かめる、という方向性を持っているはずで、そこに「客観的事実の存在」についての立場の違いを持ち出す理由が、よく解らないのです。と言うか、あるモデルで現象を説明するという立場を採る以上、それは少なからず客観的な構造を仮定しているのではないのかな。

▼質的研究の評価基準

  1. 事例の選択理論的サンプリングがなされているか
  2. データの収集と記述:データの記述の仕方は適切か
  3. データの分析:仮説(モデル)生成の仕方は適切か
  4. 産出された結果:提示された仮説(モデル)にはどのような意義があるか

§4 おわりに

比較的新しい研究法→研究の手続きや評価の仕方について、はっきりと確定した基準が確立している訳では無い。

量的研究法では把握しにくい現象を記述、分析するのに適した方法であり、今後の心理学研究方の可能性を広げるものとして期待。

質的研究法と量的研究法を組み合わせた統合的な心理学研究を発展させる事も可能。

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