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2008年11月19日 (水)

メモ:科学的とは。因果関係。Wikipediaの使い方

科学的とはどういう事か、とか、ニセ科学や未科学をどう考えるか、などのテーマでごちゃごちゃ(本当にごちゃごちゃ)書いたのをいくつか。

応用編

余計な一言。

「気」を見聞きした瞬間にニセ科学だ、そんなものありゃしない、と考える人は、猛省すべきです。

うーん、ごちゃごちゃ。

科学といった場合、「実証科学」を指すのは押さえておきたい所。概念を最大限広げると、「学問」や「個別諸科学」というような、ごく一般的な知識の体系という意味合いを持つので、観察や実験によってデータを集めて理論を構築するという意味での「実証科学」と捉えておくのが妥当だろうと考えています。

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因果関係について。

参考文献:加納克己・高橋秀人 編 『疫学概論 -理論と方法-』

II.疫学の基礎―2.原因と結果(因果関係) を参照して書く。

▼因果関係と関連性

統計学的な関連(association)は必ずしも因果関係(causality)を意味するものでは無い。

▼疫学における因果関係

宿主(host)・病因(agent)・環境(environment)の動的な相互関係、「三角モデル」による因果関係の説明→非感染性疾患についての多要因原因説(multiple causation theory)→従来の3大要因による考え方では因果関係を十分に説明出来なくなった。

アメリカの公衆衛生総監の諮問委員会による、「喫煙と肺がん」の因果関係の判断の5つの条件

  1. 普遍性(consistency):再現性・追試による確認。
  2. 強度(strength):よく用いられる指標―相対危険度・寄与危険度。疾病の発症と原因の関係の量的な強さ→量-反応関係(dose-response relationship)。
  3. 特異性(specificity):特異性―1対1の関係にある状態。非感染性の疾患などの、複雑に多数の原因が絡み合ったものは、特異性が低い(特異性が低くても因果関係を否定出来ない場合もある)。
  4. 時間的関係(temporal relationship):疾病発生の原因は必ず疾病発生に先行しなければならない。
  5. 論理的一致(coherence):既存の医学的・生物学的知識・論理に合致し、矛盾の無い事が必要。

Evans AS→非感染症まで適応範囲を広げた8項目を提示。以下箇条書き部分は9ページより引用。

  1. その疾病の有病割合は曝露群のほうが,非曝露群より高いこと.
  2. 患者群は,非患者群に比べて推定原因への曝露がより高頻度にみられること.
  3. 前向き調査(第5章参照)で,曝露群は非曝露群よりその疾病の発生率が高いこと.
  4. 容疑要因への曝露がその疾病の発生に先行すること.
  5. 宿主側の反応に,測定可能な生物学的スペクトルが存在すること.
  6. 実験的にその疾病が再現できること.
  7. 推定原因を除去すれば,その疾病の発生率が減少すること.
  8. 宿主側の反応を防止または緩和すればその疾病の出現を減少または除去できること.

これらは、因果関係立証のための必要条件では無い。疫学的因果関係を判断するための目安。

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余談。

Wikipediaの使い方。私の場合。

ブログのエントリーなどで、Wikipediaの引用がなされる事がありますね。

で、それに対して、Wikipediaの記事を引用するとは……という批判がつく場合がある。記事に信頼性があるとは限らないではないか、というようにですね。

私の使い方は、こうです。

●当該対象について詳しく無い場合

この場合は、記事に書かれてある内容が適切であるか判断出来ない訳ですね。当然です。知らない事について、Wikipediaによればこういう意味のようである、と紹介するのだから。一般的な辞書を用いるのと同じ文脈。

で、私はこういう時には、記述が正確で無い事をあらかじめ断って引用します。WEBで他に参考資料が見つからない際には、そうやっていますね。

まあ、でも、知らないものについては、なるだけ引用しないのが無難とは言えます。学術的なものである場合なんかは、時間を掛けてでも、大学の専門家のサイトを探す、とか。なので私は、芸能とかサブカルチャーが主かな。

●当該対象についてある程度詳しい場合

この場合だと、記事がどの程度信頼出来るか判断出来るので、参考資料としてきちんと提示する訳ですね。自分はこれについて調べているが、このWikipediaの記事はよく出来ている、だから参考資料として紹介する。といった具合です。もちろん、その信頼性の評価は、紹介した時点での版に関してですが。

この観点からすると、Wikipedia「だから」信用ならない、とは必ずしも言えない訳ですね。中には専門家が編集していたり、豊富に参考文献を示していたり、といった、優れた記事もあるのですから。

ですから、Wikipediaの記事を紹介している事をもって、全体が信用出来ないものである、とするのは妥当では無いでしょうね。Wikipediaに信用ならない記事があるからといって、他のものも概ねそうであろう、とは論理的にならない。編集の仕組みからいってもそうなんじゃないかな、と。

もちろん、基本的には、専門書や論文レベルの文献よりは、資料的価値としては劣る、と考えていた方が良いとは思います。あるいは、固定された記事と考えるのでは無く、ノートや編集履歴も含めて一つのコンテンツとして見る、という。

いずれにしても、使い方によっては有用なものとなろうかと思います。

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コメント

なんか、毎日新聞が、Wikipedia関連でダメな事をしでかしたみたいですね。

お詫びの記事も出ているようですが。

投稿: TAKESAN | 2008年11月19日 (水) 14:17

訂正を別個の記事にするのはどうなんでしょうね。

本来は、元の記事に付け加えるべきだと思うし、トップページに解りやすい所に示すべきと考えるのですが、今見た限りでは、カテゴリーのニュース一覧を見てみないと解らないような出し方になっているようです。関心を持って調べる人じゃないと見つけられないような構成に思えます。WEBなんだから、どこに載せるかは重要かと。

後は、今後紙面でどう出すか、といった所でしょうか。

産経は詳しく報道していますね⇒http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/081119/crm0811191229031-n1.htm

投稿: TAKESAN | 2008年11月19日 (水) 14:24

そもそも、Wikipediaは百科事典を標傍していますので、参考資料として引用すべきではありません。百科事典は一次資料ではありません。百科事典で調べものをするのはOKですが、他の資料への引用にはより一次資料に近いものを使うべきです。ちゃんとした百科事典なら一次資料かそれに近いものへの参照も掲載されています。

私は、参考文献リストにWikipediaの記事を入れたレポートを突き返したことがありますが、Encyclopedia Britannica でも同じことをしたでしょう。

投稿: かも ひろやす | 2008年11月21日 (金) 22:24

かも ひろやすさん、今晩は。

そうですね。仰る通りかと思います。

うーん、たとえば、ブログ記事等で、こういう記述がある、というのを紹介するのは良いかな、とも思っていたのですが、いささか考えが甘いかも知れませんね。

投稿: TAKESAN | 2008年11月22日 (土) 00:33

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