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2008年10月31日 (金)

肘と手首と認知

剣の切り下ろしの話。

動画巡りをしていると、「上腕を振り下ろす」→「肘を伸ばす」→「手首を返す」という順序で運動しようとしていて、身体の使い方がバラバラになっているのを時折見かけます。

また、ブログなんかを読んでいて、その「順序」を意識して振ろうと心掛けているような記述も見ます。

ちょっと考えてみましょう。

切り下ろしは、ゆっくりめでも、1秒と掛からない動作ですよね。

で、その間に、上腕の振り下ろし・肘の伸展・手首の尺屈、という運動を連続させて行おうと認知しながら振る訳です。

ごく短い時間ですね。その間に、「認知(”こうしよう”と意識する)」→「運動」→「フィードバック(運動出来たか確認)」→「次の運動の認知」、というサイクルを繰り返すのですから、まあ、「間に合わない」。ぎこちなくなるんですよね。極端になると、振り終わってから剣を前に突き出してしまうような動きになる。

初心の内には、そういう認識で稽古するのは避けた方が良いかも知れませんね。そのようにする際には、ごくごくゆっくり行う、とかね。

そういう所を戒めるためなのか、新陰流の教えで、肘と手首の運動を制限させるようなものがありますよね(手許に資料無いので、ソースは示せませんが)。黒田鉄山氏の剣の教えもそれに近いのだと思います(具体的な操法自体が違うので、単純に似ているとする事は出来ないけれども)。

まずは、上腕~手首を一体の物体のようにして振るのが良いかも。もちろん、力を入れないのは前提。そうすると、腕を余計に使わない武術の身体操作がやりやすいし、手首を先に返すのも防げる。動作の認知としては、腕を一体にして振り下ろす、という単純なものなので、打ち込みの要領が掴みやすい。腕の代わりに、根本である肩や腰に意識を向ける事も出来る。剣を振るというと、どうしても腕そのものを意識してしまいがちだから。

それで、それがある程度出来るようになってから、腕の関節を滑らかに使った剣の振りを練習すると、良いでしょう。そうすると、実は、多段ロケットみたいな動きじゃ無くて、並行して関節を運動させているのだ、というのも掴みやすいんじゃないかな。

身体運動というのは同時並行的な運動で、シーケンシャルなものでは無いんですよね。動きを分解して、それを体現しようと強く意識してしまうと、短時間にシーケンスを詰め込もうとして、結局バラバラになる、というね。本当は、言語的に把握するのがそもそも難しい現象な訳です、身体運動はね。

また読解が難しい文を書いてしまったぜ…。

簡単に言うと、運動を実現させるための時間制限に認知がおいつかず、更に、本来同時並行的な関節運動をシーケンシャルな構造として認識するからバラバラな動きになる、って事です。本当は、同時並行的運動は、身体意識的な、非言語的なものとして認知(知覚でもいいか)される必要がある訳で。たとえば、視覚的な情報によって動作が実現出来ているか確認してフィードバックするのとでは、全く速さが違う。

え、全然解らない? 何気に、結構深い事書いてるんですけどね(笑)

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