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2008年10月 5日 (日)

プラセボ効果の違い?

2008年10月6日追記:コメント欄必読。不勉強猛省。ご教示下さった皆さんに深謝。

CNN.co.jp:「コカ・コーラの避妊効果」研究にイグ・ノーベル化学賞(※本題ではありませんが、このトピックに関しては、こちらもお読み下さい⇒PSJ渋谷研究所X: ロイターのイグ・ノーベル賞報道には困ったもんだ

この記事の、

また、高価な偽薬(プラセボ)ほど、安い偽薬よりも効果が高いことを確認した米デューク大学のダン・アリエリー行動経済学教授が、医学賞を受賞した。

------

○医学賞:「高価な偽薬(プラセボ)は安価な偽薬よりも効果が高い」ことを確認した米デューク大学のダン・アリエリー行動経済学教授に授与。

この部分を読んで思ったのですが。

もし、「効果高価同音異義語めっな偽薬」とやらが、実質的に、安価な物よりも効果が高い事が見出されたら、それはもう、「偽薬」とは呼べなくなる、つまり、偽薬だと思われているものに実は薬としての効果が見出された、となるのではないかな、と考えたのですが、これは、私が何か勘違いしているのでしょうか。

偽薬というのは、明らかに薬効が無いと判っているものの事だと思っていたのですが。もしかすると、強烈な思い違いや理解不足があるのかも知れない…。

……あれ。そもそも、「安価」、「高価」という情報は、誰に伝えられるのだろう。

ああ、もしかすると、記事の要約の仕方の問題だろうか。

------------

という訳で、ちょっくら調べてみました。

たんぽぽ院長のつぶやき 安価なプラセボより高価なプラセボの有効性が高い

ああ、なるほどね。どうやら、私の、件の記事の解釈が誤っていたみたいです。

リンク先の引用文によれば、被験者に対して、薬の価格が記されたパンフレットを渡した上で、錠剤を与えたようです。明記はされていませんが、錠剤は同じ物なのでしょう。

要するにこの研究、情報の与え方によってプラセボ効果の大きさも変わってくる、というのを示したものな訳ですね。だから、安価だという印象が強い薬の場合、プラセボ効果と薬効との相乗効果が充分に発揮されない場合もあるかも知れないので、それを踏まえておくべきだ、と。※リンク先の最後の段落に書かれてある事は、きちんと考えられなければならないでしょうね。

私は最初、イグ・ノーベル賞についての要約記事を読んで、「薬効が無いと思われている物で、価格が異なる」2種類の薬を与えたら、価格が高い側がより効いた、というのが示されたのだと思い、訳が解らなくなってしまったのでした。まあ、詳しい研究の説明を見ると、確かにそうだよなあ、という感じですね…。

うーん、それでも、「安価なプラセボより高価なプラセボ」が云々というのは、解りやすい日本語では無いと思うのですが、それは、私だけなのかなあ。

誤解を招かないような要約をするならば、「同一プラセボへ付加された情報(価格の高低)による印象の異なりが、プラセボ効果そのものに違いをもたらす可能性が示唆された」って感じですかね。

もしくは、「薬としては意味無い物なのに、値段が違ったら効果も異なるかも知れないよ」、みたいな。

皆さん、どう思います? 単に、私の読みが特殊だっただけだろ、って突っ込みが入りそうですけど(笑)

いずれにしても、当該研究が妥当なものだとすると、これは、研究者も言っているように、非常に示唆的だと思いますね。医療系詐欺の文脈にも関わってくる、重要な問題。

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「科学論」カテゴリの記事

コメント

このエントリーを読む前に、件のイグ・ノーベル賞関連の要約記事を読んだ方がおられたら、「自分は最初こう読んだ」、というのを教えて頂けると、解釈の可能性の違いが検討出来て面白いかな、と思います。

投稿: TAKESAN | 2008年10月 5日 (日) 17:23

>「効果な偽薬」
なんか楽しいtypoになってます(^^)

ぼくは記事を読んだ当初から、高価だと告げて処方された偽薬の方が高いプラセボ効果を発揮した、つまり「同一プラセボへ付加された情報(価格の高低)による印象の異なりが、プラセボ効果そのものに違いをもたらす可能性が示唆された」ということだろうと読み取りました。

ただ、この報道に接する前から「高いと言われた方が効きそうに感じる人は多いだろう」ということを考えたことはあったんですよね。また、見た途端におよそのイメージがわいた(同じ小麦粉を、二度目に与えるときは「では,今度はもっと高価なお薬を出してみますね」と説明するみたいなシーン)ので、早とちりがたまたま合っていたというか、納得力を発揮して補った部分はあるのかもしれません。

とはいえ、TAKESANさんが、なにをどう勘違いしたのかは、よくわからなかったりします(^^;; なんでまた「高価な偽薬」に、プラセボではない薬効があるという話なのかも、と考えちゃったんでしょうね。記事を読んで、自分のプラセボについての知識を疑った、ということなのかなとは思ったのですが。

投稿: 亀@渋研X | 2008年10月 5日 (日) 17:45

私も、亀@渋研Xさんと同じ解釈でした。

この報道を勘違いして、「てことは安い真薬を『このクスリめっちゃ高いんやで!』と言って患者に与えれば高い真薬並に効くってことか!」なんて考える医者が出てきたりして。

投稿: A-WING | 2008年10月 5日 (日) 18:10

初めまして。

>偽薬というのは、明らかに薬効が無いと判っているものの事だと思っていたのですが。もしかすると、強烈な思い違いや理解不足があるのかも知れない…。

新薬と類似の薬を使った比較試験と言うのがありますが、この場合、類似薬が偽薬として使われますが、この類似薬にも一応薬効がありますね。
http://www.jpma.or.jp/medicine/med_qa/development/q01_59.htm
私の場合、イグ・ノーベル賞のこの部分の記事は読んでなかったのですが、以前に上と同じ事を聞いていたので、記事を読んでも、疑問を持たず読み流したでしょうね。

投稿: e10go | 2008年10月 5日 (日) 19:23

同音異義語の罠にかかったようであります。

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亀@渋研Xさん、A-WINGさん、今晩は。

おお、やっぱ、私独自の読みのようです。全く自慢になりませんが…。

えっとですね、私が件の記事を読んで想像したのが、ダブルブラインドテストを用いた臨床試験、だったのです。
要するに、ある症状なりに効かないのが解っている物AとBがあり、それは価格が違う。で、それを処方してみた(偽薬)。
価格が違うなら成分も違うだろうという事で、仮に、それぞれを処方した群間の効果に違いがあったとするならば、それは、片方は「偽薬で無い」と結論されるのではないか、と思った次第です。
本当ならここで、「同じ物に異なった価格を設定して、被験者に教示した」、という事に、すぐに思い至るべきだったのでしょう。※書きながら思い至ったので、こんなエントリー(最初は前半だけの内容だったのですが、途中で付け足したのです)になったんですけどね(笑)

うーんと、書いてて解りにくいだろうなあ、と思いますが、つまり、「偽薬なんだから高いも安いも無いだろ」、というのが、読んだ第一印象だった訳です。件の研究は、医学から心理学にまたがったものと言えると思いますが、私としては、単に臨床試験を行ったものだと先入観を持ったのですね。

実際の研究では、価格設定そのものが作られたものだった訳ですが、私はそれ(「高価な偽薬」、「安価な偽薬」)を「事実」だと受け取ったのでした。

A-WINGさんご指摘の話は、ホメオパシーの補強なんかに都合良く使われそうです。

なんか、書いていて、自分の最初の読み方が恥ずかしくなってきますが、一つのパターンとして晒しておきます。

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e10goさん、今晩は。(上のレスを書いた後に読みました)

これは、教えて頂いてありがとうございます。

上にも書いたように、最初、シンプルなダブルブラインドテストなのかな、と読んだんですよね。プラセボを2群に分けたとは考えもせず…。

ところで、
▼▼▼引用▼▼▼
類似薬が偽薬として使われますが、この類似薬にも一応薬効がありますね。
▲▲引用終了▲▲
リンク先を読むと、通常は、治験薬に期待されるのと同じ効能を持つ薬を対照群とするが、治験薬がそれまでに無い効能を期待されて作られた物である場合、対照群の代わりにプラセボ群と比較する、という説明ではないかな、と思いました。つまり、類似薬が無い場合に、代わりに偽薬と比較する、という。
類似薬を対照とした場合は、それと同程度の効果が推定されれば、効果があると認め、偽薬との比較試験の場合には、偽薬を与えた群と実質的に意味のある差が認められた場合、効果があると認める。

薬効というのは、プラセボより効果がある、という事ですよね。ですから、「類似薬を偽薬として用いる」のでは無く、「類似薬、もしくは偽薬と比較する」、という事なのかな、と。
読み違いでしたら申し訳ありません。

------

うーむ。込み入った文章ですねえ…。

投稿: TAKESAN | 2008年10月 5日 (日) 20:08

TAKESANさんの勘違いの理由は、なんていうか、アレじゃないでしょうか。長時間テトリスやった後は、なぜかあらゆるものの縦一列を空けようとしてしまう、という。

あと、私が上で書いた冗談。よく考えたら、すでにそうなっていると思われる商品やサービスはありますね。
例えばファッション業界などは、つい最近までソレで回ってたり(今もか?)。あのころの服と来たらもう・・・ま、いいや(笑)

投稿: A-WING | 2008年10月 5日 (日) 21:23

返答ありがとうございます。そう言われると自信が無くなってきました(^^;

私も当初は、効果のない偽薬で効果が出る事がプラセボ効果と思っていました。
何年か前にテレビの報道番組で治験の事が取り上げられて、そこで、上の様な話が出ていたのですが、その時に間違って理解したかと思い、TAKESANさんの返答を頂いた後、少し調べてみました。
そしたら、下のページが見つかりました。
http://www.chikennavi.net/word/placebo.htm
ここの内容を信用するなら、
>薬効成分を含むものを
>「アクティブ・プラセボ(活性プラセボ)」、
>薬効成分を含まないものを
>「インアクティブ・プラセボ(不活性プラセボ)」
と言う事のようですね。

投稿: e10go | 2008年10月 5日 (日) 21:38

多分、「プラセボ」が「効果が無い」という意味を既に含んでいるので、それを元に認識を組み立ててしまったのだと思います。

件の研究で重要なのは、プラセボはプラセボである、という事なんだと思います。いかに上等だと「思わされた」薬だとしても、結局の所はプラセボ効果なのだ、と。
そういうのをきちんと捉えないと、感染症に対しても効くのではないか、なんて言ってしまう場合があるんでしょうね。

ほう、ファッション業界もそうなんですか…。

ちなみに、武術界は、(具体的にはちょっと異なりますが)こういった論理がかなり浸透していますね。力学的・生理学的にあまり意味が無い働きかけをしていても、心理効果でなんとかなったりする。そして、それがエスカレートして、「思う」だけで相手が倒れる、なんて事を主張してしまう。厄介な事に、それが現象として現れたり。ややこしい話です。

投稿: TAKESAN | 2008年10月 5日 (日) 21:41

 プラセボ自体に「効果が無い」という意味は含んでいないはずです。プラセボは「有効な薬効成分を含まない」のはず。これが基本。
 「効果がある」ので特に「プラセボ効果」と呼ばれるわけです。
 これが、今回の記事で意識しなければならない範囲の理解としていいはずです。

----------

 で、次の段階として最近使われるようになったのが、e10goさんのリンクしたアクティブプラセボ、インアクティブプラセボですね。これは、本来のプラセボの意味から離れています。「比較対象用の薬」という意味です。これは、さらにふたつに分けて考えた方がいいと思います。

 本来のプラセボでは、(副作用=のどの渇きとかの有無などによって)非盲検状態になってしまうことがあるため、調べたい薬の副作用だけを再現するために作られた薬を用いたりします。これが、アクティブプラセボのひとつ。

 さらに広義になると、「従来の薬をプラセボとして用いる」なんて言い方もするようです。これは明らかに薬効があります。薬効の高低を新薬と比較するために用いる「比較対象用の薬」をプラセボと呼んでいるわけです。アクティブプラセボのふたつ目ですね。

----------

 大体、この3段階として捉えると混乱がないかと思います。

投稿: newKamer | 2008年10月 6日 (月) 09:20

newKamerさん、今日は。

いや、ここで言う「効果が無い」とはもちろん、有効な薬効成分を含まない、とほぼ同義でした。「変化が無い」では無く「薬効が無い」という意味たったので。

アクティブプラセボとインアクティブプラセボという概念は知りませんでした。なるほど、これはやはり、私の無知がありますね。勉強し直してみます。

ちょっと調べると、仰るように、広義には、薬効成分を含む含まないに拘らず、対照に取るものを「プラセボ」と総称する場合があるようですね。私が拘っていたのは、狭義のプラセボ(インアクティブプラセボ)だったみたいです。

うーむ、これは参考になりました。ありがとうございます。深謝。

解りやすく説明したページがあったので、貼っておきます。もしかすると、私と同じような思い込みをされていた方が、他にもおられるかも知れないので⇒http://www.chikennavi.net/word/placebo.htm


投稿: TAKESAN | 2008年10月 6日 (月) 12:24

ああっ!

ホントごめんなさい。e10goさんのコメントを見逃していました。直後の私のコメントは、A-WINGさんに対してだけのレスでした。

↑にも書いたように、私の理解不足による誤解があったようです。正直、プラセボの日本語である「偽薬」という語の意味内容に囚われていたと思います。

同じリンクを貼ってるし……うう、いかんなあ。

改めて、大変失礼しました。

投稿: TAKESAN | 2008年10月 6日 (月) 12:38

私はnewKamerさんと同じわくぐみで、重みをつけてとらえるのに賛成ですが、つける重みはもっと急激で、placeboは偽薬という意味でのみ使いたいですし、(誰に対しても強制するつもりはありませんが)他の方にもそのような使い方をおすすめしたいと思います。
placeboはもとは「気休めに」という意味があるらしいんですよね。対照としてどのような目的で何をどのように使ったかについて具体的な情報がなければ、結局研究の評価はできないわけですから、広い意味のplaceboなんて言葉はいらないと思います。世間にはいろいろなことばの使い方をする人はいるでしょうけれども、あまりお行儀のわるい人の動向まで把握しておく必要はなく、万が一そんな人たちの主張も理解しなければならなくなった時に困らない程度であれば無視してもいいのではないかと思います(あくまでもアクティブ プラシボとかの話です)。

エントリのもとの話はまさに「偽薬」の話ですから、placeboということばを堂々と使える場合であると思います。

投稿: ちがやまる | 2008年10月 6日 (月) 18:41

また来ました。実際の用例を確かめてみたい方は、PubMedの検索窓に「"active placebo"[All Fields] OR "active placebos"[All Fields]」(の「」の中)を入れてみたらいいのではないかと思います。さっきやってみたら149件ひっかかったようです。
「"placebos"[All Fields] OR "placebo"[All Fields]」だと127122件になりました。

投稿: ちがやまる | 2008年10月 6日 (月) 19:18

ちがやまるさん、今晩は。

ご教示、ありがとうございます。

今回皆さんにアドバイス頂いて、大分整理されました。

プラセボという語が用いられていても、必ずしも効能が無いものを指している訳では無い、というのを押えておきます。
その上で、自分で使う場合には、仰るような用法で使おうと思います。

それにしても、このお話は、なるほどなあ、という感じです。きちんと術語の意味(の広がりも含め)を把握していないと、私みたいな混乱に陥るのかな、と。

ああ、でも、元ネタの読解については、プラセボの多義性はあまり関係無く、単に私の読み方がずれてただけですね(笑)

投稿: TAKESAN | 2008年10月 6日 (月) 22:59

これ、「薬だって『安かろう悪かろう』なんじゃないか」「『よいものは高い』ってことは、『高いものはよい』ってことだよな」という患者の思い込みを刺激しているってことですよね?

で、あのー、なんとなく、でしかないんですが、アクティブ・プラセボという概念を知って、それと元ネタを結びつけて考えると、「価格と効果を結びつけて考える傾向が患者側にあり、それが実際の薬効に影響する可能性がある」って話にもなりかねないような?

これ、ジェネリック医薬品あたりと関係づいちゃったりするとイヤですねえ。

後発医薬品 - Wikipedia
(なんだか蹴られるのでURLを削ってみました。すいませんがググってください)

まさか、日本で普及しない理由に、患者や処方する側の「安かろう悪かろう」というような意識が影響しているのかなあ。だとすると、「やっぱり」となって、「『高い』と知らされていれば、高い新薬の方が薬効をちゃんと発揮する(あるいは,薬効以上の効果を上げる)ことがある」のだなんて「拡大解釈」されることもありそうですよね。しかも、話をうかつにひっくり返して、「安いと知って患者が期待値を下げると実際に薬効を弱めてしまう」ってことだと理解されちゃったり(そういう「弱める」という効果は考えにくいと思うのですが。そうでもないのかな)……。

もちろん、ふつうの人は元々のプラセボ、インアクティブなほうしか知らないだろうから、こんなの思いつきレベルの危惧でしかないのですが……。

投稿: 亀@渋研X | 2008年10月 7日 (火) 13:48

私も弾かれまくり…。

亀@渋研Xさん、今日は。

元ネタで、まさにそういう事に関して書かれていますね。
▼▼▼引用▼▼▼
「何かを期待すれば、人間の脳はそれを実現させるよう働く」と述べ、価格が安い後発医薬品「ジェネリック医薬品」も、名前と値段を変えれば高い効果が上がると主張している。
▲▲引用終了▲▲
http://www.cnn.co.jp/science/CNN200810030007.html

▼▼▼引用▼▼▼
さらに,興味深いのは,価格に敏感な患者の期待感と,錠剤がよく効くと伝えられることによるプラセボの相乗効果である。
 同教授は,処方薬を特色のない褐色の瓶に入れて提供するのではなく,よく効くとの暗示が患者に伝わる容器に入れて提供したらどうかと提案しており,また「効果はないという先入観を患者に与えることなく,より安価な薬剤,すなわちジェネリック薬を患者に提供するにはどうすべきか」と問いかけている。
▲▲引用終了▲▲(※『Medical Tribune  2008年4月3日(VOL.41 NO.14) p.77』より孫引き)
http://tampopoinchyo.blog40.fc2.com/blog-entry-995.html

これは、見方を変えると、注意深く考えなければならない事でもあるように思いますね。上でA-WINGさんも書いておられるように。
効果が高くなるから値段も高くしてるんだ、という正当化に使われたり。

うーん、難しい問題ですね。

投稿: TAKESAN | 2008年10月 7日 (火) 14:48

>TAKESANさん
参考になるかわかりませんが、newKamerさんの書き込みに関連して、補足させて下さい。

ある薬の効果を検定する際には、その薬の作用に基づいて適当な評価系が採用されますが、その場合のプラシーボ効果とは、投与したのが偽薬であっても「その特定の評価系で引っ掛かってくる効果」のことを言います。引っ掛かってくれば「効果あり」ということであって、通常、プラシーボ効果のメカニズムはわからない、というかメカニズムを問うことはしません。

言い換えると、その薬の作用メカニズムとは別の機構でプラシーボ効果が顕れたのかどうかさえ問わないということです。ですから、偽薬に「薬効がある」という言葉は適切ではないですが、評価系の枠内で「効く」という言い方なら妥当であると思われます。ただし、それの拡大解釈が、「自然治癒力」なるものの過大評価につながることでもあるのですが・・・。

>ちがやまるさん
newKamerさんの書き込みは重みづけとは関係ないと思います。単に、ここでのテーマに関わる本来の言葉の範囲を明確にした上で、補足説明として、こういうのもあると説明されているだけですね。

アクティブプラシーボに関して言えば、通常、偽薬は薬の副作用の効果の対照とはならないので、それも含めたプラシーボ効果の検定も、薬の効果の判定においては重要となる場合があります。ここでのテーマに直接関わるものではないし、知っていなければならないという程のものでもありませんが、知っていたら何かの話の時に役立つかもしれないという程度の感覚でnewKamerさんも説明されているのだと思います。

投稿: ネット沙代 | 2008年10月 7日 (火) 18:33

PubMedのSummaryで用例をご覧になりましたか。対照として用いたものならば、「何々をどのように(具体的な介入を記述)したものを対照とした」と坦々と書けばいいわけです。それではじめて何に対してどのような効果が認められたかが読み手に伝わるわけです。
newKamerさんがどうお考えになったかはご本人にしかわからないことですので、私がそれを読み間違えていたなら訂正します。重み付けをきびしくして、「アクティブプラシーボ」は知らなくてかまわない、と考えるのは少なくとも私の考えです。

投稿: ちがやまる | 2008年10月 7日 (火) 18:47

追加です。ポジティブコントロール、ネガティブコントロールという考え方を知らなくていい、と言ってるわけではないです。
ことばの使い方として、「アクティブプラシーボ」は熱い氷みたいないい方だ、というのと、何を使ったというべき所にあてはめる使い方はだめだ、という理由に立脚してます。(二重盲検、三重盲検という言葉も、誰に対して何を伏せられたかを示さないことにつながるので反対、という立場です。)

投稿: ちがやまる | 2008年10月 7日 (火) 19:04

ネット沙代さん、今晩は。

>ネット沙代さん、ちがやまるさん

私としては、ちょっと「重み付け」がどういう事を指していたのか、ちゃんと読み取れていなかったりします。アクティブ/インアクティブ プラセボという用語については、学術概念としてそれほど重視しないでも良い、知っているくらいで構わない、って事だと私は読んだのですが、それで良いのかな。
確かに、newKamerさんがどういう意図で書かれたか、というのは明示されていないのですが。

ところで、これは凄く興味があるのですけれど、
▼▼▼引用▼▼▼(ちがやまるさん)
(二重盲検、三重盲検という言葉も、誰に対して何を伏せられたかを示さないことにつながるので反対、という立場です。)
▲▲引用終了▲▲
これは、説明をするとすれば、具体的にどういう表現が用いられる事になるのでしょう。私自身、二重盲検というのは使っているので、是非ご教示頂きたいです。記述は、なるべく誤解を与えないようなものにするに越した事は無い、と思っています。

熱い氷みたいな、という部分、確かにそうだなあ、と感じました。

投稿: TAKESAN | 2008年10月 7日 (火) 19:39

(たしかFriedmanの教科書だったかの受け売りなのですが、)実際上「これは二重盲検でやりました。」という表現は成立しない、という考えです。「どちらの処方が選択されたかは治療者と患者に知らされなかった。」などと書けばいいわけで、隠すやりかたや範囲は研究によって異なり、「二重盲検」というだけで方法が確定するものではないというのです。
一般論として、臨床比較試験などでそういう方法がとられているよ、という話をする場合などには気にする必要はないのかもしれません。

投稿: ちがやまる | 2008年10月 7日 (火) 20:08

私も、「重み付け」がどういう事を指していたのか、ちゃんと読み取れていなかったようです。

ごくシンプルに定義してしまえる用語と、何らかの目的で、あえてそれに限定的な条件を付して、その一般性を排してでも特殊に定義した用語(newKamerさんは「本来のプラセボの意味から離れています」と表現されています)とで、「どちらが重要か」などということを想定できる文脈とはとれなかったので、私の前の書き込みとなったわけです。

しかし、ちがやまるさんの言われる「重み」というのは、用語の厳密性と使い方の良し悪しに準拠して付すものだったようですね。それはそれで私には別に異議はありません

投稿: ネット沙代 | 2008年10月 7日 (火) 22:10

自分で書いたことが明確でなかったかもしれないのではっきり書いてみますが、私のは「アクティブプラシーボ」という言葉は認めない(たくない)という立場です。特殊な意味を持つことばとして取っておこうというのとは違います。
「二重盲検」はメタな文脈で使われるならいいのかな、ということです。

投稿: ちがやまる | 2008年10月 8日 (水) 01:10

ちょっと整理出来てるようで出来て無いっぽいかもなので、もうちょい考えてみます。

投稿: TAKESAN | 2008年10月 8日 (水) 01:23

「(たとえば)麻薬を投与されると口渇感が出たり便秘をしたりするのに、そういうのが全く無いものを投与されると投与された経験のある人にはそれが「偽薬」であることがばれてしまう。そこで口渇感・便秘をおこす「偽薬」を使う。」
これはnewKamerさんがふたつに分けたひとつめですが、この「作用を有する偽薬」まで否定するのはまずかったですし、placeboのもとの意味からもはずれていないと思います。

わたしが拒絶したいのはふたつ目の方ということで。

投稿: ちがやまる | 2008年10月 8日 (水) 04:01

私が興味を持ったのはプラシーボ効果の「効果」という言葉の解釈です。

TAKESANさんの『多分、「プラセボ」が「効果が無い」という意味を既に含んでいるので、それを元に認識を組み立ててしまったのだと思います。』という発言を受けてnewKamerさんが『「効果がある」ので特に「プラセボ効果」と呼ばれるわけです。』とコメントされた。それに対しては「効果」ではなく「変化」という言葉を使われた。

そこから多分TAKESANさんは「薬の作用メカニズムとはまったく別の効果」→「効果自体がニセ者」というような価値判断も含めた意味として解釈されているのだと推察しました(間違っていたらごめんなさい)。

プラシーボ効果の起きるメカニズムはよくわかっていないので、あくまで私の個人的印象ですが、一般的にはその解釈が一番妥当なのではないかと思います。

ただし、薬の評価系の枠内では、その「効果」は価値判断を含むものではなく、単にその大小が問題となる(特に真薬を投与した時の効果と比べての)だけであって、「効くことは効く」という考え方です。

ですから『感染症に対しても効くのではないか、なんて言ってしまう場合があるんでしょうね』というご感想に対しても、プラシーボ効果はあるが感染症薬の効果に比べてきわめて小さいのだという考え方をとります。逆に、抗鬱病薬などでは、薬効に比べてのプラシーボ効果が大きいため、なかなか評価が大変なのだそうです。

投稿: ネット沙代 | 2008年10月 8日 (水) 12:03

ちがやまるさん、今日は。

あーそっか、副作用だけを再現するプラセボって、そういう意味か。

やっと解ってきたかも。遅いですが。

投稿: TAKESAN | 2008年10月 8日 (水) 12:03

ネット沙代さん、今日は。

えっと、自分で認識している事を、ちょっと文章にしにくいですね。整理がまだ上手くいっていないのかも知れません。

まず、プラセボというのは、薬理学的には意味が無い事がある程度確実に言えるものを与えるのですよね? で、その上で、プラセボを対照に取って治験薬と比較し、プラセボより実質的に大きな変化を起こすものを、「薬としての効果がある」と評価する、という流れなのだと認識しています。

私がプラセボを「効果が無い」としたのは、そもそもその研究の文脈では、「プラセボより大きい変化」が「効果がある」と定義されているから、と前提していました。薬の試験なので、そこでの効果とは、「薬としての」効果であり、「プラセボより高い」効果であると含意されている、と思っていた訳です。

と、こういう認識で論を進めてきた訳ですが、ご説明を伺うと、どうやら、自分の言葉遣いが、とても素朴だったようです。

投稿: TAKESAN | 2008年10月 8日 (水) 12:18

TAKESANさん
あらまあ。元ネタにはっきりと(汗
「読んだことをいったん忘れて、自分で考え出したことのように思い出した」ということかしら、はずかしや(汗々

さっき、たまたまナショナルジオグラフィックのサイトを見ていたら、こんな記述がありました。

http://www.nationalgeographic.co.jp/news/news_article.php?file_id=81165261

>今年のテーマ「余計な研究」

これを読んだとき「あああああ!」となりました。なるほど「人を笑わせ、そして考えさせてくれる研究」であると同時に「余計な研究」なんですね。悩ましいのも道理であります。

みなさんが議論中のアクティブ・プラセボ関係については、なんかよくわからなくなってきたので、自分ちで整理し直してみています。議論の場所を拡散させるつもりはなくって、なんかここに長々と書くのもなあ、という程度のことなんですが、エントリを上げたらトラックバックの予定です。

投稿: 亀@渋研X | 2008年10月 8日 (水) 14:09

亀@渋研Xさん、今日は。

あー、「余計な研究」がテーマだったんですね。なるほど。

ポテトチップの実験もグッときますね。何がどう栄養学なのか解りませんが(笑)

それにしても、化学賞はやっぱり、両方を紹介するべきですよね。逆の結果が出た、というそこが面白い訳で(もちろん、誤解を招かないという意味もあるし)。

プラセボの話は難しいですね。色々教えて頂いて勉強になっています。その程度の理解で用語を使っていたのか、とのそしりは免れないですが。

------

お、ミヤネ屋でアレが始まった…。

投稿: TAKESAN | 2008年10月 8日 (水) 14:55

ああ、そうだ。

ちょっと知りたい事があるのですが。

真薬の効果がラベリング(たとえば、示された価格の違い。もちろん、薬は全く同じ物)によって異なる、というのを調べる研究ってあるんでしょうか。

投稿: TAKESAN | 2008年10月 8日 (水) 15:40

ネット沙代さんの「効果」の話を読んでいて、Fletcher "Clinical Epidemiology"(これも学生・医科むけの教科書ですが)にたしかそんな図があったことを思い出して見てみました。
回復の程度を示す棒グラフが順に積み上がっていく様子が描いてあって、箱の横に順に自然史 Natural history、ホーソン Hawthorne、プラシーボ Placebo、特異的治療 Specific treatment と名前がつけられていて、全体をまとめる形で「効果 Effects」とあります。キャプションは、「治療の効果は特異的・非特異的応答同様に自発的回復(自然史)も加えたものである。」となっていました。

その一方で、効果というのは一般的なことばでしょうから、つじつまが合っていて、一貫性があって、情報をやりとりする両者で合意が成立するなら、絶対どうでなければならないという事も無いようにも思います。

投稿: ちがやまる | 2008年10月 8日 (水) 16:02

なるほど…。

これは勉強になります。そこら辺も注意深く見た方が良さそうですね。やはり、ある程度体系的な理解はしておくべきと思いました。

投稿: TAKESAN | 2008年10月 8日 (水) 16:26

>TAKESANさん
了解しました。TAKESANさんは薬効という言葉を文字通りに使っておられただけで、プラシーボ効果という言葉にことさら価値判断を含ませたわけではなく、単に「薬効ではない効果」として使っておられたということですね。私の方は、「薬効」という効果と「プラシーボ効果」という効果の質的な違いが関わる話なのかなと早とちりしてしまったために、話があまりスムーズには噛み合わなかったようです。どうも失礼致しました。

なお、誤読されてしまう可能性は少ないと思いますが、先ほどの私のコメント「一般的にはその解釈が一番妥当なのではないかと思います」の「その解釈」というのは、当然「TAKESANさんの解釈」という意味です。

投稿: ネット沙代 | 2008年10月 8日 (水) 16:33

 ありゃ。やりとりをフォローしてませんでした。今は時間が無いので、時間が有るときに読み返して、必要なら補足します。私の投稿で変なお手数をおかけしました。

投稿: newKamer | 2008年10月 8日 (水) 17:59

newKamerさん、今晩は。

>ネット沙代さん、newKamerさん

あ、いえいえ。むしろ、色々知らなかった事を教えて頂けたので、ありがたいです。

私は最初、「効果」もしくは「薬効」という語に、「プラセボ以上の実質的な効果」、を含意させて使っていました。プラセボにもプラセボ「効果」とつくので、非常にややこしい使い方だったかもです…。

投稿: TAKESAN | 2008年10月 8日 (水) 18:55

さっきブクマしたんですが⇒http://blog.livedoor.jp/dankogai/archives/51150309.html

なんか、無意識的な(に限らないか)心理効果一般を「プラセボ(プラシーボ)効果」と呼ぶのって、結構見られません?

私としては、概念を拡張し過ぎな気がするんですよね。

ちがやまるさんに頂いた教示もヒントにしていますが。

心理学には自己成就とかステレオタイプとか、あるいはバーナム効果、フォアラー効果というものがあるので、そういう概念で説明すればいいんじゃないかなあ、と。

投稿: TAKESAN | 2008年12月10日 (水) 18:16

http://b.hatena.ne.jp/entry/http://d.hatena.ne.jp/lets_skeptic/20081218/p1

↑のいくつかの的外れな読みを見ていると、ちがやまるさんの上でのご指摘は重要だったんだなあ、と改めて思いますね。

参考資料⇒http://medical.radionikkei.jp/suzuken/final/021024html/index.html

投稿: TAKESAN | 2008年12月19日 (金) 18:15

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