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2008年9月20日 (土)

独断と偏見による、アクションを描けている漫画家

ここで言う「アクション」とは、いわゆる「リアル」な、現実に再現出来そうなアクションの事。スティーブン・セガールのアクションはいいよね、的な見方。それと、本格的な武術等について目が向いているのを想起させるようなもの。

画の上手さは、基本的に考慮しません(個別に評価してますが)。

作家名のリンクは、Wikipediaに張ってあります。

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鶴田洋久

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12巻辺りまでは、よくある格闘技系マンガという印象ですが、それ以降はがらりと作風が変わります。マニアックな人には受けたでしょうけれど(私にはかなりきた)、内面の葛藤等を描いた展開が苦手な人もいたかも知れません。アクションの具体的な描写としては、空手の宇城師範との交流の影響がモロに出ています。かなり「描けている」方ですね。柳澤の三戦の構えは、そこら辺の空手家より良い姿勢でしょう(宇城氏をモデルに描こうとしているはず)。

藤原芳秀

拳児 (3) (小学館文庫) Book 拳児 (3) (小学館文庫)

著者:松田 隆智,藤原 芳秀
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この作品が無ければ、今の私はありません。私が武術に興味を持つきっかけとなった作品。

画はどちらかというと、作者が動きの流れを構成している、というよりは、元々ある映像や写真を正確に描写していっている、という印象(程度問題でもありますが)。

大東流の佐川翁をモデルにしたキャラクター(佐上師範)の姿勢・動きは、実に描けていました。あの肩腕の脱力を描けているというのは、非常に面白い。意識したかどうかは解りませんが、正確に描こうという姿勢が見てとれます。

一般的な、身体のポジションの描写の正確さに、ちょっとバラツキがあるように思います。

井上雄彦

バガボンド―原作吉川英治「宮本武蔵」より (24) (モーニングKC (1553)) Book バガボンド―原作吉川英治「宮本武蔵」より (24) (モーニングKC (1553))

著者:吉川 英治,井上 雄彦
販売元:講談社
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言わずと知れた傑作。

武蔵を描くというのは、そもそもめちゃくちゃにハードルが高い事な訳ですね。日本武術史上最高峰の人間なのですから。

井上氏の画については、骨格の配列等があまり正確に描かれていないという印象があります(武術的な具体的動き、という以前の話)。武術を描けているか否かという基準から考えると、これは是非改善してもらいたい所。正中線の通っていない武蔵など、考えられないのですしね。

動きに関しては、24巻辺りから、脱力を生かした剣技を描こうというのが明確に見られるようになった、と私は感じました。しかし、「描けていない」。※武術の高度な運動を正確に描写する、という基準で考えた場合です。それが前提。

肩周りの脱力を描けると、ぐんと説得力が増すと思うんだけどなあ。

山本貴嗣

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日本の漫画家の中で、武術系の動きに関しては、かなり「説得力」のある画を描く方ではないでしょうか。

ただ、武術の流れるアクションを描けていると言うよりは、ある程度型をそのまま描写する、という画になっている印象。当然武術の技というのは、状況によって形を崩して運用していく訳ですね。しかし、それを構成して描写はしていないようにも思えました。後、武術の達人のやわらかーい動きが再現されると良いですよね。難しいですが。

上山道郎

ツマヌダ格闘街 1 (1) (ヤングキングコミックス) Book ツマヌダ格闘街 1 (1) (ヤングキングコミックス)

著者:上山 道郎
販売元:少年画報社
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今連載中。なかなか頑張っている作品です。

内容としては、マニアをニヤリとさせるもの。各武術の体系をきっちり押さえた上で描く、というものでは無く、武術や格闘技が好きな人が色々な知識を集めてそれを作品に反映させている、という感じ。面白いですね(『空手小公子 小日向海流』などに近いでしょうか)。

画は、身体の柔らかさが充分に描かれていないように思います。武術の独特の動きの流れというのを把握し切れていない、と言うか。しかし、術理を体現した画を描こうとしている姿勢は見てとれますね。好感が持てます。

板垣恵介

範馬刃牙 1 (1) (少年チャンピオン・コミックス) Book 範馬刃牙 1 (1) (少年チャンピオン・コミックス)

著者:板垣 恵介
販売元:秋田書店
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餓狼伝 22 (22) (イブニングKC) Book 餓狼伝 22 (22) (イブニングKC)

著者:夢枕 獏
販売元:講談社
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この方は面白いですよねえ。

武術的な動きが正確に描けているか、というと、「全然描けていない」んですよね。でも、それとはまた違った迫力が画にある。過剰に身体を変形あるいは強調させる事で、躍動感が生まれているように思います。身体の正確な描写、というのとは少しベクトルの向きが違っています。それを好意的に取るかどうかは、結構分かれるような気もしますね。

トリビアになっていないトリビア。

塩田剛三翁の本の挿絵、板垣氏です。※何故トリビアになっていないか、というと、両方知っている人はそんな話も当然知っているし、片側しか知らない人には意味が無い情報だから。

川原正敏

海皇紀 37 (37) (講談社コミックス 月刊少年マガジン) Book 海皇紀 37 (37) (講談社コミックス 月刊少年マガジン)

著者:川原 正敏
販売元:講談社
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修羅の刻(とき)―陸奥円明流外伝 (15) (講談社コミックス―MONTHLY SHONEN MAGAZINE COMICS (KCGM1021)) Book 修羅の刻(とき)―陸奥円明流外伝 (15) (講談社コミックス―MONTHLY SHONEN MAGAZINE COMICS (KCGM1021))

著者:川原 正敏
販売元:講談社
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※この項、『修羅の門』、『修羅の刻』についてのネタバレ書いてます。未読の人には意味不明な文ですが、読んでいる途中の方は注意。

個人的には、この方は最高に上手い、と思っています。

動きの流れの描写が素晴らしい。かなり自由に、イメージで人間の動きを展開出来るのではないか、と推察します。そして、それを正確に描写するセンス。格闘技的な知識も豊富でしょう。

身体各部のポジションにも説得力がある。画そのもののバランスも見事と思います(必ずしも、達人の動きを再現、という事では無いですが)。

以下、若干ネタバレ。

海堂対片山右京の戦いはまだかっ。

『修羅の刻』に、西郷四郎が出たのには、ニヤリとしました。最後の戦いでの座り技の描写と御式内の解釈に、ニヤリとした方も多いでしょう。あの戦いは実に面白かった。

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こんな感じ。独断と偏見。こんなマニアックなエントリーを上げて一体誰が読むんだ、というのは若干気にならないでも無いです。ウソですけど。

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コメント

初期の中国武術ものは,当時の日本にあって,動きをイメージできるような動画の情報が十分でなかったので,教本の丸写しとそれからの想像力で描いていたところがありました。酷いのならいくらでも上げられますね。
 「空手馬鹿一代」でも,中国武術の部分はSFになってましたから。
 「男組」は笠尾恭二氏の太極拳風空手教本の丸写しでしたが,笠尾氏が基本的には隙のない武術的な動きをされていたので,風格はともかく,池上遼一氏の画力もあって,画になっていました。一番の問題は,間合いも想定されるべき勁道もむちゃくちゃという部分で,これは致し方ないと思います。試武の腕の位置が途中で逆になったり,ともかく,苦労されていました。一番生き生きとしていたのは,サブキャラの高柳秀次郎で彼の壮絶死の描写だけは語り継がれるべき作品です。
 「拳児」は,このころになると,結構な情報が出てきているのと,松田隆智氏が監修についておられたので,氏の演舞と中国武術における実力についての評判の悪さはともかく,ある意味正確でした。気になったのは,小旺老師始め,陳家溝の関係者をえらく性格をきつく描いていることで,こんな風に描いて大丈夫?何かあったのかなと思わせるものがありました。勿論,陳家溝4傑は松田さんのプロモートの御陰で小金持ちのおばさんが大挙して陳家村で教習を受けてお金を落として大金持ちになったので,大恩人に対して文句は出なかったでしょうけれど。
 それと,八極の戦闘理論としてのや技の繰り出し方は,疑問が多いのですが,こちらも,藤原氏の画力の勝利です。特に李書文公の外伝の部分は他の人には無理かなと思います。他に,そういった秀作として「うしおととら」の藤田和日郎氏による郭雲深の物語がありました。
 川原 正敏氏の「修羅の門」は,夢枕獏氏の格闘小説のパクリ疑惑(サブミッションを「葛技」と呼ぶところなど,貘氏の代表作の「獅子の門」とタイトルまで・・・)など初期の頃ありました。担当者が揃える資料などに影響されちゃったのでしょう。主人公の傭兵との対戦などで「実戦とは?最強とは?」の迷宮の部分で作者として苦しんでいるのを感じておりました。「海皇記」では,武術は物語の中心にはなく,飽くまで脇役であって,寧ろ得意の操船技術などのテイストに振ったりして,とても気持ちの良い物語を書いておられるのでホッとしております。同様に「修羅の刻」も,「現代における最強」を描くよりは,ずっとややこしい問題もなく,楽な設定で,主人公が皆,生き生きとしております。
 他には,ボクシング限定ですが,「はじめの一歩」なども,格闘技マンガとして高く評価しております。また,女性格闘家が主人公なら,「ハチワンダイバー」の柴田ヨクサル氏による「エアマスター」が,一種独特の熱があって,武術的真偽は別にして,空中殺法に特化した表現は興味深いですね。こんなぶち切れた戦う少女は日本のコミックでしか作れませんね。ネタが枯渇しているハリウッドが影響されるわけです。

投稿: complex_cat | 2008年9月21日 (日) 22:41

complex_catさん、今晩は。

動画による情報公開の影響というのは、物凄く大きいと思います。動きを補間するというのも作家のセンスだろうと考えられますが、やはり、専門的で独特な身体運動ですしね。一旦、一連の動きを情報として仕入れてから再構成する、という方が、リアリティのある説得力を持った画を描けるのかも知れません。

そういう意味で、一昔前の劇画調のを見ると、動きの流れに乏しいのもあるように感じますね。

もちろん、見る側としても、ハードルをどこに設定するか、というのがありますね。専門家の鑑賞に全く耐えるものは理想ではありますが、それは結局、最高の画の能力と武術の知識と身体運動認識を併せ持っていなければならないので、超天才という事になるから、そこまで求めるのは非現実的な場合もある、という。

動画の情報があまり無い時期には、専門家の監修というのは大きいのでしょうね。
松田氏監修のマンガで、ほんの数話で打ち切りになったのがあったのですが、あれはなんだったかなあ。なかなか本格的で、当時、おおっ、と思ったものです。

その、松田氏の描写に関するエピソードは面白いですね。部外者はなかなか知る事の出来ないお話。そういえば、山田英司氏との因縁もあったとか無かったとか…。

 >藤田和日郎氏による郭雲深の物語

お、これは知りませんでした。

『修羅の門』、インスパイヤ疑惑があったんですか。それも知りませんでしたねえ。
ああいうストーリーだと、展開の構築に苦労しそうですね。作者の格闘技観もモロに出ますしね。

『海皇紀』は、実在の武技では無いのが却って良くて、作者が自由に動きを展開している、というのを感じます。伸びやか、と言うか。物語としても群を抜いた傑作だと私は思っています。

一歩はいいですね。そういえば、70巻辺りで読むのが止まってる…。個人的には真田とか伊達が好きだったり。

『エアマスター』は未チェックでした。今度読んでみようかな。

投稿: TAKESAN | 2008年9月22日 (月) 00:43

こんばんは。一歩は好きでずっと読んでいるのですが、少々長すぎるかなと思いながらも、いまだ宮田との対戦が実現していないですね。
誰が好きかと言われると、間柴了なのです。
鷹村のブライアン・ホーク戦も好きでした。読んだ当初はこんなボクサーいないだろうと思っていたら、モデルになったと思われるナジーム・ハメドがいるのですね。軽量級ではありますが。
全盛期のハメドはものすごく面白くて、強いです。いま、現役だと長谷川穂積のボクシングは美しくて好きです。それほど詳しいわけではないですが、歴代チャンピオンの中では、徳山昌守、勇利アルバチャコフの試合にはしびれました。
一歩の表現で、リングの床を足がしっかりと踏みしめる表現に、いつも感心します。実際以上に足を大きく描く、あのデフォルメはとてもいいです。

投稿: corvo | 2008年9月22日 (月) 02:33

corvoさん、お早うございます。

間柴もいいですね。最初の頃とは別人のようなルックスになったし(笑) お兄ちゃんとしてのキャラも面白いです。

ボクシングは、以前はちょこちょこ観ていました。最近はあまり中継も無いですね。

一歩の足の描写は、確かにとても効果的ですね。人体の正確な描写と適度なデフォルメとのバランスが良いのでしょうね。

投稿: TAKESAN | 2008年9月22日 (月) 10:24

 私も,ハメドは,お気に入りで,彼の試合はほとんど見ています。
 彼は体軸をシフトさせられるのです。隠せると言った方が良いかもしれません。体軸を隠す技は,普通のスポーツなら必要ありませんが,武術では出来る方が有利です。
 だから,一見セオリー無視の体勢から強力なパンチが普通に打てます。書道で言えば,自由な草書,みたいな人です。

投稿: complex_cat | 2008年9月22日 (月) 23:33

complex_catさん、今晩は。

恥ずかしながらハメドの映像は観た事無かったです。ちょっと探してみたら、ありましたね(何でもあるなあ)。なるほど、面白い動きでした。

P.S.

はてブでの(動画)解説、ありがとうございます。
何年かぶりに観たのですが、物凄過ぎて震えました。一瞬たりともどこも止まらず、全く滞りが無い動き。
あのレベルの達人は、少なくとも著名な人の中には、現在の日本には存在しないのではないかと思います。

カンフーレディの方は、ありゃ、と思いました…。
体幹が動かずに四肢が先行していて、うーん。私の眼だと、肩周りが出来ていないからそこから先に力が発せられていないように見えました。もちろん、ハラからの連動も無く。

投稿: TAKESAN | 2008年9月23日 (火) 00:19

ああ、そうだ。

日本武術の達人といえば、宇城氏の師の座波師範の映像は無いんでしょうねえ。あれば是非拝見したいものです。写真を見て感動した覚えがあります。鳥肌立ちました。

投稿: TAKESAN | 2008年9月23日 (火) 02:23

当時も今も,松田さん批判はおおっぴらには出来にくい状況があります。中国武術研究家としての先人に対するリスペクトも必要だと思います。中国物樹マスコミは,氏のコネクションや情報を使って雑誌を作っていたので,状況は推察されるでしょう。
 しかし,こういうある意味身も蓋もない動画が残っているところは,ある意味救いだと思います。下半身のゆるみが全くないところで,そこから勁道を作ることが困難な動きです。手や足の部分的なコピーで套路を作っておられます。腰をぐっと落としてられますが,次の動作の繋ぎに入ると矛盾が露呈されます。ある意味で大変参考になります。
 方の拳は仰るとおりです。形を真似ても通気しないのは肩で断裂しているからだと思います。

 理由はおわかりだと思いますが,見ないようにしていました。今なら,もはや時効で宜しいでしょう。ある意味今の時代は,何をやってもコピー流布されて影響に残りますから,残酷ですね。

 座波師範の動画は,私も見つけておりません。

投稿: complex_cat | 2008年9月23日 (火) 15:12

complex_catさん、今晩は。

現在のようなかたちで武術関連の情報が広まるというのは、ほんの10年前には考えられなかった事ですね。武術界も、外側へ開いていくのを意識せざるを得ない状況になっているのだろうと思います。

私はそれを、肯定的に捉えたいですね。もちろん、ゴミのような情報が流布されるという可能性もありますが、色々な情報が記録されて半永久的に残る訳で、それが様々な観点から評価されるのは、健全でもあろうと考えます。

達人と自称する人が試合でなす術も無くやられる、というケースもありましたね。武術に関する「神話」が解体されるのは、良いと思います。ただ、意味不明で的外れな非難も出てきますが、それはまあ、ある程度は仕方無い事なのでしょう。

座波師範の映像は、おそらく存在はするでしょうけれど、公開は無いでしょうね。おいそれと外に出せるものでも無いだろうし。

投稿: TAKESAN | 2008年9月23日 (火) 18:59

はじめまして、一年ほどROMしてました者です。
コメントの流れ無視になりますが書きこんでみます。

立ち読みの印象にとどまりますが、『バガボンド』の表現の変化って数年前の井上さんと甲野さんの対談に端を発しているのでは、と思っています。
吉岡清十郎との決戦の回で、清十郎が明らかに「甲野さん製造の手裏剣」を使ったり(ひょっとしたら一本もらって描いたんじゃないかと)、武蔵がなんか甲野さんぽい姿で居合いをやったりで、影響が大きいなあと感じました。
最近の回では、沢庵和尚に甲野さん持論の運命論をそのまんま語らせていて、そこまで言わせるかと更に驚きましたが。

投稿: yjdmq | 2008年9月24日 (水) 22:57

yjdmqさん、今晩は。何でもお気軽に書き込んで下さい。

これは貴重な情報をありがとうございます。

なるほど、甲野氏の影響はかなりあるだろうとは思っていましたが(今は、甲野氏を積極的には読まないので)、それほど具体的に反映されていたのですね。大変興味深いです。

良い面も悪い面もありそうですね。

実は、高岡氏辺りも参考にしているのかも、とも思っているのですが、こちらは定かでは無いですね。あまり、何を参考にしたか、というのは書かないものでしょうし。

投稿: TAKESAN | 2008年9月24日 (水) 23:11

始めまして
武術関連の話は僕も関心がありますので書き込ませていただきます。takesanさんは合気道をなさってるようですね。
実は僕は大東流とは別系統の武田流の二段だったりします。今は打撃の研究でキックボクシングなどやっております。
よろしくお願いします。

で、いきなり横レス的で失礼なのですが、甲野氏の件について少し・・・

実は、氏の本のタイトルに古伝とか古武術とか、書いてあるのはどうも違和感を覚えるのです。
なぜなら、古伝とは、読んで字のごとく、師から弟子へと脈々と伝わることですよね。しかし、甲野氏が著作に乗せる術理は、師から教わった事というよりはご自身の創意工夫によるものですよね。だから、どうにもちょっと良くわからんのです・・・

さて、エントリー通り、漫画の話を少しさせていただきます。
最近は、ギャグ漫画みたいになっていますが、個人的にはバキシリーズはやっぱり秀逸だと思います。まあ、もちろん人体の構造を無視した描写が目立ちますが、僕は板垣氏の格闘や訓練による痛みを表現する能力は非常に高いと思っています。「強さ」の表現もすばらしいですね。
あと、このエントリーには無いのですが、「満腹ボクサー徳川」は秀逸だと思います。再連載を強く望みますね。
武術的にマニアックだな~と感じた作品では「秘拳伝キラ」などがありますね。
ちなみに「なつきクライシス」はtakesanさんがおっしゃられるように再現度は高いと思います。

以上、長々と申し訳ありませんでした。

投稿: 州知事ハンター | 2008年9月25日 (木) 02:18

州知事ハンターさん、今晩は。

corvoさんの所でコメントを拝見していました。武術をされているのですね。こちらこそ、よろしくお願いします。

武田流といいますと、あまり詳しくはありませんが、中村派が試合を行う、という事で印象に残っています。

甲野氏は、肩書き?は、「古流武術研究家(「古武術研究家」、あるいは単に「武術研究家」の場合もあるようですね)」、となっていますね。

武道学的には厳密な定義があるかも知れませんが、古流武術を、ある時代以前に技法体系が確立された武術、とでもするならば、甲野氏は、それについて調べて主張を発表する、という立場なのだろうと思います。
つまり、古流を「伝承」してはいない、という事なのでしょうね。しかし「研究」はしている、と。もちろん、その「研究」というのが学術的な水準を満たしているか、というと、それには疑問符をつけざるを得ませんけれど。

少なくとも、甲野氏の体系をそのまま「古武術」と呼ぶ事は、仰るように出来ないと考えます。恐らく甲野氏は、「古流から抽出したエッセンスを基に編み出した独自の体系」とでも主張するでしょう。

ルーツとしては、合気道や鹿島神流、後は手裏剣術とかでしたか。

バキは、確かに面白い作品ですね。あの描写は独特で、実に興味深いです。最近の克己のアレ(ネタバレ防止)には、ニヤリとさせられます。

『満腹ボクサー徳川』という作品は、未チェックでした。キラの方は、ちょこっと立ち読みした事があるかも。

なつきクライシスは、作品を通して格闘技→武術という作者の興味のウエイトの掛け方の変化が見えて、いいですね。やはり、宇城師範の影響は大きかったのだと思います。

こういう風に話が広がるのは、むしろ歓迎ですので、お気軽にコメント下さい。最近、こっち系のエントリーにコメントを頂くようになって、嬉しいです。
管理者としては実は、このブログのメインコンテンツは武術関連だと認識しているのですが、多分ほとんどの方は、ゲーム脳とニセ科学だと思ってらっしゃるでしょう(笑)

投稿: TAKESAN | 2008年9月25日 (木) 03:06

似非科学批判は、比較的、言葉の使い方で慎重にならなくてならないので、僕には向いてないな~と思っております。
いや、もちろん似非科学が蔓延るのは悪影響と思っておりますが・・・と言うより最近は情報が多すぎですね・・・これほどリテラシーを要求される時代ってかつてないのではないでしょうか?

ただ、プロトサイエンスと呼ばれる分野には少なくとも、発展の可能性がありますので魅力を感じますね。
多分、分類すればプロトサイエンスのペンローズの量子脳理論を理解したくて現在は量子力学を独習してますが、難しいですね・・・・

克己の件
克己はアレをやって、鼓膜が破れないのは何故なんでしょうね?


投稿: 州知事ハンター | 2008年9月25日 (木) 18:10

ニセ科学批判は、結構大変です。気を遣いますね。

お、ペンローズですか。私はあまり知らないのですが、色々な意味で興味深い説を唱えているようですね。(未科学~疑似科学のグレーゾーン、といった所なのでしょうか。結構強く批判されてもいるみたいですが、私には判断がつきませんね…)

▼▼▼引用▼▼▼
克己はアレをやって、鼓膜が破れないのは何故なんでしょうね?
▲▲引用終了▲▲
それはもちろん、「マンガだから」です(笑)←メタに逃げた
いや、実はもう、あらゆる部分がボロボロなのかもですよ。

投稿: TAKESAN | 2008年9月25日 (木) 21:13

こんにちわ。

いまさらですが、気になったもので・・・

>松田氏監修のマンガで、ほんの数話で打ち切りになったのがあったのですが、あれはなんだったかなあ。なかなか本格的で、当時、おおっ、と思ったものです。

菅野博士(菅野博之)の「小拳王」ではないかと思われます。
心意六合拳の漫画だったと思います。

投稿: Pz-4 | 2009年1月22日 (木) 16:13

Pz-4さん、今日は。

Pz-4さん…。

……。

超GJ!

多分それです。心意六合拳がテーマだったのは、よく憶えています。

それにしても、ググってもほとんど情報が出てきませんねえ。マニアック度がすごいのか…。

電撃少年で連載、か。なんとなく、記憶が戻ってきたかも。

深謝。

投稿: TAKESAN | 2009年1月22日 (木) 16:50

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