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2008年9月10日 (水)

ホットケーキと脳

「ホットケーキ作り」が良好な親子関係に効果的 ~“脳トレ”川島教授が研究成果発表(オリコン) - Yahoo!ニュース

今度はホットケーキ。

どこまでやるんでしょうね。

川島氏の場合、どこまでがグレーゾーンかを見極めながらやっているフシがありますからね(DSの「脳トレ」はグレーゾーンとはっきり発言した)。

記事のタイトルや要約の仕方が微妙、という所でもあるのかも知れませんが。脳トレの川島氏の研究だから読者の食い付きも良かろう、という認識があったりしてね。

どの程度、この現象について詳しい解釈が試みられているのかな。ホットケーキ作り、あるいは調理一般に限らず、あまりやった事が無い作業を共同で行ったら、親子間のコミュニケーションが促進される、というのはありそうです。幼稚園児だから、親と作業したく無いと思う子も、それほど多くは無いだろうし。

まあ、そこら辺は、研究内容を詳しく検討しなければ何とも言えない所なのですが、しかし、それこそが最も重要なのですよね。記事には一応、「また、同研究のポイントは“一緒に作業をして子供を褒める”点にあるといい」と書いてはあるけれど、タイトルがねえ…。

思うのは、「脳科学者」と「呼ばれる」、マスメディアに積極的に出て情報を発信する人は、もっと慎重になった方がいいんじゃないかな、という事です。川島氏とか茂木氏とか篠原氏とかね。

ところで、

「自発性、豊かな知識に基づく豊かな想像力、コミュニケーション力や我慢する力など、“子供の生きる力”をもたらす」(川島教授)とされる。

認知機能についての言及はいいと思うんですが、そこからいきなり、「生きる力」という概念にまで一般化して良いものなのですかね? 神経科学的に。それは、複雑な総合的概念なので、きちんと科学的に考えようとすると、ちょっと不用意にものは言えないかな、となりそうなものですが。

この間は、poohさんの所で、バイク運転時の脳活動の研究が採り上げられていましたね。

引き出し問題とはちょっと違うけど、多分、企業の協力がある研究で、「脳を活性化しなかった」という結果は、大々的に報道されないから(「脳の活性化」などという語の意味が詳しく検討される事無く単純に肯定的な意味を持たされているこのご時世に、自分の所の商品なりが「脳を活性化させなかった」とは言いたがらないでしょう)、結局、ネガティブな結果については知られぬまま、という現象が起きたりしてね。そうすると、川島氏は、脳を活性化させる文化を次々と見出した研究者、と評価される訳だ。なんてね。

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コメント

私もエントリーあげようかなあと思ったら、書かれていらっしゃったので。森永製菓のウェブサイト見たら、なんか「研究成果」らしきものは載ってました。
http://www.morinaga.co.jp/hotcake/

なんかすでに、脳とからんでる段階で、おいしそうじゃない気が。

ホットーケーキミックスでいろいろ作るというのは昔から人気があります。私も記事作ったことが。ふつうに粉から作ったほうが簡単だったり、味がみんなホットケーキ味になるよーと個人的には思うので、肉まんとかはやめてほしいんですが。

こっち方向で、せんと君とか作ってみたらいいのに。
「日焼け星人」怖い(ρ_;)
http://www.morinaga.co.jp/recipe/recipe_html/re_002.html

投稿: 安原 | 2008年9月10日 (水) 16:58

安原さん、今日は。

ああ、ホントだ、載ってますね。これはありがたいです。
直接リンクしておこう⇒http://www.morinaga.co.jp/hotcake/event/event.htm#step3
PDFも置いてあるので、後で読んでみます。

当該研究についてご意見がありましたら、こちらにどうぞ。歓迎します。kikulogでの技報分析みたいな感じで。

って、早速ざっと読んでみました。2つ目のPDFに、
▼▼▼引用▼▼▼
その際に保護者はこどものしたことに丁寧に応じほめて認めてあげることを意識してもらう、というものであった。
▲▲引用終了▲▲
とありますね。初めからこういう教示が与えられていたんですねえ。
やっぱ、ここから「ホットケーキ」云々と書くのは、ミスリード気味な気もしますが、どうでしょう。

「優位」の誤植が数箇所あった(笑)

そういえば、1つ目のPDF、n<20で有意差が見られた事例ですね。ちょうど良かった。

---

 >「日焼け星人」

うおっ、怖っ。
びっくりしたじゃないですか(笑)

投稿: TAKESAN | 2008年9月10日 (水) 17:39

ひとつ気になったのがこの部分。

>この「ホットケーキミックス」は、親子で一緒に作れば、「食」の大切さや楽しさを子どもに体験してもらえるだけでなく、親子の絆を深め、子どもの心を育む可能性をひめた優れた製品であるといえる。

研究結果は「親子で料理(ホットケーキ)をすること」であって、
「森永のホットケーキミックスを使って親子で料理(ホットケーキ)をすること」でないでしょう。

まあホットケーキはおいしいけど。

投稿: アルファ | 2008年9月10日 (水) 18:43

こんばんは。
なんと言いますかね、
http://www.osakagas.co.jp/html/ryori_no/index.html
と同じことをホットケーキミックスで書き直しただけじゃないかと。

篠原先生に関しても、健常者の世間が邪魔者として扱う「キレる子供」や「ボケ老人」に対する暖かいまなざしやゲームで脳が活性化した例でゲーム脳に反論していく姿勢は評価できるのだけどその反面にパチンコメーカーとのコラボレーションがあったりとか……
#anomy個人の意見はパチンコの画面はビデオゲームの画面そのままで「ゲーム脳」ならぬ「パチンコ脳」とでも言えばいいのかと思うし、パチンコ店が高齢者のサロンになった結果ギャンブル依存症患者が増えてしまったらどうするんだ、という疑問があるので懐疑的。

投稿: anomy | 2008年9月10日 (水) 21:24

アルファさん、今晩は。

いかにもプロモーション的ではありますね。
最も一般化すれば、親子間のコミュニケーションの取り方が大事だ、という話ですよね。ホットケーキがより良い効果を与えていると言うなら、対照として他の作業を親子共同でやらせる、というのを取ったりするのが妥当かと思います。

ホットケーキミックスは便利ですけどね。
それなら、ホットケーキの素を1から作った方が…いや、何でも無いです。

------

anomyさん、今晩は。

こういうのは、焼き直しと言うか再生産と言うか、基本的な論理が同じなので、そうなると思います。取り敢えず、何らかの作業をやらせて画像診断して、ほら、活性化したでしょ、と言えば良いのですしね。

篠原氏は、ブログなんかを読むと、真っ当な事を書いているように思います。しかし、メディアの露出の仕方が、どうにも危うい。超能力の番組に出てたりもしましたからね(発言は一応きちんとしていたけど、どう見られたかは別でしょう)。

個人的には、「○○脳」とういう表現自体が、学術概念にそぐわないと思います。どの程度の影響があるか、という所にもよりますが、こういう表現は、煽るような機能が強く働く可能性もあるでしょうから。

投稿: TAKESAN | 2008年9月10日 (水) 23:28

こんばんは。

 川島先生の手法というのは、
「現在の日本の大学における効率的な研究費用の獲得法」を実践しているだけに思えて、個人的にはキライですね。
 このホットケーキの話にしても、ホットケーキをパンケーキにしたら、スポンサーが森永から日清製粉に代わるような内容ですよね。スポンサーの注文に応じた研究結果を出すという、「太鼓持ち学者」とも言うべき研究者になっていると思います。
 この状態を「美しい日本」的な言葉で言うと、「産学協同」となるわけですね。で、ヨイショする相手が政府になると、冷たく言えば「御用学者」の研究、きれいに言えば「官学協同」となるわけですね。

 国立大学が「独立行政法人」になって、政府からのカネがさらに大学に来なくなっている現状では、生き残りのためにやむをえないのかもしれませんが。
 情けない、と私は感じます。

投稿: 憂鬱亭 | 2008年9月11日 (木) 00:22

憂鬱亭さん、今日は。

メーカーの側の問題もありますよね。以前、知育玩具メーカーのサイトに森昭雄氏が出ていた事を話題にしましたが、「御墨付」が欲しいのかな、というのを考えました。何らかの「一般的に望ましい」効果も得られる、というのをアピールしたいのでしょうか。

川島氏は、DSの脳トレをグレーゾーンだと言っていましたから、それって科学者としてどうなの、と思わないでは無いです。

投稿: TAKESAN | 2008年9月11日 (木) 12:13

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