手の表情2
前から、3DCGの現場では、指のモーションはどうやってつけているのだろう、と疑問に思っていたのですが、参考にしているブログで、それ関係のエントリーが上がっていました⇒モーション研究所: 【3DCG】最も効率の良い指のアニメーションを作るには?
手付けやモーションキャプチャがポピュラーなのかな、というのは予想通りでした。やはり、光学式のモーションキャプチャでは、精度が落ちるみたいですね。
で、リンク先では、グローブ式のモーションキャプチャも紹介されていました。なかなか面白いです⇒5DT Data Gloveとは(製品紹介の動画あり)
さすがに、結構な価格ですが。5センサーなら、そこそこ安価ですね。それでも18万円だけど…。
これなら、武術の細かい指の動きもCGで再現出来ますね。
ところで、はてブに書いた事とも関連しますが(前にここにも書いた)。
CGの手の部分を見ていて、む、と不自然に感じる事はありませんか?
たとえばこんな具合に↓
うーん、このモデルだと、違和感を覚えにくいような気もするけど…。
まあ、とにかく、このポーズをとってみて下さい。2番目の関節を反らしてはダメですよ。
先の関節だけこれほど大きく曲げる、というのは出来ないですよね。先の関節がこれだけの角度になるには、2番目・3番目の関節が、
このくらいは回転しなくてはならない訳ですね。つまり、一番先の関節は単独では曲げ伸ばししづらいという事です。まあ、そのメカニズムの解剖学的・生理学的論理を詳細に説明出来るほどの知識は持ち合わせていないのですが(主に筋の形状と付着部位が関係するのかな)、ともかく、こういう所を踏まえていないモーションを、たまに見掛ける事がありますね。手にも豊かな表情があり、人はそれも細かく認知するでしょうから、ここに気をつけると、リアルになるんじゃないかな、と感じます(専門家にとっては解り切った話ではあるのでしょうけれど)。
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コメント
こんにちは。いろいろコメントしたいと思いながら、なかなか書き込めずにいる今日この頃です。
手の表情で一番不自然に感じるのは、中手骨(手の平または手の甲を構成する部分の骨)と基節骨(指の付け根のほうの骨)の関節の位置がうまく描かれていないことにあると思います。手の甲側から見ると、基節骨は他の指の骨に対してとても長いことがわかりますが、手の平側からみると関節のしわの位置はほぼ等間隔になっていると思います。要するに、手の甲側と手の平側では、指の始まる位置にずれがあるのです。なので、指を深く曲げていくと、手の平の上の方も同時に曲がらなくては不自然に見えてしまいます。
デッサン用の可動槢木のモデルを見ることがありますが、あれは全く手の仕組みを再現しているものではないと、常々思っています。
また手の平はすぼめることも出来るし、人間の体の中では描くのが最も難しい部位ですね。
投稿: corvo | 2008年9月11日 (木) 11:25
corvoさん、今日は。
お書きの事について、私もエントリーを上げた事があります⇒http://seisin-isiki-karada.cocolog-nifty.com/blog/2007/05/post_3026.html
私がこの論理を認識したのは、確かアレクサンダー・テクニークというメソッド関連の本を読んだのがきっかけだったかと思います。
板のような掌に基節骨が接着されている、ようなモデルも見られますね。そうすると、基節骨の長さはそのまま再現されていますから、指が異様に長くなって不自然になったりしますよね。前腕と上腕のバランスが取れていないのもたまに見られます。
手の形状を正確にモデリングするのは、ゲーム等の用途では、コストや処理的に難しくてオミットする、という事情もあるのかも知れませんけれど、本来の解剖学的構造を理解していない場合もあるのかな、と思います。
投稿: TAKESAN | 2008年9月11日 (木) 12:30
「フィジカル2」のエントリのコメントにちょっと書きましたが,あがたしは今スポーツクライミングというスポーツの運営に携わっています(10月には国体山岳競技のため,大分県に行きます).
経験をつんだクライマーは本当にいろいろな「表情」をもつ手をもっています.指への負荷が極端に強いスポーツなので,正しい指の使い方をしないと何も動けなくなってしまうし怪我の危険も増すからです.手の「表情」をちょっと変えるだけで全身の動きがかなり楽になります.また,肩甲骨の使い方を直すだけで劇的にパフォーマンスがよくなる選手もいますね.
今日TBS系で23時から「情熱大陸」という番組をやるのですが,そこで紹介されるのが現在日本女子で1,2を争うクライマー.私の知る限り動きの合理性や指の使い方の上手さでは国内どころか世界でも屈指のレベルです.9歳のころから一緒に上っていましたが,当時から上手だったし,また質の高い動きを周囲の大人からどんどん盗むのも上手かったですね.
制作会社にいるクライマー以外のカメラマンが撮影したのでしょうから,指の表情がよく見える形で映像が作られているかどうかはわかりませんが,ご参考までに.
http://www.mbs.jp/jounetsu/2008/09_14.shtml
投稿: あがたし | 2008年9月14日 (日) 20:00
あがたしさん、今晩は。
スポーツクライミングの実技は、たまにテレビで観る事がありますが、驚異的な身体能力だと思います。
恐らく、手の筋力もさる事ながら、それを高い精度で制御する能力もとても発達しているのではないかと推察します。
一歩間違えると大きな怪我をする、という極めて厳しい条件が、パフォーマンスを高めている(高めざるを得ない)、というのもあるのでしょうね。
▼▼▼引用▼▼▼
今日TBS系で23時から「情熱大陸」という番組をやるのですが,そこで紹介されるのが現在日本女子で1,2を争うクライマー.私の知る限り動きの合理性や指の使い方の上手さでは国内どころか世界でも屈指のレベルです.
▲▲引用終了▲▲
これは良い情報をありがとうございます。分野を問わず、世界レベルの身体運動を見るのは勉強になりますので、参考にしようと思います。
投稿: TAKESAN | 2008年9月14日 (日) 21:21
TAKESANさん>
番組を見てびっくりされるかもしれませんが,彼女(小林由佳ちゃん←子供の頃から知っているのでどうしても「ちゃん」付けになってしまいます・・・)は見た目はどこにでもいるような普通の女の子で,別に身長が高いわけでも極端に細いわけでも腕の筋肉が見た目で発達しているわけでもないので,不思議視されることがおおいですね.
(現実に,パワー系ではありません.日本の競技会で十数連勝を飾り,世界大会の表彰台にも乗っているのですが,実はその常勝街道にのり始めたころは両手懸垂が2回しか出来なかったという伝説があります(真偽不明ですが,いかにもありそう).さすがに今はもう少しできるはずです) 全身の粘りと合理的な動きで勝負するタイプです.
逆に上半身のパワーで勝負するクライマーも多くいるのですが,この両者がほぼ同じレベルで覇を競っているところも面白いものです.
もちろん,上半身パワー系といっても世界一流レベルともなるとそれなりの技が必要になります.米国のクリス・シャーマというトップスターは上半身系ではあるのですが足のさばきやそれに伴う重心のコントロールはほれぼれします.
もっとも,あまり足を使っているように見えない場合もあるんだよなあ・・・参考例:
http://jp.youtube.com/watch?v=UlcQ3mxlNfs
(制作会社がyoutubeに載せているので,紹介しても大丈夫でしょう. また,制作会社のhttp://www.bigupproductions.com/#/clips/ から「DREAMCATCHER」というビデオクリップをたどると,さらに高画質で見られます)
それでもよく見ると,足テクは(とくに後半は)随所に出ているのですが,彼の登りの中では,どちらかというとREALIZATIONというルートを登る映像のほうが足テク連打をみるのにはいいのです.でも残念ながら公開はしていないようです.
小林由佳ちゃんは極限まで無駄な力をそぎ落とし(あくまで現時点までのクライマーの中では,ですが),適度に脱力しながら壁にぴったり張り付くように登ってゆきます.「フィジカル2」の項で教えていただいた,「漆膠」の考え方に合致しているとも言えます.
投稿: あがたし | 2008年9月14日 (日) 22:35
番組、観ました。
素人からすると、人間業じゃ無いですね(笑)
その懸垂の話は面白いですね。
恐らく四肢の長さも重要であろう競技において活躍出来るという事は、肩周りがよく使えているのだろうな、と推測します。筋肉が元々柔らかいタイプなのかな、とも。
ああ、番組で、お父さんのアドバイスが印象に残りました。もっと腹に力を入れるように、という。それによって、身体を中心からコントロールする事が促されるのでしょうね。脚を腹の奥から操作したり。
これはセンスでもありますけれども(このアドバイスで腹の表面を固めては逆効果の場合があるから)。
投稿: TAKESAN | 2008年9月15日 (月) 01:42