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2008年7月 5日 (土)

科学の理解度判定問題に答える

ASIOS公式ブログ: 科学の理解度判定問題

大変興味深いので、やってみます。もちろん、カンペ無しで。

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【問1】新しい理論は科学を発展させるから、新たな主張にはあまり厳しい批判をせず、大事に扱うべきである。
a. その通り
b. そうではない

答え:b
理由:科学とは、ある説が妥当であるかを観察や実験によって確かめていくプロセスであり、それによって集積された知識の体系でもあるから、新しい理論あるいは仮説は、他の研究者から厳しい批判を受け、その妥当性が検討されるべきである。それは、「間違いを探していく」プロセスであるとも言える。


【問2】これからも絶対に間違いが見つからないように注意して作られた理論は、当然正しい理論である。
a. その通り
b. そうではない

答え:解答不能
理由:「絶対に間違いが見つからないように注意して作られた理論」という文の意味が判然としないから。

※一応、素直に読むと、解答の仕方としては、「いかに”注意”されようとも、科学としての正確な手続きを踏まえて確認されているか否かが重要なのである。”注意して作られた”事は、理論の正しさを保証しない」、等が考えられるでしょうか。意地悪ですみません。

【問3】新しく立てた理論について、その理論で説明できるという例を沢山見つければ、その理論の正しさはどんどん確実になっていく。
a. その通り
b. そうではない

答え:a(もしくは解答不能)
理由:「例を沢山見つければ」、「正しさはどんどん確実になっていく」という文をどう捉えるべきか…。一般には、理論から導き出された作業仮説が実証されれば、理論は確証された、とみて良いとは思うけれど。そして、それが追試されて他の研究者によって確認されていく訳ですね。もしかすると、科学哲学的な観点からの問いかも知れませんが。


【問4】"「白いカラスが存在する」という主張と「白いカラスは存在しない」という主張は対等なのだから、双方が証拠を持ち寄って議論すべきだ。"という考えは科学的である。
a. その通り
b. そうではない

答え:b
理由:挙げられている2つの主張は対等では無いから。一般に、~が無いという命題は証明不能であり(全てを調べ尽くすのは不可能)、~があるという命題は、一例でもあれば証明されるので、非対称である。従って、新奇な理論を提出する側に、立証の責任が課せられる。即ち、この場合には、「白いカラスが存在する」と主張する側が、白いカラスを見つけ出し、証拠を提出しなければならない。1000匹カラスを捕獲して全てが白く無かったとしても、見つけていないカラスに白い個体がいるかも知れない。


【問5】科学の歴史において現代では間違いとされる理論が主流になっていた事が多々ある。これは科学が失敗した例である。
a. その通り
b. そうではない

答え:b
理由:このような例を考える場合、当時の状況を考慮する事が必要である。現代的な観点から誤りである説が主流だったとしても、それは、当時の観察や実験の方法、あるいは、他に知られていた理論の不足等によって詳細な検討が出来なかった、という事が考えられる。科学とは、理論を検討するプロセスも含むのである。

※「科学が失敗した例である」というのをどう捉えるかもポイントかな。科学とは、失敗しながら知識を確実なものとしていく営為である、とも言えるかも知れないから。

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難しいですね。問いに含まれる言葉の意味をどう捉えたものか、と悩んでしまいます。もしかすると、そういう風に「引っ掛からせる」のも狙いなのかも知れませんけれど。

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「科学論」カテゴリの記事

コメント

おはようございます。

問2の答えを見て、学校の試験問題を思い出しました。試験問題は出題者の意図を推し量ることが重要で、設問を文字通り解釈すればよいというものではない、とある先生が言ってましたね。これは、完璧な問題を作ることが出来ない出題者の言い訳でもあるわけですが、試験のノウハウとしてはその通りだと思いました。正解を知っている出題者は先入観があるので、正解を知らない回答者が誤解しないような完璧な問題を作るのは困難ですよね。その結果、学校の問題にはずいぶん変なのもあります。そういうのはお約束として答えるほうが賢いということになってしまいます。

問2の出題者の意図は「反証不能」だと想像できますが、確かに問題だけを文字通り解釈するとそうとは断言できなさそうです。でも、学校の試験と違って試験だけで完結しているわけではなくて、答え合わせやその時の解説も含めて総合的に考えればよいのだろうと思います。

ところで、問3の出題者の意図が私にはいま一つ分からないのです。私の科学の理解度には、なにか重要なことが抜け落ちているのかも。

投稿: zorori | 2008年7月 5日 (土) 08:09

zororiさん、今日は。

poohさんや石田剛さんの解答を読んで、我が解答の回りくどさに絶望しました。

なかなかに脳を使わざるを得ない、面白い問題例でした。

問3は、科学哲学の議論を踏まえているのかな、と思いました。検証と反証ですね。
仮説から演繹的に導き出されたテスト命題が真であった場合、仮説の蓋然性が高まった(確証された)と見るかどうか、という問題なのだと最初は思いました。で、答えとしては、積極的に「反証」していくべきだ、というのが妥当なのかな、とも思ったのですが、掴みきれなかったので、上のような答えにしました。

「出題者の意図」は、その内明らかにされるでしょうね。蒲田さん的には、問題と解答と解説が集まって、それが一つのコンテンツとなる、というお考えでしょうから。

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面白そうな論文を見つけたので後で読もう(PDF)⇒http://www.mus-nh.city.osaka.jp/iso/argo/nl12/nl12-3-16.pdf

投稿: TAKESAN | 2008年7月 5日 (土) 13:42

このエントリーと、ここ最近の気(内功)関連エントリーは、前に書いた「遠当て実験」エントリーとも繋がってくると思います⇒http://seisin-isiki-karada.cocolog-nifty.com/blog/2008/05/x_982c.html

物凄く読みにくい文章ですが、ご容赦を…。

投稿: TAKESAN | 2008年7月 5日 (土) 15:20

皆さんの解答(細かいけど、「回答」より解答だと思う)を読んで、問2・3は、私だけ読解の方向が全く違って絶望。

投稿: TAKESAN | 2008年7月12日 (土) 03:12

おはようございます。

問3は難しいですね。未だにすっきりしないところがあります。

例えば、四つ葉のクローバーを沢山見つけてきても、「大抵のクローバーは四つ葉である」という理論は確実にはなりません。では、無作為に1つのクローバーを選んで、それが四つ葉だったら、少しは確実性が増すような気がします。さらに無作為に100枚を選んで四つ葉を数えるという統計的手法ではさらに確実になるような気がします。

それで、最初の「四つ葉のクローバーを沢山見つける」とい行為は、「大抵のクローバーは四つ葉である」という理論で説明できる例にそもそもなっていないんじゃないかという気がするんですよ。つまり、確証バイアスの下で四つ葉を探しているだけですから。しかし、無作為に1枚のクローバーを選んで、その後に四つ葉か否かを確認するというのは、「相対性理論」で予言できる太陽の近くでの光の屈折を観測するというのと同じで、理論の確実性を増すと思うんですね。その辺のニュアンスが問題文から読み取るのが難しい気がします。

あ、問題にケチをつけているのではありません。出題者も仰っているようにいろんな解答例や解説と合わせて考えるきっかけになればよいのであって、入試問題ではありませんからね。

投稿: zorori | 2008年7月12日 (土) 08:57

zororiさん、今日は。

やはり、「その理論で説明できるという例を沢山見つければ」、というのをどう捉えるかが、ポイントなのだと思います。私は、これを仮説演繹法的なプロセスの一部と見れば、それは理論の確証と見る事は出来る、と判断した訳ですね。現実の科学研究は、そのようなやり方も用いられていますしね。仰るような、確率論的な所も考えました。

「見つければ」という所の解釈の問題かも知れません。私はこれを、ある程度色々な条件が考慮された実験なりで見つける、と読んだんですよね。

検証にしろ反証にしろ、どのような仮説か検討されるか、という部分にも関わってくるので、ちょっと考え込んだのでした。他の理論との整合性との兼ね合いもありますし。

多分、こういうやり取りがなされて色々考える、というのを促す事が、蒲田さんの狙いの一つでもあったのでしょう。

投稿: TAKESAN | 2008年7月12日 (土) 11:57

こんにちは。

TAKESANさんとかzororiさんとか、その他の回答された方々も皆、科学に対して興味と理解を示されている人ばかりでしょうから、出題者の想定よりも深読みする傾向にある、という事で如何でしょうか。

実は私も問2と問3が引っ掛かったんですね。例えば問2では極端な話、トートロジーを使えば「絶対に間違いの無い理論」を構築できます。勿論それは何も言っていないに等しいのですが「正しいか間違っているか」かと言われれば、論理的には正しいと言わざるを得ない。
「そんなのは科学の理論じゃない」という反論もあるでしょうが、問題は「科学的か否か」を問うているのではありませんよね。まあ、これは屁理屈だし、私も「反証不能性の事を言いたいのだな」と出題者の意図を汲み取れたから良いのですが。
でも、問3はもっと悩ましいです。確かに出題者としては確証バイアスとか「体験談のみを根拠にして信じてしまう事の危うさ」とかを意図されたのだと思いますが、データ収集の手続きが適正であれば、肯定的な証拠が揃うほど理論の確度が増す、というのはむしろ科学の正統な手法でしょう。ここはやはり「そこまでの知識がない人を回答者として想定している」と考えるべきなのでしょう。

短文で一意な文章を書くのは難しいですね。
突っ込む方は楽なのですが。

投稿: PseuDoctor | 2008年7月12日 (土) 12:19

PseuDoctorさん、今日は。

蒲田さんとしては、私みたいのは、なかなか厄介な手合いなんだろうと思います(笑)

あまり短文だと正確な意味を伝達しにくいし、かといって長くなると、今度は想定した読者に読まれない可能性もあるので、難しいでしょうね。

問2は特に、問題文を作る苦心の跡が見られます。

問3はまさに、深読みし過ぎたようです。いや、考え方によっては、素直に読むと普通はaと答える、と見る事も出来なくは無いですが。

投稿: TAKESAN | 2008年7月12日 (土) 13:26

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