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2008年6月24日 (火)

ゲーム脳Q&A:回答例

昨日のエントリーのコメント欄で、いくつか質問例を頂きました。ありがとうございます。引き続き募集しますので、よろしくです。

さて、そこで亀@渋研Xさんに頂いた質問例を、採り上げてみたいと思います。

ありそうな「ゲーム脳批判」批判なものを。

Q.「ゲーム脳」を批判している人は、子供たちがコンピュータ・ゲームをやりすぎても構わないと言うのですか?
Q.仮に森氏の「ゲーム脳」説が間違っているとしても、子供たちのコンピュータ・ゲームのやり過ぎを止められるならよいのではありませんか?
Q.「ゲーム脳」を批判している人って、自分がゲーム好きだからじゃないの?
Q.「ゲーム脳」を批判している人は、コンピュータ・ゲームをやり過ぎても悪影響なんか受けないって言うの?
Q.コンピュータ・ゲームをやりすぎれば悪影響が出るなんて、当たり前じゃない。なにがおかしいっていうの?
Q.「ゲーム脳」を批判したいなら、森氏のように実験でデータを集めるべきなのでは?
Q.ほかの脳科学者はゲーム脳や、コンピュータ・ゲームの子供への影響について、どう言っているのですか。
Q.コンピュータ・ゲームが登場してからの歴史は浅いです。悪影響がないなんて言いきれるのでしょうか。

これは、「ゲーム脳は何か」、という系の質問では無く、ゲーム脳を批判する人への懐疑、といった所でしょうか。何かを批判する場合に、必ず出てくる疑問です。ニセ科学批判論でもよく見られます。

この種の質問では、「答え方」も重要になってくると思いますが、ちょっと書いてみます。

Q.「ゲーム脳」を批判している人は、子供たちがコンピュータ・ゲームをやりすぎても構わないと言うのですか?

A.違います。

ゲーム脳説は、ゲームをやり過ぎると脳の一部の機能が低下してしまう、というものです。そして、その説は根拠不充分です(その部分についての説明は済んでいると仮定)。

ゲーム脳説を批判しているのは、根拠が不充分できちんと定義されてないものが、科学的に証明されたように言われてしまっているからです。ゲーム脳を批判するのは、「ゲームに害が無い」と言っているのと同じではありません。

Q.仮に森氏の「ゲーム脳」説が間違っているとしても、子供たちのコンピュータ・ゲームのやり過ぎを止められるならよいのではありませんか?

A.難しい…。取り敢えず思いつくものを、箇条書きにします。この質問については、これまでにも回答がいくつかありますが、ゲーム脳でゲームを止めさせられるという「実用性」を評価している人を説得するのは難しい。

  • ウソを元にして何かをさせる(止めさせる)というのがまずい。
  • ゲーム脳説は、ゲームをやり過ぎると脳の機能が低下するという説だから、ゲームをやる人に対して間違った印象を与える。
  • 子どもが、ゲーム脳が間違っている、と知った際の対処はどうするか。間違いと知っていても、それを「手段」として用いるのは許されるべきか。

取り敢えずは、こんな所。

Q.「ゲーム脳」を批判している人って、自分がゲーム好きだからじゃないの?

A.違います(要書き方の工夫)。

ゲームに関心を持っている人がゲーム脳についても興味を持ちやすい、というのはあるかも知れません。その意味では、ゲーム好きだからゲーム脳を批判する、という事はあります。自分が愛好しているものが不当に扱われているのですから。一部には、きちんと考えず、自分が愛好しているものが不当に評価されているからという理由だけでゲーム脳説を批判する、という人もいるでしょう。批判の仕方は様々ですから、それは否定出来ません。

しかし、ゲーム脳が批判されるのは、主に、その説が矛盾していて、きちんとした科学的な根拠が無いからなのです。ゲームに関心をほとんど持たない人も、ゲーム脳を批判する事があるのです(きくちさんとか)。

Q.「ゲーム脳」を批判している人は、コンピュータ・ゲームをやり過ぎても悪影響なんか受けないって言うの?

A.違います。

上にも書いたように、ゲーム脳が批判されているのは、それが矛盾していたり、データの解釈が誤っていたりするからです。ゲーム脳は、「ゲームをやり過ぎると悪影響がある」、というものでは無いので(説明済みと仮定)、ゲーム脳を批判する事は、「ゲームに悪影響が無い」と言っている訳ではありません。

ゲームが悪影響を及ぼすかどうかは、色々な分野で研究されています。きちんと研究して悪影響が確認されれば、それについての対処を取るべきです。要は、きちんと正確に研究していかなければならない、という事であって、ゲーム脳はそれが出来ていないから、批判されているのです。

※ここで、坂元章氏の論考を紹介する、とか。

Q.コンピュータ・ゲームをやりすぎれば悪影響が出るなんて、当たり前じゃない。なにがおかしいっていうの?

これは…。これは、質問として採り上げるには難しいですねえ。批判で返していく、という性質のものですよね。たとえば、

  • 何故「当たり前」か。
  • やり過ぎるとはどういう事か。
  • それは主観、つまり単なる「印象」である。
  • 印象を相対化して客観的な論を構築するために、科学的研究方法がある。

Q&A向きの答えじゃ無いなあ。

Q.「ゲーム脳」を批判したいなら、森氏のように実験でデータを集めるべきなのでは?

A.

科学では、ある仮説なり理論なりを考え付いた人に、それを証明する責任があります。そうで無いと、どんな説であっても、他の人が初めから確認しなくてはならないからです。ですから、言い出した人が、きちんと実験してデータを取り、それを適切に処理して、論文を書く必要があります。そして、それが審査され、実験の方法等が適切かとか、他の理論と矛盾が無いかが確かめられなくてはなりません。さらに、審査に受かったものが、他の科学者によって確かめられ、それがまた検討されます。これが、科学の手続きです。

ですから、批判をする側としては、森氏のやっている事の矛盾等を指摘すれば良い、という事です。

メモ:立証責任・査読・追試(再現性)・他の諸理論との整合性

※松田剛氏の論文とか紹介

Q.ほかの脳科学者はゲーム脳や、コンピュータ・ゲームの子供への影響について、どう言っているのですか。

※川島氏・久保田氏・現在の泰羅氏等の見解を紹介。説明として、「他の著名な脳科学者がこういっているから」、というのはダメ。ある程度ロジカルに批判しているものを紹介。

Q.コンピュータ・ゲームが登場してからの歴史は浅いです。悪影響がないなんて言いきれるのでしょうか。

A.無いとは言い切れません。

確かに、コンピュータ・ゲームの歴史は浅く(40年前後?)、内容が常に変化している文化です。ですから、どういった影響があるかの研究は、今も続けられています。また、どういう影響がある、と断言するのも難しい領域です。何故かというと、「ゲーム」というものは、色々なジャンルがあり、流行っているジャンルも変わっていき、映像やコントローラー等もめまぐるしく変化していくものだからです。ですから、色々な角度から、慎重に研究を進めていく必要があります。

※坂元氏の社会心理学的研究を紹介。暴力シーンに関しては、悪影響を与えうる可能性がある、というのはきちんと書くべき。ただし、定量的な評価の重要性の説明を重視する。「悪影響」という言葉は強いので、それがどういう意味かをちゃんと書く。

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こんな感じですかね。

それにしても、なかなか鋭い質問をして下さいました。答える方は結構頭を使いますね(笑)

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