« エティック、イーミック、エティミック、イーミティック | トップページ | 科学と疑似科学の境界と、古武術的介護 »

2007年12月 6日 (木)

脳トレとか100ます批判

左巻さんが、脳トレと100ます計算について、言及なさっています⇒Doblog - さまき隊的科学と環境と仕事と遊び -ニセ科学ぷんぷんの「脳トレ」「100ます」

 ぼくには、川島隆太氏の脳科学はある範囲では成り立っても、それが範囲を超えたところにまで適用されると「ニセ科学」になる典型のような気がします。

その通りだと思います。そして、「ある範囲を超えているか」どうかが、非常に微妙な所ですね。まさにグレーゾーン。そういう意味では、川島氏は、実に巧みであると言えるでしょう。ただ、マスメディアは、叩けるとなったら徹底的に叩く所があるので、今後批判が増えると、どうなるかは解りません。尤も、テレビで批判的に採り上げるというのは、無さそうではありますが(テレビが脳トレを好意的に紹介したという事もあるし)。

まあ、PISAの結果に、それらの単純計算作業の重視がどれほど影響しているか、というのは、よく解らない所ですが、流行った、というのは事実ですしね。慎重に分析する必要があろうかと思います。

 「脳トレ」や「100ます」の過剰部分は、やっと最近、問題視されるようになったと思います。教育界の「ニセ科学」の部分を、ぼくは注視していきたいと思います。

マスメディアが採り上げたのは最近ですけれど、WEBでは、脳トレを批判的に捉える論調は、しばしば見かけましたね(私も書きました)。まさに、教育に関わる事なので、ちゃんと考えていかなければなりませんよね。脳トレや100ます計算の場合、もっと一般的に広まったものですし。

私の考えとしは、脳トレは、ニセ科学と科学を跨っている、という印象です。容易にどちらかに行けてしまう危うさは、持っていると思っています。

|

« エティック、イーミック、エティミック、イーミティック | トップページ | 科学と疑似科学の境界と、古武術的介護 »

メディア論」カテゴリの記事

科学論」カテゴリの記事

社会論」カテゴリの記事

コメント

川島教授の立ち位置の危うさと云うのはずっと気になっていて(ぼくのところで何度か触れた茂木健一郎氏に類似の質を感じています)。でもまぁずいぶん薄氷の上を周到に歩んでいらっしゃることもあって、エントリにまとめることができずにずっと没になっています。

最終的にはこれは「研究とお金、そして倫理」みたいな話題に収束するんだろうなぁ、と思っているのですけど。

投稿: pooh | 2007年12月 6日 (木) 08:05

poohさん、今日は。

川島氏の立ち位置は、評価が難しいですね。
他の科学者も有効性は否定しない学習療法についてと、それを無理に敷衍してしまったかに見える(川島氏は巧みに、これを任天堂のやり方、という風に主張して、科学者としてのモラルを自身は守っている、仰っていますが)脳トレについての評価とは、個別に考える必要があるし、後者について、主唱者としての川島氏が、どれくらいの効果を謳ったり、学者としての発言を行っていたか、というのが、ポイントになるだろうと感じます。※でも、DS以前に、書籍を何冊も出しているんですけどね。川島氏監修で。あれはどうなるんだろうなあ。

茂木氏にも、確かに感じますね。茂木氏の場合には、マスメディアに積極的に顔を出しておられるので、そこも考えるべきなのでしょうね。アハ!体験が、茂木氏が考えたものだと思っている人とか、いそうな…。

往復書簡の続き希望。あの企画は、どうなったんだろうか。

投稿: TAKESAN | 2007年12月 6日 (木) 11:59

TAKESANさん こんばんは。

こういうのも、普通に考えれば、おかしいと分かるはずなんです。
以前、技術開発者さんが書かれていた、活性化の意味についても、目からウロコでした。

ただ、それ以前に、例えばジョギングをいくらしても、サッカーは上手くなれませんし、野球も上達しませんよね。
スポーツのトレーニングは、それぞれちゃんと目的があります。それに合わせた方法もあります。
痩せるという目的でも、それに合わせて、それなりにやらないと無理でしょう。
ブートキャンプも効果はあるでしょうが、大部分は、買ったことで満足しているのではないでしょうか。100万セット売れたそうですが、痩せた人が増えたという話は聞きません。相変わらずニュースはメタボです。

脳トレーニングと聞いても、どんな目的でやるのか、それが明確でないと意味がないことは分かると思うんです。
これにはまった人は、トレーニングしているという満足だけなんだろうな、と推測します。
あれだけベストセラーになったのに……は変わっておりません。(…は適当に補ってください)

ちなみに、昨年の日本数学教育学会では、茂木氏の講演がありました。普段ならガラガラなんですが、超満員で入れませんでした。

投稿: ドラゴン | 2007年12月 6日 (木) 20:26

ドラゴンさん、今晩は。

恐らく、「やっても害がある訳では無いだろう」という前提があるので、受け容れられやすいのだと思います。基礎体力的なものを付ければ、という論理というのは、それなりに解りやすいものなのですよね。で、それがどの様に、他の部分に作用するか、というのは、また別な話で、脳トレとかは、その面で、ちょっと一足飛びになってしまっているかな、という印象です。

「○○をやれば△△に”なる”」、という人が、それなりの数いるのかな、と推測しています。つまり、(ネガティブな意味で)「受動的」だと。本当は、計算が何を意味しているかとか、そういう事も並行して考えないとならないけれど、果たしてそういう所に目が向いているか、というと、ちょっと疑問です。尤も、これらは別に、背反する事では無いので、取り組み方の問題でもある訳ですが。

余談です。ブートキャンプは多分、やればほぼ痩せられる、のだと思います。しかし、やる事(やり通す事)自体が困難であるから、やり遂げた人そのものが、それほど多くは無い気もします。上手く出来てますよね。結局、めちゃくちゃ運動すれば痩せるよ、と言っているのに近い訳なので…。ダイエットで多々聞かれる、「やっても痩せなかった」という報告は、少ないんだと思います。

やはり、茂木さんは人気なんですねー。私でも、近くで講演があったら、観に行くかも(笑)

投稿: TAKESAN | 2007年12月 6日 (木) 22:27

あぁ、なるほど。そこにマジックがあるかもしれませんね。
「○○をすると『なぜか』△△になる。不思議だが本当だ。えらい博士が云っている」みたいな。実はこの『なぜか』の部分がおかしかったりして、それはちょっと考えればわかるのに、魔法の一種みたいに捉えられてしまう。

これは微妙だなぁ。全部自分で考えることとの不経済とどのポイントで折り合いをつけるか。問題はそのポイントをひどく低く設定してしまうことにあるんだろうなぁ、とは思うのですが。

これは「博士」の側のスタンスにも原因があるのかも。apjさんもきくちさんも、絶対に主張を「魔法」にしませんよね(もちろん本来の専門分野の話をされたら、ぼくなんかには基礎がなくてちんぷんかんぷんなんでしょうけど)。
逆に「魔法」(脳科学とかクオリアとか)にしたほうが利益が大きい場合に、どうふるまうか、みたいな。

投稿: pooh | 2007年12月 7日 (金) 08:01

PISAが測ろうとしている能力が十分に備わっていない大人が、日本にはかなりの数いるようだ、ということですね。
うふ。って笑ってちゃいけないのですが、PISA関連のエントリでTAKESANさんが書いておいでの事態についての報告が、すぐとなりのエントリで観測できるのがおもしろいです。
はぁ……(ため息)

投稿: 亀@渋研X | 2007年12月 7日 (金) 09:36

や、「すぐとなり」ではなかったですね(汗
下記のコメントのあたりを直前に読んだので、うっかりすぐ近くのエントリだと思い込んでしまいました。いかんいかん(大汗

http://seisin-isiki-karada.cocolog-nifty.com/blog/2007/06/post_53f7.html#comment-21750119

ところで、上記やこのコメント欄に刺激を受けて、さっきPISA関連のエントリを書いてみました。

PISAが測っているのは「学力」「応用力」ではない
http://shibuken.seesaa.net/article/71406598.html

わざと「学力ではない」なんて書いてますが、もちろんあれを学力と呼んだっていいんだと思います。眼目は「みんなが思い描いているであろう学力」と「PISAやtoshi先生などが考えているであろう学力」のギャップなので。それがどこまで読み取ってもらえるかは、ちょっとギャンブルかもしれませんが、不備のご指摘やご感想等いただければ幸いです。

投稿: 亀@渋研X | 2007年12月 7日 (金) 12:08

poohさん、今日は。

アヤシげなダイエット系健康食品の宣伝なんかとも、共通するのでしょうね。なんだかよく解らないけれど、これを食べれば痩せられる、とか。

少なからず、大企業とか博士とかの権威を前面にだして効果を謳う、という事が、あるんですよね。そういう謳い文句にヤラれた大人を、幾人か見てきました。

こりゃ「魔法」として使えるかも…と思ったら、そうさせないように配慮すべきだと思うのですよね。それが、科学者としての誠実な態度かな、と。

------

亀@渋研Xさん、今日は。

PISAに関する新しいエントリー、読みました。とても納得しました。
問題例の最初の方に、相関と因果の問題があって、あー、これは、新聞とかワイドショーがよくやる間違いじゃないか、なんて思ったのでした。まさに、「大人はこれ解けるの?」って感じで。

私の持論なんですよね。「そもそも大人はどうなの」、という考え。あまり書き過ぎると、くどくなっちゃって、アレですが(笑)

投稿: TAKESAN | 2007年12月 7日 (金) 12:12

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 脳トレとか100ます批判:

« エティック、イーミック、エティミック、イーミティック | トップページ | 科学と疑似科学の境界と、古武術的介護 »