有害情報
「漫画・イラストも児童ポルノ規制対象に」約9割──内閣府調査 - ITmedia News
興味深い記事です。
という事で、元ネタ⇒「有害情報に関する特別世論調査」の概要(PDFファイル)
さて、この手の調査で気になる事の定番といえば、標本の抽出法。えっと、抽出法は……あれ。ここには書いてないなあ。保留。て言うか、それは、どんな資料にも書いとくべきだと思うんですけど。
個別面接って、どうなんでしょうね。無記名で集計したとしても、回答時には、バイアスが掛かる気も、しないでも無いです。
思うに、このワーディングはいかがなものかと。「有害情報」というのは、害をなす情報という意味だから、「規制すべきか」と問われれば、普通、「すべきで無い」とは答えないものでしょう。私も、「有害」な情報があれば、規制すべきと思いますよ。……ところで、「有害情報」って何? 資料に載っているのは、定義とは言えないでしょう。ともかく、面接という状況もあいまって、そういう傾向が出る事は、考慮する必要があると考えられます。
単純所持については難しいですね。知識もあまり持っていません。保留。
アンケートの並びも気になる所です。21と22の内容を続けている所とか。
ところで、ITmedia Newsの方の、”「漫画・イラストも児童ポルノ規制対象に」約9割”というのは、妥当かな。「国として規制すべきだ」と、「各都道府県の条例で規制すべきだ」を纏めるのは構わないかも知れませんけれど、「規制の対象にすべき」と、「どちらかといえば対象とすべき」を纏めて、タイトルの様に表現するのは、ちょっとどうかな、と。「どちらかといえば」というのは、回答にあたっての情報が不足していて、答えに困っている場合に、取り敢えず回答したのも、含まれているのかも知れません。
これも定番ですが。
こういう調査をもって、「世の中(日本)の9割の人は」なんちゃら、とは考えるべきでは無いでしょうね。
有害、というと、あの方を思い出します。氏は、このニュースを採り上げるんじゃないかな。
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コメント
少なくとも今回、発表されたものを見る限り、誘導尋問の形をとっている、としか思えませんね。
資料5で、「子供が犯罪に巻き込まれている」などと散々、恐怖感をあおっておいて、資料6、資料7の文章を読んだら、「規制反対」に流れますよ。明らかにキャリーオーバー効果を狙った質問の作り方がされています。
個別面接調査というのは、社会調査の方法として一応、あります。ただ、仰るように、質問者の態度であるとかが大きく影響し、また、調査の手間が掛かるなどの事情から、気をつけないとサンプルに偏向が掛かる、といわれています。
調査方法に関しては、一応、方法論として間違いとはいえないのですが、ワーディングなどを見る限り、どこまで信頼できるかは疑問ですけどね。
投稿: たこやき | 2007年10月27日 (土) 02:04
もう1つ、この問題って、ある意味では「専門知識」が要求される問題ですよね。
メディアが人の意識に与える影響、表現の自由の問題などなど…。恐らく、それについて厳格に理解できている人は少数派じゃないでしょうか?
そう考えると、そもそも一般に質問をすること事態が妥当なのかな? と言う感じがします。
まして、それを「有害情報」などと最初からタイトルをつけて調査する、というのは先ほどのワーディング同様に、結論ありきの調査、というように感じますね。
投稿: たこやき | 2007年10月27日 (土) 02:11
たこやきさん、今晩は。
量的調査なので、いわゆる構造化面接なのだと思いますけれど、この調査のテーマにおいて、どういったメリットがあるのか、今一つ解らないですよね。
規制に靡かせる効果を狙って、または、それによって既成事実(規制を主張する人が多いとアナウンス出来る)を作るという目的があった、というのは、さすがに穿った見方をし過ぎでしょうか…。
1,800人近くもの対象に面接をしたという事実から、面接者はどの程度の熟練者か、とか、色々考える所はありますね。
>もう1つ、この問題って、ある意味では
>「専門知識」が要求される問題ですよね。
そう思います。誠実に答えようとし、かつ、知識が不足している人は、「どちらかといえば」や、「わからない」を選ぶ傾向がありそうです。で、直感に頼る人などは、直前の情報の与え方によって、答え方が大きく変動しそうな気もします。
そもそも、有害情報という概念自体、難しいものですよね。価値判断を含んだ語で、かなり曖昧なので、それぞれの持つイメージを頼りにするかも知れません。「有害」というのは、「害が有る」という意味ですから…。一応、色々な考えがある事を示してはいますが、不充分に思います。
ともかく、もっと詳細な情報が欲しい所です。さすがに、公的機関の調査で、ランダムサンプリングしてない、ていう事はあり得ないだろうなあ。
追記:推定とかしている訳では無いので、別に無作為抽出で無くとも構わないか。そうだとすると、データとしては、あまり価値が認められない気はしますが…。
投稿: TAKESAN | 2007年10月27日 (土) 03:13
「あの人」の話題につられてやってきました
こうやって無知に付け込んだ誘導尋問を行って、「ほら、みんな規制すべきだと言ってるじゃないか」みたいな論調で、
実態とは無関係な「風潮」だけを一人歩きさせていくやり方は、いい加減どうにかなんないもんですかね。
で、こういう卑怯臭い手順で「ルール」が作られてしまった暁には、「決まりは決まりなんだから守りなさい」とでも言い出すのでしょう。
誠実な「あの人」は。ええ。
投稿: 黒屋ぶるー | 2007年10月27日 (土) 18:43
黒屋ぶるーさん、今晩は。
「風潮」とか「雰囲気」を広めるのは、非常に問題ですよね。今回の調査にどういう意図がこめられていたのか、という部分については、知る由もありませんが、内容を眺めてみると、疑問を抱かざるを得ませんね。
>誠実な「あの人」は。ええ。
有害とは何ぞや、という議論も回避しますしね…。
------
まるで関係無い話ですが。
今、たけしさんの番組で、「責任感テスト」なるものをやってました。
厳島氏が監修という事で、適当に作られたものでは無いのでしょうけれど、ちょっと観ていて、うーん、となりましたね。
マスメディアの企画にこういうかたちで協力するのは、慎重になった方がいいと思うんですけどね…。
投稿: TAKESAN | 2007年10月27日 (土) 19:29
http://www.heiwaboke.com/2007/11/post_1166.html
取り敢えず、ここに。
あれです。こういう場で、正論は言えない訳です。
ここで言う正論とは、
影響を否定し切る事は論理的に出来ない。影響というものは、色々なものから、様々なかたちで受けるものなので、ひぐらしを観て何らかの好ましくない行為に至るというのは、あり得る事である。
という事です。言い方を換えると、関係無いと言う事は出来ない、と。
当然、言えるはずありませんね。そんな正論なんて。そもそも、勝手に強い関係を疑われた作品の作者だから、正論を言ってしまうというのは、戦略的にも実にまずい。言質を取られますよね。マスメディアは、そういう事をするものです。
投稿: TAKESAN | 2007年11月12日 (月) 01:52
TAKESAN さん、今晩は。 今回は、真面目な話です。
関係を完全には否定できない → そらみろ、やっぱり、ひぐらしの影響だ
と主張する人が多いのには、悩まされますね。
マスメディア上では、「関係ない」と否定しておいて、「大人の話」がわかる人だけ こっそり体育館の裏に呼び集め、「実は、関係を完全に否定することはできなくて・・・」と説明するほうが得策なのかもしれません。
関係をきっぱり否定する戦略、と言えば、エイズ啓蒙キャンペーンを思い出します。
エイズ患者との握手やキスで感染する可能性は、極めて低いながらも、あるわけですよね。
しかし、キャンペーンでは、「握手やキスでは感染しない」と否定していました。否定しないと、「やっぱり感染する」と考える人が、あまりにも多いからでしょう。
「エイズ患者との日常接触で感染する(あるか無きかに等しい)可能性」と、「エイズ患者が現実に受けている差別」とを秤にかければ、後者のほうが圧倒的に重い、との判断だと解釈しています。
そう考えると、一般向けに、「血液型と性格には関連はない」と説明しても差し支えないのでは、と思えます。
投稿: 珍味かえる三昧 | 2007年11月12日 (月) 21:00
珍味かえる三昧さん、今晩は。
とても難しい問題なのだと思います。
ひぐらしの場合には、ある文化的な創作物が影響を与えたのでは、と疑われた訳ですね。しかも、大した根拠も無く。
で、原作者にインタビューをして、発言を引き出すのですから、全く影響が無い、と言ってしまっては、それはちょっと言い過ぎではないかと捉えられてしまうおそれがあるのですよね。当然、その逆の、「影響はあったのかも知れない」などとは、口が裂けても言えないと思います。という事で、このケースでは、何を言っても好きな様に取られるので、より安全側である、影響など無い、と発言した方が、得策なのでしょう。
仰るように、一般には、血液型と性格には関連は無いのだ、と言うのが、良いと思います。そうすると、ちょっと勘の良い人は、いや、否定し切る事は出来ないのでは、という疑問を投げかけるでしょうけれど、その際には説明をする、という。
物事は、そう簡単には白黒分けられるものでは無いし、量的な評価が重要なのだ、というのを知らしめるのが、肝要だと思います。
投稿: TAKESAN | 2007年11月12日 (月) 23:37