« 期待 | トップページ | 答えを貰った子は… »

2007年8月27日 (月)

咀嚼

 科学によって解明されていないことはたくさんあるし、未解決の謎も多い。何百億光年もの広がりをもち、百億年ないし百五十億年の時を経た宇宙にあっては、すべての謎が解き明かされる日は永遠に来ないのかもしれない。われわれ科学者は毎日のように、予想もしなかった驚くべき事実にぶつかっている。ところが、ニューエイジ思想や宗教の本のなかには、「科学者という連中は、この世には自分たちの発見したものしか存在しないと信じ込んでいる」などと書かれたものがある。たしかに科学者は、神秘的な啓示を否定するかもしれないが、それは、啓示を受けたという本人の申し立て以外には、何の証拠もないからにすぎない。だからといって科学者は、自然界についての自分たちの知識が完璧だなどと思ってはいないのである。

 知識を得るための道具という点では、科学はとうてい完璧などと言えた代物ではない。ただ、人間が手にしている道具のなかでは、いちばん“まし”だというだけのことだ。この点一つをとってみても、科学には民主主義と似たところがある。科学は人間の進むべき道を教えてはくれないけれど、どの道を選べばどうなるかは、はっきりと示してくれる。(カール・セーガン著 青木薫訳『カール・セーガン 科学と悪霊を語る』より引用)

この、示唆に富んだ文章を、噛み締めましょう。自身の持っているステレオタイプ的認知を、相対化してみましょう。大切なのは……科学者は、科学はどうこうだ、というのを聞いて鵜呑みにする事では無く、科学者が書いたものを読み、言う事に耳を傾け、科学という知の体系について理解する事、なのではないでしょうか。

自分が好きなもの、積極的に関わっているもの、職業に対して、ちゃんと中身を考えない、ステレオタイプな事を言われているの見聞きするのは、嫌ですよね。誰だってそうでしょう。そしてそれは、科学や科学者も同じ、です。

色眼鏡をはずしてみましょう。そうすると、今まで見えていなかったものが、見えてくるかも知れません。自分は色眼鏡を掛けてしまっているのではないか、というのを、常に意識しましょう。気付かぬ間に、誰かがそっと、掛けているのかも知れないのですから。

|

« 期待 | トップページ | 答えを貰った子は… »

「科学論」カテゴリの記事

コメント

いいですね 医学部の カバの誓みたく
Scientists' Pledge
として根付いてほしいですね

投稿: 骸 | 2007年8月28日 (火) 20:37

骸さん、今晩は。

 >医学部の カバの誓みたく

そういえば、セーガンも引き合いに出してた様な。

誤解してる人は、多いんでしょうねえ。

投稿: TAKESAN | 2007年8月29日 (水) 00:55

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/13103/7693112

この記事へのトラックバック一覧です: 咀嚼:

« 期待 | トップページ | 答えを貰った子は… »