口伝
この場で考えたり、前に思いついた、「身体運動の要諦の、メタフォリカルな表現」、つまり、「口伝」を、書いてみます。比喩表現なので、全く同じものが、どこかの武術の流派に存在するかも知れません。武術家は、「喩え」が好きなので、似たような事を言っている人は、沢山いるでしょうね。結局、身体の力を抜いて、柔らかく使い、中心を先行させる※のを、促す訳ですね。だから、言葉は違っても、本質的な所は、共通しているのですね。後は、具体的に、どういう状況であるか、というのを、加味している訳です。※高岡英夫氏の言う「体幹主導系(被制御体幹系)」
- 身体を、鞭を撓わせる様に動かす。
- 犬が身体を震わせる様に。※中国武術に、「トウケイ(多分、漢字はちゃんと表示されない)」というのがあった気がします。
- 全身を、雑巾が絞られる様にする。※テンシケイ、とか。
- 酔っ払って倒れこむ様に。※力を抜いて、身体をバラバラに。
- 腕がちぎれて吹っ飛んで行く様な感じ。※突きとか。
- 背骨の辺りに止まった虫を払い落とす様に。
- 身体を波打たせる。※定番。
- 砂で出来た棒を壊さずに持つ様な感じ。※得物を持つコツ。
- 腹の中から太股を吊り上げる感じ。※腸腰筋主導。空手の柳川昌弘氏がよく使われる表現(具体的な言い回しは違う)。
- 肩甲骨が手になった様な感じで。※腕を動かす際には、肩甲骨・肋骨を先行して動かす。
- 足は「置く」。※私は、「抜き足差し足」というのは、腹の中から脚を動かすのをイメージさせる言い回しでもあったのではないか、なんて思ってます。
- 鍔元から剣先まで使って撫でる様に。※刀の操作。料理をやる人には、刺身を切る様に、というのも良いかも。
- ちょっと高めの椅子に腰掛けているかの如く。※ハムストリングス主導の起立を促す。高岡氏が著書で、塩田剛三師範の姿勢を評する際に、同じ様な表現を用いました。余談ですが、私は、その部分を読んで、「おお、同じ事書いている」、と思いました。いや、私が高岡氏の説を参照にしているので、当たり前と言えば当たり前ですが。
- 腕に麻酔が掛かって、全く動かせないかの様に。※私が実際に用いたイメージ。とにかく、四肢の運動を先行させない。もちろん、脚にも用いる事が出来ます。
- 上腕が抜けて、ぶら下がってしまう様な感じ。※三角筋やらの弛緩を促す。試みてから出来るまでに、数ヶ月掛かりました。表面にある筋肉の場合、触れれば弛緩しているかどうか解るので、便利。
こんな感じですかね。一番良いのは、解剖学的知識を身に着け、それと知覚を正確に結びつける事です。それが最も客観的ですから。ただ、あまり解剖学的に分析的にやろうとすると、難しい所もありますね。知覚が主観的であるという事も、ややこしい。そういう事情があるので、武術における口伝は、バラエティ豊かに発展したのでしょう。現代なら、筋収縮を計測する方法もあるし、解剖学の知識も簡単に手に入るので、それを使わない手は無いです。
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