ウラミハラサデオクベキカ
文系白書ブログ: これはひどい(その2)経由⇒日本未来学会ほか、「ロボット化」をテーマにしたパネルディスカッションを開催~筑波大学・山海教授や作家・瀬名秀明氏らが対談
たとえばエンハンスメント技術を使って暴力的事件があった場合、「ロボットがやったんだ、俺がやったんじゃない」となったら誰が責任をとるのか。BMI技術がはるかに進めば、「念じる」ことでロボットに誰かを殺すことも可能かもしれない。そうなった場合、どのように立証して立件するのか。
元の文章が変ですが、これは、ロボットの所有者の「念」が「命令」になって、ロボットに殺害を実行させる、という事ですよね。
で、その様な現象が実現するには、
- 「念じた」際の脳活動を精密に計測する――「念」が前提なのだから、音声や画像情報は使えない。記事にも「BMI技術」とある。
- その脳活動が、「対象を殺す」命令を表している事を、デバイスに認知させる――これ、無理でしょう。脳を覗いて思考を悟る、という事と等価ですから。脳の構造機能を完全に解明しないと、不可能ですよね。出来たとして、それを情報処理するデバイスは、どうする?
- その命令(情報)を、信号に変換する。
- 信号を伝達する――遠隔操作でロボットに命令を与えるなら、電波ですね。
- ロボット側で、信号を処理する。
- 所有者の送った信号である事を認知する。
- ロボットが、送られた信号を処理し、それが「対象を殺す」という情報である事を、正確に認知する。
- 殺人を実行する――まあ、対象の近くに行ったら爆発する、というのでも良いですが。それでも、あまり変わらないです。「念じれば」、というのがポイントなので。
というプロセスが必要なのですよね。
少なくとも、脳活動を計測するデバイス、計測された信号から、命令者の「思考」を読み取り、送信可能な信号に変換するデバイス、その信号をやり取りするデバイス(これは、一般的な通信機器でいいのかな)、ロボット側には、信号を制御する機構、そこから、命令を正確に認知する機構、等々が必要な訳で(実現可能かは置いといて)、それら全ての証拠を隠滅するのは難しいし、出来たとしてもそれは、JosephYoikoさんが仰る様な、時限発火装置を用いた場合と変わらない気がします(これをどう立証するのかは、よく知らないのですが…)。結局、遠隔操作可能な武器を用いて殺傷するという現象なので、ロボットがどうとか、あまり関係無いんじゃないかなあ。
大体、知的なロボットに何かやらせるなんて、何で、そんなめんどくさい事させるんでしょうかね(ロボットのせいにする、というのを想定しているので、単なる人形じゃ無いでしょうから)。人間の「念」という複雑な概念(しかも、特定の人間を殺すとか)を、殺害の実行という単純な行為で実現せしめるというのは、恐ろしく難しいと思うんですよね。ロボットに人間の知能があるのと、殆ど同義じゃないかな。上にも書いた様に、対象に近づいたら爆発、という様なものだったら、まさに、遠隔操作の爆弾と同じになります。
元村さん、念が直接ロボットに働きかけて、何の経路も残らない…なんて想定をしている訳じゃあ、無いですよねえ。水伝じゃあるまいし。そもそも、人間も情報処理機構であるという事を、考えていないのかも。まあ、ディスカッションの流れで、思わず言ってしまったのでしょうけれど。
細かい事を言うと、対象を他の存在からどう区別するか(JosephYoikoさんの仰る、「敵と味方の判別情報」)とか(カメラ? どうやって、複雑な3次元情報と照合する? これはまあ、その内、技術的に可能になりそうですが)、色々あるのですよね。
ど素人でも、これくらい、考え付くんだけどなあ。
※タイトルの元ネタは、「魔太郎」です。知ってる人、いるのか?
※JosephYoikoさんのエントリーにTB送ろうと思ったのですが、上手くいかないみたいです。
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コメント
こんにちは(^0^)。
M$Nのトラックバック機能のお馬鹿さのせいで済みませんm(_ _)m。
補足説明にもなるので、追記でこちらのことを紹介しておきます。
投稿: JosephYoiko | 2007年7月27日 (金) 16:58
JosephYoikoさん、今晩は。
ブログでご紹介して頂いて、ありがとうございます。
この手の事を考える(妄想する)のは好きなので、ごちゃごちゃ書いちゃいました(笑)
投稿: TAKESAN | 2007年7月27日 (金) 17:45