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2007年7月12日 (木)

ゲーム脳の恐怖(4)´

Interdisciplinary: ゲーム脳の恐怖(4)

ここら辺、思いついたまま書き散らしているので、かなり解りにくく、冗漫ですね。

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B-2:「ゲーム脳」という表現の問題―メールやパソコンのディスプレイの長時間の注視でも症状?が出ると主張しているのに、「ゲーム」脳という表現をするのは妥当性に欠ける。強い光刺激の恒常的な受容とでもすればよいのに、ゲームやメール・チャットなどを出してくるのは何故か。

について、です。(森昭雄:『ゲーム脳の恐怖』,2002 参照)※B-1は後回しにします

まず、上に「メール・チャットなど」とありますが、それらの「悪影響」については、森氏の、『ITに殺される子どもたち 蔓延するゲーム脳『ゲーム脳の恐怖』の続編の様な感じです。において詳しく論じられています(チャットという語はこちらに出てきます)。『ゲーム脳の恐怖』では、仄めかす程度しか出てきませんが、『ITに殺される子どもたち 蔓延するゲーム脳』※2では、ゲーム脳を一般化して、コンピュータを使用すること自体が問題であるとしています(メール・掲示板・チャット等)。そして、「メール脳」なる語まで生み出しています。更には、テレビ観賞も問題であると論じています。(関連記事:携帯メールでも脳が壊れる? 拡大する“ゲーム脳”汚染結局、ディスプレイを用いるのは全部だめだ、という感じですね。

※2本書については、森昭雄研究所:ITに殺される子どもたち - livedoor Blog(ブログ)において、詳細に検討・批判されています。是非ご参照下さい。

「”ゲーム”脳」という語が術語であると主張するならば、先ず「ゲーム」の定義を明らかにし、その特性が脳にどのように具体的に作用し、悪影響を及ぼすのかを論証し、その上で、「ゲーム脳」という概念の定義を明確にしなければなりません。無いですよね、定義。曖昧も曖昧。メカニズムについては、ちょっと書き過ぎかな。実験的に論証されれば、当然、メカニズムについても検討すべきでしょうけれど、メカニズムを解明しなければ駄目だ、というのは、当たっていないですね。ところが著者は、その様なプロセスを踏まず、「ゲーム脳」という語を曖昧に用い、更には、ゲームをやったことが無い人間も同様の状態になり得るとして、わざわざ「メール脳」などという、これまたとても曖昧な語を造っています。以下、上記関連記事より引用。

「たとえば森教授が調べた携帯メール利用者のケースには、テレビゲームはいっさいやっておらず(強調引用者)、パソコンも所有していないが、携帯電話でメールを毎日1時間程度入力するという女子高校生がいる。この少女は、携帯メール利用時にβ波がほぼ半減しているという。」

常識的に考えても、ゲームを(持続的に)やっている人間に現れる状態が、ゲームをやったことの無い人間にも現れる、という事が明らかになった場合、「ゲーム脳」という語を破棄し、ゲームとその他のもの(メール等)に共通する部分を見出す努力をする、という事が妥当だと思われますが、著者はそれをせず、新たな語まで造っています。これはとても非科学的な態度であると言えます。色々なメディアに触れて共通の悪影響が現れるなら、それらのメディアに共通する特性を見出し、術語にもそれを入れるべきですよね。チャットやってもゲーム脳、掲示板やってもゲーム脳。メールやってもゲーム脳、て。しかも、メールやったらメール脳って、新しく語を作ってしまってるし。自分の言葉の使い方が曖昧ですよ、と言ってる様なものです。

ここで、「いや、”ゲーム脳”というのはあくまで便宜上つけた名前で、厳密な学術的概念ではないのだ。」という反論をする方がおられるかもしれません。しかし、その反論は妥当でありません。何故ならば、ゲーム以外でも同様の状態になる可能性があるのに、敢えて特定の文化の名を用語に含めることは、一般性に欠けるからです。のみならず、この様な科学的根拠の無い造語は、当該文化(ゲーム等)に関わる人々を不当に貶め、差別の対象にしてしまう可能性すら有るのです。これは、よく書く事。ゲーム脳の「ゲーム」の部分に、ご自分が好きな文化を当てはめて考えてみて下さい。「何を大袈裟な」と思われるかも知れませんが、現に著者は、『ゲーム脳の恐怖』において、

「子どもはテレビゲームをする習慣がつき、麻薬と同じようにやめられなくなっていきます。やがて、子どもの前頭前野の働きは低下し、動物脳と呼ばれる古い脳である大脳辺縁系に対して、常時動物的な行動に出ないようにする抑制がかけられなくなってくるのです。」(155頁)

「子どものころからテレビゲームをしている人は、やめようと思ってもやめられません。重症で、将来が心配です。」(158頁)

「テレビゲームをすることでは個性は生み出されません。まして幼児期にテレビゲームをさせておくのは、その子の個性や人間性がつくられないことになるのです。」(176頁)

等と書いているのです(同様の表現は、本書に無数に散りばめられています)。これ、差別的と言って構わないですよね。ゲームをさせておいたら”個性や人間性がつくられない”というのは、とんでも無い言いがかりです。

これらは、特定の文化に関わったことのある子どもやその養育者、或いは開発者等に対する極めて重大な差別表現であり、その文化に関わっていない人々に対する恫喝の表現でもあります。そして、「ゲーム脳」がその認識を助長する言語装置として作用するのです。いやしくも科学者たるもの、この様な、非科学的認識に基づいた造語をするべきではありません。未だ、その様な差別的とも言える表現は、ネットでも見られます。テクノラティ等で検索してみても、ゲームを絶対やらせちゃいけない、とか、そういう事を平気で書いてあるブログを、見たりします。

さて、ゲーム(をプレイしている状況)で見出された状態が、他の状況でも見出されたのであれば、

  1. そもそもその様な状態は、人間に、一般的に見出されるものである。どんな人間にも見出される、という事。
  2. ゲームに特有ではない条件が、その様な状態を作り出している。ゲームだから出るという事では無い、という意味。
  3. ゲームをプレイしている時間、常にその様な状態になるわけではない。ゲームと一言で言っても、色々な局面があり、種類も豊富なので、ずっと同じ様な状態になるという事自体、考えにくい。
  4. そもそも実験が間違っていた(実験器具の不具合、あるいは、脳科学(神経科学)的知識の不足等)。あるいは、統計解析における誤謬等。

等の、様々な解釈が出来るはずです(1.2.3.は、それぞれ関連する)が、著者はそう考えなかった様です。

森氏の一連の著作やインタビュー等を基に推測すれば、どうやら氏は、ディスプレイを注視する文化が、脳に悪影響を与えていると考えている様です。即ちテレビ・(コンピュータ)ゲーム・メール・チャット・掲示板等々。森氏の著作を読んだりすると、そう考えているとしか思えないです。もしそう考えているのであれば、(ディスプレイから発せられる)光刺激の生理・心理に与える影響とでも一般化すれば良いのに(これは重要な研究だと思われます)こういうのは、心理学的・生理学的な問題として、重要ですよね。3D酔いなんかは、そういった研究の一端なのでしょうけれど。 、何故か、複数の異なる文化を、「ディスプレイを用いる」という共通性で(他にもあるかも知れませんが)一括りにして、その影響を論じています。恐らく氏にとっては、メールも、チャットも、ゲームも、全部「同じ物」なのでしょう(それなのに、文化内の差異をある程度認めている様でもある。そうすると、前提と矛盾するはずなのだが…)。しかも、その「同じ物」によって引き起こされる(と著者が確信している)状態(これも著者が確信している)を、「”ゲーム”脳」と表現しているのです。結局、よく解らないまま、問題を切り分けないまま、「ゲーム脳」という語を作ったのでしょうね。ここら辺、森氏がどういういきさつでゲーム脳を発想するに至ったか、という部分の推測です。

ある文化の「影響」というものを考える際、その文化とはどの様なものであるかを詳細に考察するのが先決ですが、森氏や同調者は、それを全く行っていません。ここに、彼・彼女達の、ゲーム等にたいする「みくびり」が見てとれます。ゲームなど、真面目に考察するに値しない、単純な文化であると考えているのでしょう。もしかすると、文化ですらない、と考えているかも知れません。これも、よく書きますね。本質的に娯楽であり、社会に必要であるとは言えない文化。そして、当該文化の複雑さに対する無知。取るに足らない、と考えているのでしょう。

私は、その様な考えは間違っていると考えています。ゲームというのは途轍もない複雑さを持った文化であり、それを科学的に分析する事は、非常に困難な事であると認識しています。次回以降、この事について書きたいと思います。

殆ど資料も参考にせず、思いついたまま書いているので、かなり甘い部分もありますね。次回以降は、主に、ゲームとは何か、という事を中心に論じているのですが、そちらも同様です。今読むと、かなり駄目な部分もあります。それを自分で見ていくのは、意味のある事と考えます。

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