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2007年4月18日 (水)

メモ:「呼吸力」とは何か

読者の質問箱 その21を読んで、私もちょっと、考えてみました。参考文献は、高岡英夫氏の著作、特に、『鍛練』シリーズ及び、『空手・合気・少林寺』シリーズです。自分なりの言葉で表現している所もあるので、高岡氏の論とは、ニュアンスがあるかと思います。

  • 呼吸力とは、自然科学的にきっちり定義される様な概念では無く、体系内で肯定的に扱われる、ホリスティックで価値的(イーミック)な概念である(高岡による、「メソレフパワー」)。
  • 「合気道に役立つ身体の使い方が出来ている」と、「呼吸力が出ている」と表現される。その様な用いられ方をする。
  • 文化の特性によって、最適な運動構造は異なる訳だから、科学が発達していない、或いは科学の知識が不充分であった時代には、この様なホリスティックな概念を用いざるを得なかったのだろう。
  • 当然、合気道は身体運動であるから、ある自然科学的論理を直感的・直観的に捉え、それを分析的に表現する事を避けて、敢えてホリスティックな、それ自体が複雑な概念の集合である様な表現が生み出されたのだと思われる。その意味では、先人の優れた発明であると言える。
  • 「呼吸」を表現に含めたのは、「呼吸」が含意する意味世界の重要性、身体運動としての呼吸運動の重要性を、直感的に捉えたからだろう。
  • その様な用いられ方をしている訳だから、当然、同じ「呼吸力」で表現されるものであっても、その内容は、体系や指導者により、異なる。そもそも定義がはっきりしない語であるから、「呼吸力とは何ぞや」という議論も、噛み合わない事が多い。
  • ある身体意識(体性感覚を基にする意識系)の質を「感じ」、それを表現したとも言える。これは、「気」(体内の気の流れ、等)等の、他の概念と、同じ様なものである。たとえば、筋肉の用い方が異なれば、感覚も異なる。合理的身体運動が成立した時の、身体の「感じ」を記憶して、それを何とか言葉にしようとしたもの。そもそもが、多分に主観的なものである為に、共通了解を得にくい、又、「解った気になる」事も、非常に多い。
  • たとえば、「○○筋の感覚が、”呼吸力”の正体である」、と言われる場合がある。しかし、この様な主張は、慎重に行わなければならない。それは、バイオメカニクス的には、正しさを含んでいる事はあるが、それはあくまで、「呼吸力」という、極めて広い意味世界の一部分を切り取ったものであるという事を、心得なければならない。「合気道で言われる”呼吸力”には、○○筋の感覚が含まれている」、という事は言えても、「○○筋が呼吸力である」、とはならない。

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