運動神経
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運動神経の科学 著者:小林 寛道 |
これは良書ですね。「運動神経」を、生理学的厳密に考えるのでは無く、日常的に用いられる意味を考慮して、より広い、総合的概念として捉え、論じています。結構読み易い内容。四足動物の運動との共通性に着目していたり、それに基づいたトレーニングマシンの紹介があったりして、大変興味深いです。「意識」や深層筋の重要性にも言及してあって、面白いですね。それに加え、著者が合気道の修行者という事もあって、武術をしている人も、受け容れ易い内容になっているのではないかと思います。小林氏は、木村達雄氏の同僚だったのですね。
ただ、ちょっと気になる事があります。
本書には、高岡英夫氏が提唱されている、「割腰」や「双鞭構造」に類似した概念が出てくるのですが、同じ様な概念に異なる表現があると、混乱してしまいますよね…。小林氏は、高岡氏の『究極の身体』を書いたりしておられますので、本で言及して欲しかったり。そうすれば、他の研究を参照した事が明確になって、とても解り易いのですが(高岡氏が小林氏の研究を参照した場合でも、です)。
高岡氏には、著作に、参考文献を挙げて頂きたいです。どこまでが独自の発想で、どこが、先行研究を参照にしたものなのかが、解りにくいです。以前の本には、ちゃんと載っていたんですけどね…。
ナンバについてと、体力測定の調査の結果の解釈については、ちょっと保留。ナンバ論については、色々議論があるみたいですので。
参考サイト:
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