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2007年3月24日 (土)

振り返って

私は、高岡英夫氏の本によって、ホーリスム(関係主義。一般的には、全体論と言われますね)の洗礼を受け、アトミスム(要素還元主義)に批判的になりました。

実感と合致していたのですよね。テレビ等の情報(健康番組でも何でも)で、本来もっと複雑な筈の現象を、単純化し、必要以上に簡潔に説明しているのを見て、いつも訝しく思っていた訳です。ですから、ホーリスムという、要素間の関係を重視し、システムとして現象を考えるというやり方を知って、「これだ」と思ったのです。

しかし、いけない事に、これが行き過ぎて、実証主義に批判的になってしまったのですよね。実験によってデータを収集し、それを解析して現象を研究する事そのものを、懐疑的に見る様になりました。「現象を無理に切り取って、それを分析したって、本質は解らない」なんて認識を、持ったのですね。還元主義が良くないのはその通りですが、だからと言って、実証科学の方法自体が駄目だとはならないのですが、過度に批判的だったのだと思います。そして、その認識が、実証科学的方法を採る科学者に対してまで、批判の目を向けさせる事になりました。まあ、典型的ですよね。私は身体運動に興味がありますから、それを自然科学的に検証したと称する文章を見ても、「数値化したって、本当の所は解らないよ」と、内容を詳しく読みもせずに、思っていたのです。

でも、要素還元主義を安易に用いる事が問題なのは、当の科学者が、一番よく解っているのですよね。だからこそ、統計学的方法が、様々な分野に取り入れられて、統計解析が発展したりしている訳で。

結局の所、実証科学批判を、「鵜呑み」にしてしまっていたのでしょう。ある対象を批判している文章を読んで、それが妥当だと、他の資料も参考にせずに判断するのですよね。著者に対する信頼度が高ければ、尚更です。

で、ですね。高岡氏の本をしっかり読めば解るのですが、実はそこでは、実証主義が重要だという事が、かなり主張されているのですよね。だから、「関係主義的実証主義」という概念が、提唱されたりしている訳ですね。高岡氏は、当時のスポーツ科学の方法が、素朴な要素還元主義的方法に頼り切っている(つまり、後れている)という主張と絡めて論じておられたので、批判の部分を、(私が)クローズアップしてしまっていたのでしょう。その、当時の身体運動を対象とした科学に対する批判が、どれ程当たっているかは、よく解らないのですが。

結局、何を主張したいのかと言うと、現在実証主義的方法を批判する人は、当時の私と同じ様な状況なのではないか、という事ですね。誰かが何かを批判しているのを鵜呑みにして、他の文献等を参照する事も無く、それに乗っかって、自身も、批判を繰り広げてしまってはいないでしょうか。

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