意欲低下か
Yahoo!ニュース - 毎日新聞 - <学習意識調査>日本の小学生は中韓より「学ぶ意欲」低い
そもそも、学校で勉強するという事に対する考え方が、違うのかも。
で、元ネタはこれなんですが⇒財団法人日本青少年研究所:小学生の生活習慣に関する調査-東京・北京・ソウルの3都市の比較ー(PDFファイル)
「勉強のできる子になりたいか」の所を見ると、
1)そう思う―東京:43.1 北京:78.2 ソウル:78.1
とあって、毎日の記事にも書いてある通りなのですが、そこには、
2)どちらかというとそう思う―東京:33.1 北京:14.9 ソウル:16.2
とも書いてあって、合計すると、東京:76.2% 北京93.1% ソウル:94.3% となって、ちょっと印象は変わりますね。差が大きい事には変わりないですが。まあ、ちょっと細かい事ですが。「将来のためにも、今がんばりたい」も、「2)どちらかというとそう思う」を含めると、77.2%になりますし、「言われなくても宿題をする」は、65.7%で、「3)したりしなかったり」も含めると、84.4%です(ソウルも85.4%になる)。「先生に好かれる子になりたい」は、かなり低いですが、これは別に、そう考えるべきだ、という事でもありませんしね。4件法ですから、回答の見方によって、印象は、結構変わりますね。日本の児童は、「どちらかというと」とか、「ときどきする」を選ぶのが多い、という印象があります。
こういう調査は、社会的望ましさが意識される場合もありますし、”日本の小学生は中韓より「学ぶ意欲」低い”という見出しにする様な事かな、と思わないでも無いです。そもそも、「勉強のできる子にになりたいか」の回答結果を、「学ぶ意欲低い」に、結び付けられますかね?
この調査自体は、結構面白いと思います。そんな事も訊くんだ、という項目もあったり(笑)
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コメント
この調査の分析そのものがかなり恣意的ですよね。
東京と北京とソウルということですけど、これを日本、中国、韓国に一般化するというのも無理があるような感じですし(中国なんかは、都市部と農村部の格差は凄まじいですしね)、調査そのものはともかく分析は問題山積だな、と強く感じます。まぁ、この調査、毎年、こういう分析を行って、日本はダメだ、って結論だしているんですけど(笑)
実際、これを「今の日本は…」っていう根拠に出す人って多いんですよね。それこそ、森昭雄氏もこのデータを使って、講演しているようですし。
参考:http://www.st.rim.or.jp/~nmisaki/topics/game_brain.html
何か、こういうのを出すにしても、慎重にやって欲しいな、と感じますね。
投稿: SST | 2007年3月 8日 (木) 07:43
端的に云うと、パーセントによる統計を根拠として議論するのはつねに嘘であるか、嘘である可能性をはらむ、ということです。わかりやすくなる分、恣意性を含ませることが簡単になる。
これはその議論を提示する側がある程度コントロールできることなので、「なんらかの意図を持ってこういう書き方をしてるんだな」と云うのがばれた瞬間に台無しになったりするわけですよね。まぁそこは議論提示の際の技術で補えたりもする訳ですが、操作的であるという印象を与えた時点で致命的に信頼を失う可能性もあるってことだと思います。
ぼくがしつこく云っている「分かりやすさを過度に求めると騙されるよ」って云うのはそういう意味だったり。
投稿: pooh | 2007年3月 8日 (木) 08:02
SSTさん、今日は。
代表的な都市で得られた結果だから、一般化するのは妥当だ、といった事でしょうか。だとしたら、余りに素朴ですが…。
>森昭雄氏も
ああ、そういえば、でしたね。氏は、自説に都合の良いデータを掻き集める方ですからねえ。
やるのなら、精確に、客観的に分析して頂きたいものです。
投稿: TAKESAN | 2007年3月 8日 (木) 12:32
poohさん、今日は。
こういう時に思うのは、「どこまでが意図的なのか?」という事ですね。
ああいう調査結果を見て、記事に書いた様な事を確信したなら、かなり素朴ですし、もし何らかの意図的な操作を(ちょっと大袈裟に書いとけ、とか)行ったとすれば、論外ですからね。
>ぼくがしつこく云っている「分かりや
>すさを過度に求めると騙されるよ」っ
>て云うのはそういう意味だったり。
丁度、亀@渋研Xさんが、先日言及していらっしゃいましたね。
簡潔さを求めて情報の重要な部分が欠落するのは、駄目ですね。
投稿: TAKESAN | 2007年3月 8日 (木) 12:38
かなり適切な論評を見つけました。
http://blogs.yahoo.co.jp/watership_down_8/15150983.html
こう見るのが普通だと思うんですよね。
私なんか、「マスメディアが出す社会調査風の報道は全て疑え」、というバイアスを掛けていますので、いつもこんな感じで見てますけれど…。
投稿: TAKESAN | 2007年3月 8日 (木) 13:28
実際のところは「すべて意図的」というのが本当です。最低限、意図は存在します(「正直に事実を伝える」と云う意図である場合も含め)。
その昔ぼくは機関投資家のアナリストみたいなことをやっていたんですが(忘れたい過去です)、そういう仕事をやっていると「一次資料以外のもの」「パーセントだけで議論しているもの」はすべて、ある意味で信用できないのが実感できるんですよね。
結論から組み立てるのが、コストからするといちばん安いわけです。そこでコストを重視しなくてもいいなんらかのインセンティブがない限り、ちゃんとした数字を提示するメリットはありませんから。手間がかかって損するだけですからね。
投稿: pooh | 2007年3月 8日 (木) 15:33
実際、見る側が、認識力を鍛えるべきだと思います。リサーチリテラシーというやつですね。
せめて、はずれ値が含まれる様な分布が想定されるものに対して、「(相加)平均だけ出してどうする」、とか、そういう意見が当たり前に出る様になれば、いいんですけどね。
「○○%」だけだされたら、「それじゃ不充分だ」、となれば。
もっと、社会調査とか心理統計とかの考え方を、身に着けるべきだと思います。
投稿: TAKESAN | 2007年3月 8日 (木) 16:05
逆に言うと、この統計でわかるそれぞれの国の「お国柄」は面白いですよね。
例えば、「勉強をできるようになりたいか?」という質問。日本でははっきりと「思う」と答えるよりも、「どちらかと言うと思う。」という曖昧、慎重な言いまわしを好む。一方、中国、韓国でははっきりと言う傾向がある。
そういう部分での分析をしてみる、という意味では逆に大いに異議のある調査となりそうですね(笑)
投稿: SST | 2007年3月 8日 (木) 16:17
そうなんですよね。
日本人は断言を避ける、とか。これは、社会心理学的な分析対象として、面白いのではないかと思います。社会的望ましさも、関わっているかも知れませんね。こういう調査ではこう答えた方が良い、というバイアスですね。無記名のアンケートでも、結構あるかも知れません。
投稿: TAKESAN | 2007年3月 8日 (木) 19:25