いい加減、「脳に良い」は、やめませんか
某ブクマ経由⇒ラジオは脳にきく。(A)
参考:芸能問題総合研究所Journal:ラジオと「ニセ科学」(B)、放送済み「ラジオ深夜便」 曲目・演目リスト 2/01木 脳のはたらきとラジオの効用 和歌山県立医科大学教授 板倉徹
心理学的には、ラジオを聴く時間と、想像力を測定する心理検査との成績の関連を見る、等の研究を、すべきかと思います。それで関連が見出されたとしても、「ラジオが脳に良い」なんて事は、直ぐには言えない訳ですが。
板倉氏は、「聴くだけで」(Bより引用)とか、「音だけの情報のため、足りない情報を想像力で補おうとし」(Bより引用)と主張していますが、”「本格的に脳を鍛えたければ、紙と鉛筆を用意してラジオを聴くことです」”(Bより引用)ともしています。ラジオを聴けば受動的に想像力が鍛えられると言っていると思いきや、内容に注意しながら聴くと良い、とも言っている訳ですね。ラジオを聴く事に、条件を付け加えています(Bで、批判されています)。心理学的な、注意の問題を、無視している様にも思えますね。たとえば、ラジオを聴きながら受験勉強をさせた直後に、番組の内容と勉強の内容について問う、という課題が与えられた場合には、認知機能のトレーニングに役立つかも知れません。結局、メディアの特性というより、取り組み方が、重要なのではないかと思います。
結局、「具体的にイメージを働かせながらラジオを聴くのが良い」、という主張に見えます。それはそうでしょう、という感じもします。そんな前提条件があれば。
思うのですが、イメージ(画像)を浮かべずに放送の内容を理解するなど、簡単な事ですよね。論理的な関係を把握するだけなら。具体的なイメージが「浮かぶ」のでは無くて、「浮かべる」のが重要なのでは?
ゲーム脳を取り上げる(Aを参照)のはいかんでしょう、どう考えても。
ゲームや漫画によく触れる人の方が、想像力に乏しい(とまでは言ってないか)、という論は、どうなんでしょう。様々な具体的イメージを観て、その経験を組み合わせたりする事で、想像力が鍛えられる気もするんですけどね。経験的には。
こういった論で、よく見られるのが、コンテンツの内容を無視しているものですよね。どんなメディアかによって、一括りにする。それじゃあ、話にならないと思います。
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コメント
しかし、TBSも何を考えているのやら…。映像があると、想像できないから、って、それじゃ、TBSのテレビ放送もダメじゃないですか(笑)
恐らく、TBSラジオとしては、ラジオの聴取者獲得のキャンペーンの一環として「脳に良い」というものを取り上げているんでしょうけど、浅はかだな、と感じますね。
「脳に良いから」っていうのを目的にするっていうことは、「ラジオを聴く」という行為が目的ではなくて、手段になってしまっているんですよね。
手段ということは、もっと他に良い方法があれば捨て去られる、っていうことですから一時的にラジオ聴取者が増えたとしても、将来的な展望につながるとは思えないんですけどね…。
板倉氏の言っていることもさることながら、それに乗っかろうとするTBSの浅はかさがすごく気になります。
投稿: SST | 2007年3月29日 (木) 15:57
SSTさん、今晩は。
>TBSのテレビ放送もダメ
あー、確かに(笑) あんまり深く考えて無いんですかね…。
リンク先でも、ラジオ愛好家の方に批判されていますよね。
脳を鍛えられる”から”何かをするなんて、その文化を愛好する人間にとっては、何だそりゃ、という感じですね。まあ、そういうのを全部否定する訳ではありませんけれど、個人的には、かなり違和感あります。ゲームなんかやってて、これは認知機能の良いトレーニングになるかな、と思ったりもする事はありますが、それはそれ、ですしね。そんなのは、あくまで付随する事ですし。
一時的にでも、繋ぎ留めておきたい、という感じなんでしょうね。微妙ですよねえ。
投稿: TAKESAN | 2007年3月29日 (木) 19:04