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2007年3月30日 (金)

メモ:合気。居付かない動き

以前、ノートに纏めたものを、書き直して載せます(参考文献:松井浩『高岡英夫は語る すべてはゆるむこと』他、高岡英夫氏の著作)。

○合気のメカニズム

  • 普通の人は、まともに押し返そうとするか、腕をずらして相手の力を躱そうとする。それはとても困難で無理がある→相手の力の方向をずらしたり、相手の力を利用して技を返す。これを、ベクトルずらしと言う。
  • 高岡氏の合気上げ―相手の力をずらさない。結果として、素直に肘が下がる様にする。身体全体にガチガチに力を入れて、腕の力で何とかしようとすると、普通の人がまともに押し返すのと同じになる。本当に全身の筋肉から力が抜けて、ゆるゆるになれれば、相手の力がどれだけ強くても、力が要らない。擬似流体構造優位の運動構造。
  • 超一流、天才と呼ばれる人達―筋肉が非常に柔らかい。そして、力を出す瞬間には、鋼の様に硬くなる。その差が大きいから、より大きな力を発揮出来る。「柔らかい」というのは、関節の可動範囲が大きいのではなく、筋肉そのものが柔らかい。
  • 合気上げ―腕を相手に握られると、ゆるゆるに全身の筋肉がゆるんでいる肩関節と肩甲骨がずり落ちる。と同時に、肋骨がひしゃげた様になる。肘が信じ難い程の滑らかさと重みをもって下がる。相手は、恰も突然、ダンベルを握らされた様な感じになる(シャフトが前腕で、プレートが上腕から肩甲鎖部)。相手は、それを支えようとして反射的に身体を浮かし、ガチガチに硬くなる。それが、「合気の掛かった」状態。技を掛けられる側は、自分で、爪先で辛うじて体重を支えているのに、コントロールは、技を掛ける側に委ねた状態。これを、「奪制御支体重」(体重は自分で支えているが、制御を奪われている状態)と言う。
  • 普通の人の合気上げ―上腕二頭筋のコンセントリック収縮(筋が短縮しながら筋力を発揮する収縮)、あるいは、三角筋のコンセントリック収縮で手首を持ち上げるという運動パターン。つまり、固定支点。これで上げるのは困難。人文・社会科学的メカニズムによって、上げられる。
  • 本物の合気上げ(一次局面)―肘と肩関節から支点が下方へと滑らかに揺動する事が不可欠。前腕は、相手の手の内を中心とする正円に近い円運動をする。その直後、定位した支点とは全く逆に、技を掛けられている側が握っている手の中を支点とする運動が起動する。肩関節もしくは肘関節が、その位置を滑らかに変化させている間は、支点が肩甲鎖部と肋骨の間のスライド運動の中に吸収されてしまう。支点が、技を掛ける側の肩から、掛けられる側の手へ移動→「支点転動」
  • 二次局面―技を掛けられる側に、反射が起きる。足首が伸びて踵が浮き、重心が浮いて腰と背中が反り、手腕が縮んで上がる。技を掛けられる側が自ら合気に掛かる。掛ける側の腕が、不安定を支える「杖」となる。

○居付かない動き

  • ふくらはぎの筋肉で蹴り、腰を動かして、と動くと、どうしても、一瞬止まってしまう。武道では、「居付く」と言う。特に刃物を扱う武術では、絶対に居付いてはならない。その間に斬られてしまうから。
  • 武道系の人も、居付くのがいけない事は知っている。だから、居付く時間を短くしていこうと考える。しかしそれは、「居付かない」動きを知らない故の発想である。
  • 人は動こうとする時、脚(足かな)から動く。ふくらはぎの筋肉で蹴って(つまり、足首を使って)、腰を動かして…と、必ず下から動いていく。しかし、それでは、いくら速く動こうとしても、限界がある。足から動いてから上体が動くまでに、「間」があるからである。従って、その「間」の瞬間だけ遅くなる。
  • だから、足から動くのではなくて、全身をゆるゆるにゆるめて、必要な筋肉だけ一遍に、ドンと力を入れる。ゆるゆるにゆるむと、放っておいても倒れ落ちるが、その倒れ落ち方に合わせて、「もっと倒れ落ちる様に」なりながら、必要な筋肉だけに力を入れる。そうすれば、本人は、ゆっくりやっても凄く速く動いてしまうし、相手には、消えてしまった様に見える。※必要な筋肉とは、たとえば「腸腰筋」。大腿骨を引き付ける筋肉。或いは、ハムストリングス(大腿後面の筋肉)。大腿骨を後方にスイングする筋肉。一般の人間は、「膝を伸ばして」前方に移動するという認識。そうすると、重心が前に出るまで時間が掛かるし、膝関節を、曲げなければならない。重心が前に出ない内に膝を伸ばすと、後方に移動してしまう。よって、高岡は、大腿四頭筋を「アクセル筋」と呼び、ハムストリングスを「ブレーキ筋(ブレー筋)」と呼ぶ。

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「武術・身体運動」カテゴリの記事

コメント

 >重心が前に出るまで時間が掛かるし

これは、

 >重心が前に出ない内に膝を伸ばすと、
 >後方に移動してしまう
からです。即ち、重心が前に出るまで待たないと、後方に移動してしまう、という事です。「前に」とは、支持脚より充分前、という意味ですね。

投稿: TAKESAN | 2007年3月30日 (金) 12:53

アクセル筋とブレー筋が逆じゃない?

投稿: | 2014年9月 4日 (木) 13:12

ああ、本当ですね。

ご指摘ありがとうございます。

投稿: TAKESAN | 2014年9月12日 (金) 19:06

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