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2007年3月 1日 (木)

理系白書にゲーム脳

ついに、理系白書において、ゲーム脳が取り上げられました⇒理系白書’07:第1部 科学と非科学/5 過熱、脳ブーム

私は以前、どの様に取り上げられるかを予測したのですが(Interdisciplinary: 予測)、初めに予測した通りの内容になり、後から立てた予測は、はずれました。

さて、記事の内容ですが、私は、全く不充分であったと考えています。以下、ゲーム脳に関して書かれた部分を引用して、考察します。

単純明快なストーリーはマスコミに乗って広がり

マスメディアは時折、この様な、まるで、自分達が含まれないかの如き書き方をします。一因として、元村氏の記事があった事を、説明すべきです。あれ程指摘されたにも拘らず、その事には触れていません(後で、理系白書ブログのコメントに言及します)。

市教委は「(ゲーム脳という)考え方があることを紹介する講演会。判断は聞いた人にゆだねたい」と話した。

市教委のコメントですが、これは話になりません。この論法だと、どの様な暴論でも、「教育委員会主催・後援」において、流布される事が可能になってしまいます。聞いた人に判断を委ねるというのは、自分達がその説を支持している訳では無い、という正当化でしょう。では何故、その様な説を主張する論者に講演を依頼したのでしょうか。対象がどの様な評価を受けているかを調べるのは、余りにも当然の事です。

科学界からの声に森教授は「脳波を知らない人や、ゲーム業界の支援を受けている人の主張だ」と反発する。「電極を増やした精密計測も進めており、論文はいずれ書く」とも話した。最近になって「ゲームはいけない」との主張を「1日15分なら大丈夫。共存も考えなければ」と変えた。こうした一貫性のなさも不信を持たれる一因だ。

前半は、『サンデー毎日』の記事、後半は、まんたんウェブの記事(特集:脳トレ・DS“ゲーム脳理論”の森昭雄教授に聞く「良い効果の可能性も」 (まんたんウェブ))の参照でしょう。しかし、この書き方は、恰も、最近森氏が主張したかの様です。詳しく知らない人は、新たに森氏に取材をした、と誤解するかも知れません。脳波を知らない~、論文はいずれ書く(こちらは、もっと以前から言っていたはずです。記事なりが見つからないですが)、の部分は、昨年のインタビュー、「ゲームを一日15分」と言い出したのは、特に最近ではありません。余りにも、取材不足です。ゲーム脳に関して書かれた物に当たって書いただけ、としか思えません。

理系白書ブログ: 3月

こちらにある、一技術屋さんのコメントが、適切な批判です。

そして、元村氏のコメントです。

本当にそうだと思います。あの頃は科学記者として未熟でした。科学は万能・・・とまでは思ってませんでしたが、「いい加減な科学」が、自分の取材する範囲にあるとは思っていなかったところがありました。だまされるのは自分に科学や研究のバックグラウンドがないからだ、記者として失格だと思ったことが何度もあります。

 宗教団体による「クローン赤ちゃん誕生」報道も含めて、科学記者としての能力の限界を感じ、反省することばかりです。いくつかの失敗経験を通して、よい意味で「疑う」作法を学んでいるところです。
 「一技術者」さんにも、長い目で見ていただけたらと思うのですが・・・。
先ず、何故この内容を、新聞記事に書かないのでしょうか。一見、過去を反省している殊勝な態度に思えますが、無理に一般論に転換しています。「科学や研究のバックグラウンドがない」とは、どういう意味でしょうか。元村氏が指摘されているのは、ゲーム脳について、具体的な釈明をすべきだ、という事です。何故、「仄めかす」様な書き方しかしないのでしょうか。また、「長い目で見ていただけたら」という部分も、おかしい。これは、「記者としての見識が身に着くまで見守ってくれ」、という事なのでしょうか。駄目でしょう、これは。ある意味、「長い目で見た」から、ゲーム脳がこれ程蔓延した、というのも言える訳です。
正直な所、(ある意味予測通りだったとはいえ)大変腹立たしいです。ここまではぐらかすとは。今後、元村氏は、徹底的に批判されるでしょう。それも、仕方が無い事です。

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コメント

こんばんは。

この記事ぼくの方でも採り上げましたが、久しぶりに見解が違ってます。

とは云えスタンスが違う理由ははっきりと分かるので(^^;、特に議論は必要ない感じですかね。

投稿: pooh | 2007年3月 1日 (木) 23:39

poohさん、今晩は。

そうですね、恐らく。

ただ、理解して頂きたいのは、少なくとも私は、元村氏に「謝罪」は求めていない、という事です。「釈明」もしくは「説明」です。

理系白書ブログに柘植さんが書いておられる通り、「過度の期待」を相対化する、そして、現在蔓延しているゲーム脳説の誤解をとく、という記事を、出来れば書いて頂きたかったのです。

 >「充分努力していますが、間違った報
 >道をしてしまうこともあります」をき
 >ちんと出して「過度の期待」を是正し
 >なくては成らないわけです。(「理系白
 >書ブログ:3月」の、柘植さんのコメ
 >ントより)
これを、して欲しかったんですね。

投稿: TAKESAN | 2007年3月 2日 (金) 00:14

こんばんは

ゲーム脳に限らず,マスコミが「変なもの」を広めた例はいろいろあるわけですよね.先週の記事の「マイナスイオン」だって(大手メーカーの責任はもちろんですが)マスコミも「ブームに拍車」をかけたけど,そういうのはスルーですか?と言いたくなる気分にはなります.
とても好意的に解釈すると,限られた紙面なので「マイナスイオン」や「脳科学」についての記事に「マスコミの責任」に関する話を入れこむと中途半端になるから入れない,という選択なのかもしれません.まぁそれなら1回分使ってマスコミについてやってほしいわけですが…そもそもそういう問題意識があるのかないのか…

どうもあの「他人事」感溢れる書き方を見ていると,また別の「変なもの」をうっかり広めてしまうんじゃないかという気がしちゃいます.

投稿: たかぎF | 2007年3月 2日 (金) 01:00

まったくTAKESANさんと同じ意見ですが、1つだけ違った点が。
……記事に載ってた森教授の発言に、元ネタがあったことに気づかないで、その箇所を高く評価しちゃってました。(だって毎回似たようなこと言ってるし……)

投稿: ゲイムマン(府元晶) | 2007年3月 2日 (金) 03:12

こんにちは、TAKESANさん。

>理系白書ブログに柘植さんが書いておられる通り、「過度の期待」を相対化する、そして、現在蔓延しているゲーム脳説の誤解をとく、という記事を、出来れば書いて頂きたかったのです。

書いた後、少し柔らかく書きすぎたかなと思っていまして、TAKESANさんには『もう少し厳しく」と注文を付けられるかなと思っていたのですけどね。

私には「騙されて被害拡大を引き起こした人」に厳しくなりきれない面があるのですよ。まあマスコミと個人はその責任において違いは有るのですけどね。その昔ダンシング事件という「布団のモニター商法」があってね。被害者が1万人くらいいたかな。この悪徳商法のむごい所は「紹介報酬」があったので、初期被害者が後期の被害者を誘っているのね。被害者同士の中でも「お前が誘わなければ」といういざこざはずいぶんあったみたいなのね。でもって被害者団体ができてけて声明を出しているのだけど、「それを乗り越えて、いま手を携えてこのような悪徳商法と戦う」と宣言していてね、馬鹿な話だけど、私なんかはその声明で泣いてしまうのですよ。

投稿: 柘植 | 2007年3月 2日 (金) 08:43

たかぎFさん、お早うございます。

私も、こういうのが記事になったのは、とても評価出来ると思うのですよね。しかし、どうにも「腑に落ちない」所があるのです。
多分、理系白書ブログも併せて読んだからでしょうね。あの反省っぽいコメントを読んで、「何これ?」と思いました(あちらを見ていると、あれを評価している方もおられるみたいですが)。本当に、「他人事」の様です。
私が思うのは、もっと自分達の力を自覚すべきだ、という事ですね。

実は、マスメディアの自己反省の記事が載ったりするかも、という仄かな期待を持ったりもしたのですが、今回の記事については、同じ紙面に何らかの説明をすべきだ、と思っていましたので、こういうエントリーの書き方になりました。
ここを読んで、結局元村氏を責めたいんだ、と思っている方も多いでしょうね。全然違うんですけどね。

投稿: TAKESAN | 2007年3月 2日 (金) 10:31

ゲイムマンさん、お早うございます。

どこまでが新たな取材に基づいたもので、どこが過去の発言を参照したものかが、よく判りませんね、あの記事は。

他にも、論文は無いと言い切ったり(好意的に読むと、「まともな」論文は無い、という意味とも取れますが、それは、ある程度調べている人しか知りませんし)、「ゲームは脳に悪いのか。これに答える科学的材料は現時点ではない。」と書いたり。そんな事は無いのに。

投稿: TAKESAN | 2007年3月 2日 (金) 10:43

柘植さん、お早うございます。

私としては、新聞記事に、ちょっと自己反省の内容を入れるだけで、随分印象が違っていたのだと思います。柘植さんが言われた「過度の期待」に気付かせる、という。勿論、上にも書いた様に、「謝罪」を求めている訳では無いです。毎日新聞が初期に取り上げたという事実をちょっと書けば、良かったのだと思います。この件に関しては、元村氏は紛れも無く「当事者」な訳ですから。

投稿: TAKESAN | 2007年3月 2日 (金) 10:59

ところで、私はこれでも、極めて穏当な表現に努めているのですが、どうでしょうか。今回のエントリーの後半では、ちょっと感情も入れましたが、元村氏自身の心性等については、殆ど書いていない筈です。

もしかしたら、「批判」で無く「攻撃」と受け取られているかも知れません。勿論、そんな意図は全然ありません。私が考えているのは、ゲーム脳を教えられた子どもの事であり、ゲーム脳を鵜呑みにした保護者であり、鵜呑みにした人に軽蔑される制作者や愛好者です。

マスメディアの「力」を使って、マスメディア自身の情報の不確実性を発信して欲しかった、という事です。

投稿: TAKESAN | 2007年3月 2日 (金) 11:04

http://www.mainichi-msn.co.jp/entertainment/game/gamenews/news/20070301org00m300072000c.html

こっちにも。
ところで、こういう感じの記事の使いまわしって、一般的なんでしたっけ? よく知らないのですが。

投稿: TAKESAN | 2007年3月 2日 (金) 12:31

これぐらいの書き方をしないと伝わらないひとには伝わりませんし。

ぼくの「意図的な煽り口調」に比べれば穏当も穏当でしょう(^^;。ぼくも「特定個人」になにか云いたくてエントリを書いているわけではないんですが、そう見てもらえない覚悟はいつもしています(いや、水伝ビリーバーなんてどうせ紋切型を並べてるだけだから、文体に人格や個性と呼べるほどのものはたいていこもってないんですが)。

投稿: pooh | 2007年3月 2日 (金) 13:29

poohさん、今日は。

非難と取られるのは本意では無いので、結構、表現には気を遣いますです。
なかなか難しいですけれども…。

投稿: TAKESAN | 2007年3月 2日 (金) 13:50

こんばんは~。
以前、TAKESANさんが紹介しておられた、当日、会場に行った方の報告に、この新聞記事を受けた追記がされていますね。
2ちゃんねるなどでは、「1日7時間、15年間ゲームって…」って話題が多いですが、この記事を見ると、そもそも存在からして怪しいですね。
その詳細を新聞でだすだけで、その胡散臭さは伝わると思うんですが…。

http://takoyaki-tako-tako.de-blog.jp/takotako/2007/02/post_e1df.html

投稿: SST | 2007年3月 3日 (土) 19:24

SSTさん、今晩は。

 >この新聞記事を受けた追記

おお、ありがとうございます。これは読んでいませんでした。

 >「1日7時間、15年間ゲームって…」

ホント、よくこの話が出てきますが、いまだにこんなエピソードを語っているのか…、という感じです。リンク先にもありますが、定番のツッコミは、「よくそれで大学に受かったな」、というやつですね。そもそも「約束を100%守れない」の意味が、全く解らないですよね(記事によって書き方が異なるので、ちょっと調べておきます)。

投稿: TAKESAN | 2007年3月 3日 (土) 19:42

というか、ゲイムマンさんと山本弘氏の対談で既に語られていることですが、簡単に調べることができることすら調べないで「こうに違いない」と断言してしまっているんですよね。
それこそ、「約束を100%守れない」つまり、約束を守ることが出来ない、なら「ゲームをやりつづけること」と約束させれば、止めるはずなんですが…(笑)
それに、認知症状態だと言うのならば、その人の申告なんて信頼できないはずですし…。

科学とか、そういうレベル以前の矛盾だらけなんですけどね。
それに気づかないのか、気づいていて敢えて無視しているのか…。

投稿: SST | 2007年3月 3日 (土) 22:08

実際、森氏の著書は、どこがどうおかしいかを指摘出来ない(選べない)くらい、破綻しているのですよね。

印象の一般化とか、都合の悪いデータの恣意的解釈とかの、オンパレードですし。

それを、出た当時から、たくさんの人が主張しているのに、まだ講演したりしているというのが、駄目な訳ですね。

投稿: TAKESAN | 2007年3月 3日 (土) 23:41

これは余談ですが。

 理系白書>議論に参加した小泉英明・日
     >立製作所フェロー(分析科学)

小泉氏は、ネット君臨で、意見が紹介されていますね⇒http://my-mai.mainichi.co.jp/mymai/modules/itsociety7/index.php?p=26

表現としては、慎重な言い回しと言えるかも知れませんが、特集のテーマがテーマなので、ちょいとネガティブに読めなくも無いです(確か、ゲーム脳には批判的だったと思います。ソース無し。後で調べます)。と言うか、私は完全にネガティブに捉え、かなり強く批判もしてました⇒http://seisin-isiki-karada.cocolog-nifty.com/blog/2007/01/post_7202.html

投稿: TAKESAN | 2007年3月 4日 (日) 23:32

理系白書ブログより。

Yan94さん>若者のゲームへの偏重を防ぐ
     >という意味では、社会正義の
     >ある本です。
無茶苦茶な事を言わんで下さい。
妥当な主張が少しでも含まれていれば、「社会正義のある」、になるんですか。

コメントから察するに、本を読んでおられないでしょう。

ちょっと過剰反応かも知れませんが、あの本を読めば、とても、あんな評価は出来ない。

投稿: TAKESAN | 2007年3月 6日 (火) 11:53

そりゃ過剰反応じゃないですか? > TAKESANさん
その後に「だめですよ,それは」と続いているわけですし,そこだけ切り出すのはちょっと.
「社会正義が*ある*」というのは,前後の文脈から「一見,社会正義があるようにみえる」程度のことを言っているように読めます.私には.

全体としては,ただゲームのやりすぎはよくないと言いたいだけなのに脳科学っぽい話をくっつけるなんていかがわしい,というかんじの意見なのでは?

投稿: たかぎF | 2007年3月 6日 (火) 22:07

たかぎFさん、今晩は。

うーん、私は、Yan94さんはちょっと、森氏の著作を軽く見すぎなのでは無いかと、思いました。

 >しかし、記事や紹介を見る限り
や、
 >ゲームのやりすぎはよくない!それ
 >だけです。この本が言いたいのは。
という書き方もされていますし。「ある」と言ってしまえば、類書には、悉くそういう主張は含まれる訳ですし。私としては、「読んでないのに”ある”と言ってしまって良いの?」という感じです。

とは言え、過剰反応というのは、仰る通りですね。未読かどうかもはっきりしていませんし、憶測で物を言ってしまいました。申し訳ありません。

お読みの方が参照し易い様に、当該エントリーのアドレスを貼っておきます。3月6日 2:28のコメントです⇒http://rikei.spaces.live.com/blog/cns!B2DB7723CECCAA05!8451.entry?_c=BlogPart

投稿: TAKESAN | 2007年3月 7日 (水) 00:55

「社会正義」という語に、強く反応してしまったのでしょうね。そこに、ポジティブな評価を感じ取ってしまったのだと思います。
些か感情的になってしまいました。自分では、冷静だったつもりなのですが…。

たかぎFさん、ご指摘に感謝します。

投稿: TAKESAN | 2007年3月 7日 (水) 00:59

理系白書を読んで、「おお、いい事書いてるなあ」と思って、「で、池内氏のインタビューはどんな感じだろう」、と見てみたら、実は、既に読んだ部分が、池内氏の発言の要約でした。インタビューのやり取りを文字に起こしたものが載っているのだと思っていたら、要約だったんですねえ。気付かなかった。

これが、記者のオリジナルの文章なら、感心したのですが…。いや、実際、最初は、そう思って感心したんですけど(笑)

http://www.mainichi-msn.co.jp/science/rikei/news/20070314ddm016070032000c.html

投稿: TAKESAN | 2007年3月14日 (水) 13:34

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