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2007年1月25日 (木)

メモ:ゲーム脳仮説の検討

既に論破されている所についても、敢えて書いておきます。走り書きですので、重複等、不充分な所もあると思います(相当読みにくいです)。論理的な不備等あれば、ご指摘頂ければありがたいです。

  • そもそも「ゲーム脳説が妥当」と言える為には、どの様な条件を満たせば良いか。
  • ゲーム脳は定義されているか。明確な定義が無ければ、反証が難しい。著作に書かれている内容を分析して、それを部分的に検証する事しか出来ない。だから、「ゲーム脳が無いと証明された訳では無い」という反論が出る。
  • 森氏は、ゲームプレイ中に認知症と同様の脳活動が見出されると主張しているが、それは妥当か。妥当であるとして、それは、認知症に特有のものか。即ち、認知症を高い精度で診断出来る程の信頼性があるのかどうか。※この部分を、「ゲーム脳」とするのが妥当でしょうね。であれば、反証は容易いです。ただ、森氏は、明確に定義してはいませんね。
  • 森氏は、もの忘れが激しい、とか、無気力とか、そういう「印象」を語っているが、本来これらは、心理学的に測定すべきものである。心理学的根拠の無い主観的評価や単なる自己申告に基づいて論を展開するのは飛躍であり、極めて不当である。
  • 森氏の主張は、極めて「強い」ものである。即ち、「ゲーム」をすれば、脳のある部分の機能が低下する、という主張。「ゲーム」には、全て、もしくは大部分という意味が含まれている。そうで無ければ、ゲーム一般に成り立つという前提が崩れるので、ゲームソフトによってまちまち、という事になり、主張が弱まってしまう。であれば、ゲーム一般に共通する論理を考察すべきである。そして、条件を統制し、実験的に、「ゲームに共通する部分」の影響を確かめるべきであろう。その場合は、条件を統制した為に、そもそも「日常生活でゲームをする」という状況とはかけ離れてしまう可能性(一般化可能性があるかどうか)がある事を、念頭におくべきである。勿論、森氏の主張は強いものであるから、どんな状況でも、どんなゲームをやっても、脳の機能低下が認められねばならない、という考え方も出来る。
  • 森氏は、全身運動の効用を語り、ゲームと対比している。しかし、全身運動が生理・心理学的に有用であるとしても、その他の文化を批判する論拠にはならない。文化には、それぞれ様々な特性があるのだから、安易に効用の面で分類すべきでは無い。※発達心理学等の知見を踏まえても、小さい内に、色々な体験をさせるのは、重要なのだと思います。ゲーム脳を批判する人は、必ずしも運動の効用を否定しないのです。余談ですが、「運動」と一言で済ますのも問題です。どの様な運動が効果的か、という視点もありますので。現代の体育教育は妥当か、とかも。個人的な意見を言うと、身体運動は、圧倒的に重要だと考えています。身体と脳は、相互作用している訳ですから。
  • そもそも、「前頭前野の機能低下」とは、いかなる現象を指すのか。それは、神経科学的に妥当なのか。学者のコンセンサスを得ているものなのか。それは、ブレイン・イメージング研究だけで判断出来るものなのか。心理学的測定によっても検証されるべきか。※脳画像だけ見て、その人の心理特性を云々する神経科学者なんて、いないとは思います。そもそも森氏は、運動生理学が専門ですし。
  • 森氏は、「キレる」事とゲームとの関連も指摘している。ここで考えなければならないのは、「キレる」とはいかなる現象か。それは定量化出来るか。定義したとして、それは以前と較べて増えているのか。それとゲームの関係を、どう論証するか。※マクロな視点で見ると、犯罪統計とゲームの普及との関係を統計解析すれば、ある程度の事は言えるのではないかと思います。ところで、「キレる」を、少年犯罪の推移等と絡めて論ずる人がいますが、「キレる」って、独特の言葉ですよね。
  • 森氏は、一部例外のソフト(ダンスゲームやRPG ※RPGは、恐らく『バイオハザード』と思われます。多くの人は、あの記述を読んだ時点で、森氏の無知さを確信したはずです)のプレイ中には、脳波が「ゲーム脳」状態では無いとしているが、それは殆ど無視して(理由をこじつけて)しまっている。これは不当である。
  • 前頭前野があまり活性化しないという事が見出されたとして、それは問題であるのか。つまり、「そうなってはいけない」のか。※川島隆太氏か誰かが仰っていました。いつも活性化していたら、疲れてしまう、と。それを踏まえて、ゲームにはリラックス効果があるから良い、と言った訳ですが、それも、どこまで一般化出来るか、という疑問はあります。そういえば、脳トレ系が脳に効く事が判った、という研究を、最近見かけた気が。

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コメント

「自己中心」の方にコメントが書けなかったので、こちらに。
大友氏ですが、森氏の「ゲーム脳」の発端となった認知症老人の脳波測定というのを行ったのが、大友氏が院長を勤める浴風会病院のようですね。
http://nippon.zaidan.info/seikabutsu/2005/00003/contents/0006.htm
の、森氏のコメントの中に書かれています。

また、大友氏ですが、森氏の作った日本健康行動科学会の役員(顧問)を勤めており、森氏とはかなり親密な関係である、と言って良いと思われます。

投稿: SST | 2007年1月29日 (月) 21:46

SSTさん、今晩は。

 >コメントが書けなかったので
すみません、誤って、閉じてしまっていました。ご指摘ありがとうございます。

大友氏の著書を、探してみようかと思っています。森氏の共同研究者という事で、論文も出ていますね。

SSTさんがリンクされたサイトより引用します。

  東京都杉並区に浴風会という、東京ド
  ーム2個分を合わせた敷地に老人病院
  と特別老人養護施設等があります。そ
  こに認知症の研究では非常に著名な大
  友英一先生とおっしゃる病院長がおら
  れます。この先生と2年ちょっと認知
  症の研究をやってきました。そして分
  かったことは、脳の前頭前野の機能
  低下、これが脳波成分の中のベータ波
  が低下するということが分かったわけ
  です。

エッセイを読んでも窺えますが、大友氏は、ゲームが脳に悪影響を及ぼすと、確信しておられるようですね。

投稿: TAKESAN | 2007年1月30日 (火) 00:12

http://rikei.spaces.live.com/blog/cns!B2DB7723CECCAA05!8188.entry?_c=BlogPart

やっぱり触れないのね…。

元村さんが、最も率先すべき事は何か。ゲーム脳について、ちゃんと意見表明すべきだと思うのですが。毎日新聞でニセ科学特集をやるそうなので、注目しましょう。

投稿: TAKESAN | 2007年1月30日 (火) 23:39

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