見方
武術の動きについて科学的に考察しているブログとか無いかなあ、と、いつも思っています。悲しい事に、武術と科学の両方に関心を持っている人が、とても少ないのですよねえ。元々武術が、科学を忌避する様な思想を持っていたりするので、なかなか難しいです。
たまに、武術の高度な動きには筋力は要らない、なんて事を言う人がいたりするのですが、そんな馬鹿な、という感じです。じゃあ、どうやって動いているのだ、と。勿論、一般的に「筋肉を鍛える」といえば、より表層にある筋肉が肥大する、というイメージでしょうから、それを戒める(必要な筋肉を考えずに、闇雲に鍛える事を)為に言っている場合もあるのでしょうけれど、本気で、筋力は別に要らない、と思っている人も、たまにいます。
武術系のブログを見ると、専ら感覚的な事を書いていて、科学的にどうか、というのは、殆ど見られません。それが駄目だという意味ではありませんが、余り主観に頼ると、コミュニケーションが取れないのです。それは、自分の意識を内観して、言葉で表現したものですから、客観性があるとは言えません。ですから、お互い同じ様な言葉を使っていても、実態は全然異なる、という場合が、多々あります。身体を物体と捉えて、それを力学的に解析する、という見方を取らないと、いつまで経っても、本当の所は解らない、という事になります。そういう二元論的考えは駄目だ、という人もいるかも知れませんが、それは又、別の話です。身体を力学的に考察する事と、感覚や意識を疎かにする事は、違います。結局、両方肝腎なのです。なのに、武術をやる人は、科学的分析を受け容れない雰囲気がある様です。残念ですが。
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コメント
TAKESAN さん、こんにちわ。
私も、仰っていることに、一票を投じます。
日本人は、まだ、物事の本質を論理的に深く考えることに、重きをおかない人が多いので、仕方のない事なのかもしれません。理系の人が必ずしも論理的であるとはいえませんが、少なくとも、文系の人よりも論理的思考訓練をしてきた、理系の人が台頭してくるのを、今しばらく待つ必要があるのかもしれませんね。新しい物事に直ぐに迎合し、深く思考を巡らすことを好まない、今の現状を考えると無理なのかも・・・(理系離れも進んでいるし)。
論理的思考が、日本の伝統・文化・思想を破壊することはないと思うのですが。そう思いこみ、恐れているのですかね?
投稿: 通りすがり人 | 2006年12月12日 (火) 12:34
通りすがり人さん、今日は。
直感重視の思考というのは、それはそれで、とても重要なのだと考えていますが、だからといって、論理的・自然科学的思考を蔑ろにして良いかというと、全くそんな事は無いのですよね。科学的認識と直感的思考は、どちらも重要ですし、矛盾するものでも無いのに、誤解している人は、いる様です。
認知科学やロボティクス、スポーツバイオメカニクス等の研究者が、主観と客観を結び付ける努力を日々行っているのに、武術関係者が開かれた態度を取らないというのは(近年は、科学的分析を受け容れる人もいますが、それは喜ばしいですね。ただ、まだまだ少数派でしょうね)、武術という文化にとっても、余り宜しくないと思います。
>論理的思考が、日本の伝統・文化・思
>想を破壊することはないと思うので
>すが。そう思いこみ、恐れているので
>すかね?
自分が関わる文化を論理的に分析される事を恐れる、という心理は、あると思います。多くは、何となく持っているステレオタイプを根拠にして(奇しくも、別の所で、科学者に対するステレオタイプの話題が出ています)、科学に対して不信を持っているのかも知れません。偉い人が「科学じゃ解らない」なんて言っているのを鵜呑みにする等して。じゃあ、勉強してみれば良いのに、と思ったりもするのですが(私は、実際そうしているのですけれど)、そこまで行かないのでしょうね。
投稿: TAKESAN | 2006年12月12日 (火) 13:12
後、実際指導に携わっている人が、自分の実力を客観的に評価されるのを恐れる、という事もあるでしょうね(それを正当化するのが、「武術は科学では解らないのだ」という論理)。勿論、潜在的に、でしょうけれど。スポーツの世界等、冷酷な程に、数字で力を評価される、厳しい世界ですが、そういう所に、見習う事もあると思います。
私等、自分の実力が客観的に評価出来れば、そんなにありがたい事は無いと思っています。それをフィードバックして、更なる上達が望める訳ですから。
投稿: TAKESAN | 2006年12月12日 (火) 13:20
早くも、CMやってました(発売決定、というやつ)。
DSで発売というのは、戦略的にも、最も妥当でしょうね。やるなあ。
投稿: TAKESAN | 2006年12月12日 (火) 21:09
…間違えた(笑)
勿論、ドラクエ9の事です。
投稿: TAKESAN | 2006年12月12日 (火) 21:09
はじめまして。いろいろ読んでいたらここにたどり着きました。
私が以前やっていた空手では力学的にいろいろ教わりました。師範はそのようなことは説明しないのですが、弟子が医者なので関節の稼働方向等を考慮して力学的に説明してくれたのです。
その道場は筋肉を鍛えないところでした。理由は、全身の筋肉と関節を適切に動かして筋肉と体重から生じる力を効率よく伝えることが目的だったからです。
今私は合気道をやっていますが、今でもそういったことを考えながら体を動かしています。
投稿: もぐ | 2006年12月21日 (木) 22:57
もぐさん、今晩は。
>理由は、全身の筋肉と関節を適切に動
>かして筋肉と体重から生じる力を効率
>よく伝えることが目的だったからです。
これはとても重要ですよね。
本文でも書いた様に、筋力に頼ってはいけない、という考えが、筋力をアップする事自体を否定したり、或いは逆に、ただ闇雲に、どこを鍛えれば良いのかも余り考えずに筋トレに励むという、両極端になってしまいがちですから、バランスを取った考え方が、肝腎ですね。
投稿: TAKESAN | 2006年12月22日 (金) 01:22