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2006年12月18日 (月)

アトミスティック

1So-net blog:エゾ狂人日記:「『ゲーム脳』脳」の恐怖、2エゾ狂人日記:桑原清四郎先生へ

(こういう話題では、コメントしたのが本人か、というのが問題になったりしますが、一応、そうであると判断します。リンク先のブログでのやり取りについての感想なので、どちらでも構いません)ぱらいそさんの丁寧な説明にも拘らず、今一つ、議論が噛み合っていない様に思われます。桑原氏は、コメントで、森昭雄氏を擁護なさっていますが、果たして、森氏の各所での発言をご存知か、或いは、そもそも『ゲーム脳の恐怖』をお読みになったのか、疑問です。森氏の経歴等は、ここでは全く関係の無い事です。問題は、ゲーム脳などという、およそ学術的概念とは言えない説を提出し、それを新書で一般に流布し、更には、講演会等で自説を広めている、その事なのです(桑原氏の活動については、詳細が判らないので書けません)。桑原氏は、神経科学の成果を基に教育方法を組み立てる事を企図されている様ですが(1のコメント欄より)、これは、悪い意味での要素還元主義(アトミスムの方法自体の批判ではありません。念の為)に陥る可能性があるでしょう。即ち、○○をやらせたら脳波(PETでもfMRIでも)がこうなった、から、○○は脳に良い/悪いと、短絡してしまう危険性を秘めているという事です。そこの所は、考えておくべきでしょう。文化の良し悪しが、脳の活動の仕方によって根拠付けられるというのは、怖い事ではないでしょうか。

そもそも人間にとって、どの様な能力を高める(あるいは「高めない」)のが「良い」事なのか、それを考えれば、問題の複雑さが、判ってくると思います。

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コメント

後半の「脳に良いか否か」がその「文化が良いか否か」に繋がってしまう危険性、については同感なのですが、そもそも「脳に良い、悪い」というのをどう定義するのか? も大きいですよね。
例えば、「運動をすることは体に良い」と言う話は良く聞きますけれども、概ね間違っていないにしても、運動不足の人がフルマラソンを走るんは危険。また、プロスポーツ選手なんかのようなところまで行けば、今度は鍛え過ぎで壊れやすい、なんてこともあるわけですし。
川島隆太氏辺りの発言に対してもですが、「○○したら脳活動が活発化した。だから脳に良い」と単純に言ってしまって良いのかどうか…という疑問が出てなりません。

投稿: SST | 2006年12月18日 (月) 17:30

SSTさん、今晩は。

 >どう定義するのか?
そうですね。脳のある領域が賦活したからといって、それが直ちに良いと言えるかどうか、というのは、考えるべきだと思います(真摯な学者は心得ている筈ですが)。

川島氏は、認知症に対する学習療法の効果を研究されていますが、一般向けの著作では、○○をやったら脳活動が高まった/低まった、という実験結果(脳イメージングで得られた画像)を載せています。これは、私には安易に見えますね。又、漫画やゲーム等は、余り活性化させないので、リラックス効果があるだろう、という事も書かれていますが、これは、コンテンツの幅広さを考慮していない様に思われます。
勿論、川島氏は、慎重な物言いをされるので、賦活したから良い、と断言はしていませんが、音読や単純計算の効用を主張される余り、そういう印象を一般に与えている、という懸念があります。

運動の喩えは正にその通りで、何事にも、程度というものがあると思います。それを無視して、又、文化内の差異を見ずに語る所に、怖さの様なものを感じます(←森昭雄氏等に対して)。

良いか悪いかに関連して。
これは余談ですが、テレビやゲームは暴力性を高めるか、という議論で、抜け落ちている視点が、「そもそも暴力性が高まるのは悪い事なのか」というものですね。こういう視点で書かれたものは、余り見る事はありませんが。

投稿: TAKESAN | 2006年12月18日 (月) 18:31

こんばんは
 
この桑原氏は、ちょっと興味深かったので検索してみますと、結構まっとうそうな先生です。
実は、そこがミソでしょう。水伝と同じように、「子どものために」が優先して周りがみえないのでしょう。
森氏を擁護するのに、専門用語をちりばめていますが、自分でどれだけ理解しているかは、怪しい気がします。知っていることと、理解していることは違います。間違ったことを知っていても、間違っていると理解できないでのです。
文部科学省の検討会の報告も斜めに読んでみましたが、ゲームについては、ほとんど言及されていません。
http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/05032201/003.htm
 
ちなみに、この検討会のメンバーの澤口氏は、セクハラで大学を追い出されているそうです。澤口氏のネオテニー論も怪しいと思っております。
脳に詳しくても、結局、ダメなものはダメなんですね。

SSTさん
脳に良い悪いは、人によって使い方がちがうでしょう。
川島氏的なものは、楽に勉強ができるようになる脳でしょうか。
この桑原氏や文部科学省は、キレルことが少なくなるような脳でしょうか。
ちょと勝手な解釈ですが。
運動への喩えは、分かりやすいです。100キロ走ってきて、疲労骨折になっても、それで走ることは体に悪いなんて誰も言いませんよね。おなかがすくとイライラすることもあるように体の状況が心に影響することもあるでしょう。走って疲れてキレた子どもがいても、走ることが暴力性を生みだすなんて言いません。
ゲームも何時間もやり続けると、やはり悪い部分はでるでしょう。それでもってゲームが悪いというのは、本来ならおかしいことなんです。

投稿: ドラゴン | 2006年12月18日 (月) 20:20

ゲーム脳を信じていることそれ自体もアレなんですが,あの話のすれ違いっぷりがあんまりじゃないかと… 見たくないものは本当に目に入らないのではないかと思える,なんともいえない気持ち悪さを感じました.もしあれが教育熱心な先生の典型だとしたら,どうしたらいいんでしょう (--;

投稿: たかぎF | 2006年12月18日 (月) 23:07

ドラゴンさんへ。

桑原氏がコメントで出されている脳科学者は、恐らく澤口氏の事ですね。セクハラについては、ご本人がブログで釈明されていましたが(アドレス貼ろうと思ったら、今リンク切れでした)、余り情報を持ち合わせていないので、私には何とも言えないですね。

水伝でもそうですが、信用する人は、善意からなのですよね。そして、批判には耳を貸さない様になる、という。桑原氏は、森氏が誤解を受けている、と庇っておられましたが、森氏の各所での発言等を、ご存知無いのかも知れませんね。

投稿: TAKESAN | 2006年12月18日 (月) 23:45

たかぎFさん、今晩は。

 >見たくないものは本当に目に入らない
 >のではないかと思える,
そうなんですよね。しかも、それでいて、相手の言っている事に同意をしているという。あの華麗なるスルーっぷりが、意図的なものなのかどうか…。「あなたの言っている事はその通りだけど」と理解を仄めかして、実は全く解っておらず(ちゃんと読んでいるかすら怪しいですが)、持論を展開する、というのは、たまに見られますね。そうすれば、論破され得ない訳ですからね。
それと、ドラゴンさんも指摘されている様に、専門用語の羅列が何とも。別にエックルスに会ったからといって、他人には全く関係の無い話なんですけどね…。

投稿: TAKESAN | 2006年12月18日 (月) 23:57

DHMOの話なんかは、認識の仕方を試すのに、丁度良いものかも知れませんね。何でも、人間にとって好ましい面とそうでない面がある訳で、そこを見なければならないですね。

次の様に問いかけてみても良いかも知れません。「人間にとって、良い影響しか与えない物事って、何かありますか?」

投稿: TAKESAN | 2006年12月19日 (火) 00:02

たかぎFさん


>もしあれが教育熱心な先生の典型だとしたら,どうしたらいいんでしょう (--;
大丈夫です。教育熱心な人でもちゃんとした人もたくさんいます。
私は、「水伝」を信じてしまう典型だろうと思います。TOSSの水伝の授業記録は読めても、どう考えてそこに至ったかは、なかなか分かりません。
この桑原先生の、考え方を読み解くと、ニセ科学を学校に持ち込む人がイメージしやすいと思います。
この先生には、何か商品を売ろうとか、そういった悪意はないでしょう。それだけに困ったところもあります。

TAKESAN さん
>余り情報を持ち合わせていないので、私には何とも言えないですね。
私も情報を持っているわけではなく、噂です。澤口氏が、発達障害のことを、ネオテニー論で書かれていたのが、あまりにひどく思ったので、ちょっと感情的になりました。


投稿: ドラゴン | 2006年12月19日 (火) 12:59

ドラゴンさん、今日は。

澤口氏は、現在は、ゲーム脳に真っ当な批判を加えていますが、以前は肯定的な事を言っていたりして、今一つ、考えがよく解らないですね。じゃあ、前のあれは何だったのだろう、という。⇒http://kodansha.cplaza.ne.jp/broadcast/special/2002_10_23/content.html

前に、血液型性格判断に肯定的な事も言っていたりしましたしねえ(確か、『ホムクル』でしたか)。kikulogで、きくちさんと澤口氏がこの件について話された、というのがありましたね⇒http://www.cp.cmc.osaka-u.ac.jp/~kikuchi/weblog/index.php?mode=show&date=20060402

投稿: TAKESAN | 2006年12月19日 (火) 14:36

ドラゴンさんがおっしゃる通り,悪意はないのだと思います.
それ故,あの「華麗なスルー」は意図しているわけではなくて"素"なんだろうな,と感じました.「意図してスルー」よりも,たちが悪い.意図してというほうが,都合の悪いことがあるという自覚があるだけまだマシです.
そういう,ほとんど無意識で都合の良いことしか(見ない|聞かない)ような人が,子供の相手をしていて,なおかつエラくなっちゃうんだ,と思ったら,すごく気持ち悪くて (--;

あまりに気持ち悪くて,つい言いすぎてしまいました > 「あれが典型だったら」
教師のみなさんごめんなさい.

投稿: たかぎF | 2006年12月19日 (火) 19:35

たかぎFさん
 
お気持ち分かります。
ここに水伝を払拭できない理由があるように思います。
明らかに悪意があれば、「それは教育ではなく、金儲けだ」なんて言うこともできます。
 
朴斎さんのお言葉
>「人は願望にかなわない事実よりも、願望にかなったウソを信じる」ということを、教育者ならもっと自覚すべきでしょう。
 
まさに、こういうことでしょう。
 

投稿: ドラゴン | 2006年12月19日 (火) 20:21

たかぎFさん、今晩は。

 >"素"なんだろうな,と感じました.
いわゆる「確信犯的」というやつですね。自分の正しさを信じて疑わない、という。端から見ていると、確かに、「なんともいえない気持ち悪さ」(たかぎFさんのコメントより)を覚えますね。正しさを疑わないというのは、一歩間違えれば、単なる独善になりますしね。熱心と独善は、紙一重であると思います。

投稿: TAKESAN | 2006年12月19日 (火) 21:00

ドラゴンさんへ。

ニセ科学を教育に適用しようとするのは、基本的には善意からの事ですから、悪意に因る行為とは、又違った難しさがありますね。
それ(水伝やゲーム脳論の適用)が、他人を激しく差別する可能性がある事に、目を向けて欲しいですね。

投稿: TAKESAN | 2006年12月19日 (火) 21:04

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