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2006年11月28日 (火)

神話崩壊?

某自称達人の試合を観ましたが、何とも言えない気分になりましたね。

先ず、試合結果は、大方の予想通りであったと思います。どの程度武術を修行したのかは知りませんが、総合系のルールの試合で、しかも、そのルールに特化してトレーニングを積んでいる格闘家に勝つというのは、そもそも困難です。当人が、どの様な認識で試合を受けたのか(本当に試合をやろう、と思った動機)、知る由もありませんが、正直、無謀であったと思います。

試合形式についてですが、ビデオカメラで撮影もし、多数のギャラリーもいたのですから、もう少し、ルール等に配慮すべきであったと考えています。せめて、マウスピースやグローブをつけるくらい、するべきでしょう。観衆には、格闘技の試合を見慣れていない様な人も見られましたが(推測です)、そういう人の事も慮るべきです。真剣勝負だから、マウスピース等要らない、と言われそうですが、時間・会場を決めて、観衆を入れ、ルールを決めて試合を行うのですから、それは当たりません。勿論、当事者同士の合意がありますから、部外者が云々する筋合いでもありませんが、60歳過ぎの人間が、血気盛んな若者と、ほぼノールールで試合を行うのです。ドクターも置かず(詳細は知りませんが、救急車が呼ばれたとの事なので、いなかったと思います)、あのルールで進めるのに無理があるのは、言うまでも無い事だと考えます。

勿論、自称達人氏は、自業自得であったと言う事も出来ます。WEBサイトに書かれている数々の宣伝文句等を見ると、その怪しさは、一目瞭然です。書いてはならない事も書いています。そして、サイトで試合相手を募集し、実際に試合を行った結果なのですから、同情の余地は無いと言ってもよいでしょう。お弟子さんも、意気消沈されていた様ですが、目を覚ますきっかけにはなったかも知れません(でも、とても気の毒だとも思います)。ただやはり、映像を観ると、何とも言えない気分になるのです。60過ぎの人間と、総合ルールで試合をする事自体、異常です。それは、皆判っていた筈です。にも拘らず、決行し、あの様な結果になった。残念です。

話は換わって、あの試合結果を知って、試合の無い武術を愛好している人は、複雑な気持ちになった事でしょう。いや、自分達はあれとは違う、と言う人もいるかも知れませんね。私など、「勝てる訳が無いだろう」という考えです。試合形式の稽古をせず(恐らく、です)、総合系で鍛えた格闘家に勝てるかも知れないと考える事自体が、かなり素朴な認識です。ノールールに近いと言っても、お互いに約束をし、会場と時間を決めて試合を行うのですから、そもそも護身術の意味合いが強い合気系武術で対応するのは、極めて難しいでしょう。攻撃技も少ないですしね(「無い」とは言えないです。又、道場によってもバラツキがあります。一般的には、合気道には存在しないとは言えます。合気道の標準的なテキストを基準にすると、それに則った稽古だけでは、総合系の試合で合気道家が勝つのは、「絶対」に近いくらい難しいでしょう。で、それを考慮して、体系に打撃技を組み込んだ場合、「それは合気道」と言えるの? という問題も出てきます)。そこに疑問を持った人々は、分派を作って、試合を導入したりしている訳ですが、そういう人からすると、今回の結果は、当然の事だと認識しているでしょう。昔も今も、古流武術や合気道等の修行者で、達人は存在するとは思いますが、だからと言って、体系そのものが優れているなどとは、言えないのです。それは当然の事です。名を馳せた達人が、他流と交わったり、実戦経験豊富だったりしたのを、見逃してはいけません。そういう意味で、個人的努力による所が大きいと考えられます。それが体系にフィードバックされるかどうかは、又別の話です。

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