メモ:状況の変化と意識の変化
- 徒手で突きを行う際や、剣を振る時に、ベストがある程度適切に働いているとしても、手を持たれてそれを揚げる(合気揚げや、合気道で言う呼吸法)場合に、それが同じ様に運用されるとは限らない。掴まれている事、それを揚げなければならない、という事を強く認知して、それが、身体意識にも影響を与えるのだろう。即ち、肋骨や肩甲骨を一体として運動させるという意識では無く、肩関節を支点とした運動(肩関節及び肘関節の屈曲)を行わせる意識になってしまうのだと考えられる(高岡英夫による「支点意識」 『合気・奇跡の解読 』を参照)。
- 指導の現場では、これを防ぐ為に、「掴まれている事を意識しない(考えない)」、「剣を振りかぶる様に」等の教示が与えられる。それによって、剣を振る際の認知・意識を思い出させる。そして、ベスト体の運動が促される。
- 然るに、ここで良く考えるべきなのは、そもそもベストが形成されていない人が、合気揚げ等を行う際に、「剣を振りかぶる様に」と言われても、殆ど意味が無い、という事である。先ず、よりベストを形成し易いと考えられる剣術等の稽古の際に、ベストを強く認識させ、形成を促した上で、「体術の際にも同様の意識で行う」という事を教えるべきである。
- 真の名人・達人とは、あらゆる状況において、普遍的に、優れた身体意識が働くものであり、そこを目指すべきである。何を持とうが、どこを掴まれようが、全く同じ様に動き(物や相手に合わせない、という意味では無い)、優れた運動が発揮される。黒田鉄山師範は、「武術的身体」と言い、佐川幸義師範は、「合気之錬体」と言った。その境地に達するには、優れた身体運動がどの様なものなのかを正しく認識し、自分の身体を徹底的に意識する事が肝要である。
※「意識」を、「身体意識を顕在的に認知する」という意味でも使っています。
参考文献:
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合気・奇跡の解読 著者:高岡 英夫 |
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