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2006年9月 8日 (金)

埋没しないようにする

萩原俊明さんの、鍼灸武芸帳/常の力・常の技内、 たべものを読んで。

実は私も、以前、食品添加物=身体に害を生す物、という短絡な認識を持っていました(農薬等にも)。そして、添加物は怪しからん、食べ物は自然な状態が一番良いのだ、という、典型的な思考に陥っていました。きっかけは、色々ありました。『美味しんぼ』であったり、マスメディアの報道であったり。食品添加物というものが何であるか、また、それにはどの様なメリット・デメリットがあるのか。使わない場合のリスクはどういうものか、という事を、全く考えもせずに、思い込んでしまっていたのですね。とても浅はかであったと思います。※念の為補足。私は、添加物に危険性が無いから、安心して良いのだ、と言っている訳ではありません(そういう事を主張出来る程の知識を持ち合わせてもいません)。しっかり科学的に考える事なく、ある説を鵜呑みにしてはならない、と言いたいのです。

この様な場合には、常に不安につきまとわれます。自分は身体に悪い物を食べてしまっているのではないか、等ですね。極端になると、自分と同じ様に考えない人は、思慮が足りないのだ、という思いに到ります。更に進むと、それを他人に押し付けるようにもなってしまいますね。それは、余り好ましい状態では無いと思います。

萩原さんの仰る、

でももし善意があるのならば、自分の食に対する主張を公衆に伝達する時は、
「・・・と私は信じております」と付け加えるべきでしょう。
それを付け加えたくないのであれば、その根拠となる研究を明確に示すべきです。

ところが、この根拠の提示というものも、科学に無知な相手を騙すのは実に簡単なことで、ちょっとした都合の良いミニ実験で簡単に取り込めます。
しかし本当に食における有効性や危険性を証明するためには、厳格にデザインされた研究・調査が必要なのです。

この部分、とても重要です。ただ、○○が危険だ、と、不安を煽るのでは無く、何故そうであるか、それにはどの様な反論があるのか、等を、明らかにすべきです。

食の指導を行う時、それを受ける側の心の自由をうばってはいけません。
単に自分が信じ込んでいる、すぐには立証できない知識で、相手を不安にさせてはいけません。
また逆に過度の期待を植えつけてもいけません。

全く同感ですね。とは言え、相手の為を思って、自説を信じ込んでそうする場合が殆どでしょうから、冷静に、自分の考えを客観的に見直すというのは、難しいのかも知れません。

余談をば。萩原さんが書かれた、合気武道精髄(著者名は異なります)は、10年程前に読みました。神秘的な説明に頼りがちな、武道・武術の術技を、なるべく合理的に説明しようとする記述に、感心したのを憶えています。合気道の実戦性の批判等もあり、とても面白い本でした。

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コメント

今『美味しんぼ』でやっているシリーズは、要注目かも。

食品添加物の問題点を考えていくのは良いけれど、そこからいきなり、心の話とかにもっていくのは、どうにも違和感が。

安部氏の本は、賛否両論のようですね。私は、そこら辺(添加物について)の議論は、あまり知らないのですが。

投稿: TAKESAN | 2007年10月31日 (水) 16:57

せとともこさんのブログで知った、内田氏のブログで紹介されていた本が、『美味しんぼ』で採り上げられていました。

今のシリーズ、かなり微妙。何をもって、「壊れる」と言うのかな。

投稿: TAKESAN | 2007年11月12日 (月) 19:27

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