シリアスゲーム
ITmedia +D Games:「学び」をゲームに──「シリアスゲーム」市場開拓へスクエニと学研が提携を読んで。
以前から、「哲学や数学等をテーマにした、面白いゲームが開発されないかな。」という事は考えていました。フリーウェア等では見かける事はありますが(あっても、タイピングゲームが多いですね)、大手メーカーが開発したソフトは、今は余り無いですね。そういえば、昔、ファミコンの、『ドンキーコングJR.の算数遊び』とかありましたね。ですから、「脳トレ」等を見て、「今更…。」とも思いましたね。スクウェア・エニックスの参入により、程よくエンターテイメント性を付加した、面白い、教育ゲーム等のシリアスゲームが開発される事を期待します。
歴史シミュレーション等は、シリアスゲームとしての側面を持っています。『三国志』や『信長の野望』をプレイして、武将の名前を沢山憶えている人がいます。漫画やアニメのキャラクターを憶えるのと同じですね。興味を持った対象であれば、「記憶しよう」と強く意識せずとも、すんなり憶える事が出来ます。試験前に、憶えよう憶えようと、ウンウン唸って記憶して、試験後にはすっかり忘れている、という事がありますが、それとは大違いです。『ドラゴンクエスト』の呪文や、『ファイナルファンタジー』の魔法の、名称と効果を憶えるのも、良く考えれば、結構大変な事ですが、特に苦労せずに憶えます。それらを憶えない事には、ゲームを進められない、という条件があるのですから、憶えざるを得ない訳です。人間には、「教育」や「学習」等を意識すると、反発や嫌悪を覚えるという心理が働きますから(一概には言えませんが)、それを感じさせないゲームデザインをする事が重要です。単にディスプレイに試験問題を表示し、答えをキーボードやマウス等で入力する、という形態のゲーム(とは認識されないとは思いますが)を作っても、誰も見向きもしないでしょうから。ゲームは、プレイヤーが積極的に参加出来る所が特徴ですから、「面白い」教育ゲームが出来たら、その教育効果は大きいと思います。その「面白さ」は、キャラクターやストーリー等の、エンターテイメント性によって付加されます。ですから、様々なエンターテイメントゲームを創ってきた実績のあるスクウェア・エニックスが、シリアス・ゲームに、積極的に取り組む、という事は、とても興味深いです。そういえば、何かのスポーツ選手が、ゲームを用いてトレーニングしている、という話を聞いた事がありますが(F1の佐藤琢磨選手だったと思いますが、記憶違いかも知れません)、これは、既存のゲームを、シリアスゲームとして用いている、という例ですね。
主人公が、(具体的な)物理学的知識を駆使してトリックを解いていくアドベンチャーゲーム、等があれば面白いですね(ジャスパー・プロジェクトのゲーム版を作るとか。その様なゲームは、既にあるのかも知れませんが)。小説等だと、先を読み進める事は容易ですが、ゲームでは、「解かなければ先に進めない」という条件を設定出来ます。「先に進む為には問題を解かなければならない」という状況は、ゲームに一般的なものですが、その「問題」を、具体的学問的知識に設定する事によって、高い学習効果が期待出来るかも知れません。
根本的な問題として、勉強(学問を追求する)はつまらないものだ、とか、社会的に成功する為に「だけ」必要なものなのだ、といった価値観を、無くす事が重要だと思います。これは、心理社会的な事です。言わば、「勉強は面白く無いものである、と教育している」、という事です。その先入観を見直させる手段として、ゲームを用いられれば、それは良い事だと考えます。学問は、ゲームと同じ位、「面白い」ものですから。ただし、上にも書きましたが、試験問題をディスプレイに表示して、有名キャラクターがそれを解説する、といった程度のデザインでは、ユーザーからは、つまらないものとして、見向きもされないでしょうね。
※エンターテイメント性を付加したら、「シリアスゲーム」と呼べない、とか言われそうですが…。まあ、それをゼロにしたら、「ゲーム」としての面白さが損なわれるので(単なるシミュレーションになってしまうので。「ゲーム」概念を、どの様に捉えるか、にもよりますが)、程度問題でしょうね。ジャンル(ゲームのジャンルでは無く、教育すべき対象のジャンル)にもよるでしょう。
参考:シリアスゲームについての記事
ITmedia ライフスタイル:米国で研究進む「シリアスゲーム」、応用範囲広がる――東大ゲーム研究プロジェクト
今、子供が熱中する「シリアスゲーム」【コラム】 デジタル家電&エンタメ-最新ニュース:IT-PLUS
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